こんにちは。美容ナースERIです。
今回は美容皮膚科を中心に導入がますます増えている人気の美肌治療ダーマペンについてのお話です。
ダーマペンといっても、具体的にどんな事をするんだろう?施術に入る際のポイントは?などさまざまな疑問があると思います。
実際の施術現場の様子から看護師として気をつけている事などを踏まえながらお話していきますので、参考にしていただけると嬉しいです。
ダーマペンはどんな治療?
美容皮膚科の治療において、SNSやブログなどを中心に爆発的といってもいいくらい広まった治療がダーマペンです。例えばインスタグラムのハッシュタグ数で見ると、日本語の#ダーマペンだけでも7万件以上の投稿があり、人気のほどがわかります。
幅広い世代の患者様から支持を得ているのが特徴で、肌の悩みは年々多様化している中で、スキンケアでの改善やメイクでのカバーが難しいものに対して適応治療です。ニキビ跡のクレーターや毛穴の開き、傷跡など肌への凸凹のある状態があげられます。
ダーマペンでは、肌が傷ついたりした場合に、元に戻そうとする力である創傷治癒力が働き、新しい組織に入れ替わり、その過程で発生するコラーゲン、エラスチンのおかげでエイジングにも効き、クレーター肌や毛穴開きの改善が期待できます。
また、私の勤務するクリニックで、ダーマペン4(ベルベットスキン)を私自身何度か施術してもらっており、受けたときの感想を書くので、参考にしていただけたらと思います。
皮膚に穴を開けて肌再生をする治療法
ダーマペンとは、髪の毛よりも細い針を用いて、皮膚表面に細かな穴をあけていきます。そうすることで、自力で回復する力である創傷治癒力を高めます。
傷つけられた細胞が回復していく過程でコラーゲンやエラスチンの再生が促され、肌のハリやツヤがアップし、ニキビ跡やクレーター肌の凹凸、毛穴の開き、小じわやたるみなどの改善が期待できます。これは身近なところでいう「かさぶた」と同じです。転んで擦りむいた皮膚は時間を追うごとにきれいに治って行きますよね。これは人間が持つ自己治癒能力です。ダーマペンはこれと同じ原理であえて皮膚の表面に傷を作り、自己治癒力を用いて細胞を再生させるという治療法です。これは、お肌の内側からふっくらさせることができる為、アンチエイジング目的で施術をされる方も多いです。
症状・目的に合わせて針の深さを調節できる
ニキビやクレーターなどの症状の重症度や患者様のご希望、施術部位に合わせて針の深さを0.2〜最大3.0mmまで調節することが可能です。ダーマペンが初めての場合は出血具合や痛みを確認しつつ最適な深度を決めていくことになります。
患者様の中には、針の深さを最大限深めれば1回の施術でも効果が得られると認識している方もいるので、単に深めれば良いというわけではないことを説明しましょう。個人の肌の悩みに対応できますので、患者さんに合った治療ができることが特徴です。
針は深ければ深いほどいいというわけではありません。一般的に深さは0.25~2.0mm程度です。2.5mm以上の深さに設定すると色素沈着(しみ)のリスクが高くなるリスクもあります。一般的な毛穴やクレーターに対しては2.0mmでも十分に効果を得られるので、あまり無理に深める必要はありません。
もし、気になるところが深いクレーターや皮膚に陥没などが見られる場合には「スタンプ法」といって針を該当部分に数秒間押し当てる施術方法があります。凹凸の角を削って行くイメージです。普通にあてるよりはお肌への負担が大きくなるので、必ずダウンタイムやリスクについて了承を得て、施術するようにしましょう。
また、針を深くあてるほど痛みやダウンタイムは長くなります。物理的にお肌に針を刺しているため、もちろん出血もします。初めてダーマペンを受ける方やダウンタイムなどが心配な方は、必ず患者様に相談してなるべく浅めに打つようにするといいでしょう。
2回目以後は、患者様の悩みに合わせて場所ごとに深くしてもいいです。深くすればするほどダウンタイムが長くなることを必ず患者様にお伝えし、ご納得いただいてから施術に入りましょう。
悩みに合わせて薬剤を選べる
お肌の悩みに応じて、薬剤を選べることができるのも患者さんにとってうれしいポイントです。気になるお肌の悩みに合わせて薬剤を追加することも可能です。肌に微細な穴があいている状態で、通常美容成分を塗ったときに比べて、浸透も早く、美容成分をしっかり届けることができます。特に、肌再生能力の高い幹細胞や成長因子がとても人気です。
薬剤の種類をたくさん揃えているクリニックがほとんどですので、お悩み別に合わせてお客様にご提案していきましょう。
他の施術とカスタムできる
ダーマペンの特徴として、主に美容皮膚科で導入している他の美肌系メニューとの複合治療が可能です。
クリニックによってメニューの組み合わせは少し違いがありますが、マッサージピール(コラーゲンピール)やウーバーピールなどのピーリング効果のあるものやイオン導入、ハイドラフェイシャルなどとの施術の組み合わせは相性が良いです。中でもハイドラフェイシャルとの相性はとてもよく、毛穴のお掃除をしてからダーマペンを行なうことによって薬剤の浸透が良くなり効果がUPします!
私がダーマペン4(ベルベットスキン)を実際に受けた際は、ダーマペンが初めてだったのでとても緊張したのを覚えています。動画や文献で調べれば調べるほど、血まみれの顔が出てくるので(笑)とても不安になってしまっていました。それに今は、SNSで簡単に欲しい情報が得られるため、嘘や誤った情報を鵜呑みにしてしまっている患者様も少なくありません。正確な情報を提供するのは医療行為を行う看護師の義務だと思います。
さて、実際にどんな感じかというと麻酔クリームがしっかり効いていれば全然痛くはないです。感覚的には、お顔のシェービングをされているのかな程度の感覚でした。どちらかというと痛いというよりくすぐったい感じです。ただ、機械の音がすごく大きくて怖かったです。「ブーン!」と振動している音が直接顔にやってくるのでより恐怖感が倍増します。施術に入る際には是非、患者にも丁寧な声かけをしてあげてください。
薬剤塗布の時は、じんわりとした鈍痛がありましたがそれもそんなに長くは続きません。麻酔が切れた後のじわじわと火照っているようななんとも言えない感覚が地味にしんどかったです。私の場合は、そんなに針の深さを入れていないので、ダウンタイムは2、3日ほどで終わりました。
骨が密集しているところ(頬骨や鼻筋)は内出血が1週間ほど残りましたが綺麗に治りました。乾燥や痒み、かさぶたも10日ほどで落ち着き、その後綺麗な肌が手に入ったので満足しました。
痛みやダウンタイムも思っていたものと全然違ったので、実際にやってみてよかったなと思います。
みなさんも患者様におすすめする上で実体験を交えて説明できた方が説得力もありますので、お勉強のためにも一度は施術を受けてみてもらいたいです。
施術の流れと介入時のポイント
次に、具体的にどのように施術を行なっていくのかをお話ししていきます。
施術の介入時に看護師として気をつけるべきポイントも併せて説明していきますね。
洗顔
まず、クリニックに患者さまがご来院されたらメイクを落としていただきます。
洗顔後、お顔に何も塗らないように注意喚起します。お肌に何か付着していると、針を刺したときに深部に浸透してしまい炎症を起こしてしまう危険性があるためです。お顔に外用薬を使用していないかも確認しましょう。ニキビ治療の薬を塗っていたり、ステロイドを使っている方も多いので注意しましょう。
ご案内、問診(お肌の観察)
洗顔が終わったらお部屋にご案内し、施術内容の確認を患者様と一緒に行います。
お悩みはどこなのか、ダウンタイムは何日程度大丈夫なのか等確認していきます。
看護師がお肌の確認を行います。炎症性ニキビや、新しいお傷などがあると施術できない場合があります。アートメイクをしている部分は、針を穿刺すると色が抜けてしまう可能性があるため避けることも事前にお伝えしましょう。
お顔に美容整形をされている方は、プロテーゼやヒアルロン酸が入っていないか確認をしてください。異物が挿入していると、針を穿刺した時に大きなトラブルに繋がりかねますので、浅めにあてるか、リスクが嫌なようであれば該当部位を避けることもあります。こちらとしてもなるべくリスクは避けたいので、患者様に納得していただけるよう説明しましょう。
稀に、どうしてもやりたい、リスクは大丈夫!と言った患者様もいるのでそういった方にはドクターから説明をしてもらいます。それでもご納得いただけない場合には契約ができなくなる場合もあります。
次に簡単に施術の流れを説明します。ダウンタイムや痛みなどについてもここで簡単にお伝えし、患者様の認識に相違がないか刷り合わせを行います。不安なことや質問等がないか確認し、問題がなければ施術の準備をしていきます。
麻酔クリーム塗布
麻酔クリームを施術範囲に塗布し、効いてくるまで20分ほどお部屋でお待ちいただきます。麻酔クリームを丁寧に拭き取ったら、消毒し薬剤を塗りながらダーマペンを打っていきます。
この時に、麻酔クリームを拭き取った瞬間から麻酔の効果はどんどん減っていくためできるだけ手際良く行うようにします。クリニックによっては1部位ずつ拭き取って、ダーマペンを当てていくところもあります。とにかく痛みが心配な方が多いので、少しでも不安要素を取り除けるようにこまめに声かけをしながら進めていきます。たまに、金属アレルギーや麻酔アレルギーの方もいますので麻酔をする前に確認しておくと安心ですね。問診の時点で教えてくれる患者様がほとんどですが、たまに伝え忘れている場合もあるのであらかじめ確認しておきましょう。
ダーマペンを当てていく
機械の音も結構大きめなのでお客様に声掛けを行いながら実施していきます。出血具合を観察しながら施術を進めていきます。そんなに針を深くしていないのにあまりにも出血が多かったり、腫れ上がってしまう場合にはいったん中止し、医師に診てもらいましょう。ここで自己判断で進めてしまうと、色素沈着やケロイドなどのリスクがあるため大変危険です。少しでも迷ったり、どうかな?と思うことがあれば誰かに相談しましょうね!
何かいつもと違うことが起こった時にはきちんと記録を残すことも大切です。患者様が後から問い合わせてきたり、次に違う看護師が対応する時に必要な情報になるからです。
また、骨の直上は内出血しやすいため、あらかじめ患者様に説明しておきましょう。施術後は、保湿をしっかりしていれば大抵の場合きれいに治るので心配はいらないということもお伝えします。
パックをのせる
ダーマペン後は軽く出血をします。出血を清潔なガーゼなどで軽く押さえ、成長因子入りのパックをお顔に乗せていきます。15~20分程ゆっくり過ごしてもらいます。
ひりひり感が落ち着き、とても気持ちいいです。
成長因子は最近とても人気の高い栄養素で、傷の修復を早めてくれるためダウンタイムが軽減できる効果があります。自宅でも使用できるものをクリニックで販売しているので、患者様に合わせて提案して差し上げるのがいいかと思います。
注意点とダウンタイムについての説明
施術後は数時間(クリニックによって時間は様々です)は、お顔は塗らせないことやスキンケアなども翌日以降でお願いしています。当日、お風呂に入るときにお顔が濡れてしまう方も多いので、首から上は翌朝に洗ってもらうようアドバイスします。
翌日以降は、保湿をたっぷりしていただき、こすったりしないよう指導します。赤みやひりつきについて帰宅してから不安になる方も多いので、何かあればすぐに連絡いただくように伝えておくと良いです。紫外線や乾燥にも一時的に敏感になるため保湿をたっぷりめにしていただくようお伝えします。
ダーマペン のリスク
お肌に直接針を穿刺していく治療なので、もちろん様々なリスクはあります。
代表的なリスクとそうならないために看護師としてできることをまとめてみました。
感染
不潔な手で触ったりベッドで寝てしまうとまれに傷口から菌が侵入し、感染する恐れがあります。そのため施術後は、絶対にお肌に触れないようにしっかりお伝えしましょう。施術後数時間お顔を塗らせないのもこのためです。施術後はお肌が自己治癒力によりゆっくりと回復に向かっている大切な時間だということを患者さんにもしっかり理解していただけるように説明出来るといいですね。
色素沈着
施術後にお肌をこすったり、熱いお湯で洗ったりすると色素沈着になってしまう恐れがあります。施術後はお肌がダメージを受けやすい状態であることを患者様に認識してもらうことが大切です。特に、施術後から1週間ほどは出血したところがかさぶたになって痒みが出てきます。かきむしってしまうと一生残るシミになってしまうリスクもありますので、注意が必要です。
ニキビ
施術後にニキビができやすくなります。原因は2パターンあります。ひとつめは、前項でお話しした感染です。不潔な手で触れてしまう事による炎症、すなわちニキビです。
ふたつ目は、肌に傷をつけたことにより再生能力が働き、お肌の老廃物を排出しようとして一時的にニキビができてしまいます。こちらは生理現象で、正常な反応ですので触らずに保湿を多めにするように促します。
どちらにせよニキビができると炎症後色素沈着(PIH)になってしまうため、そうならないためにもホームケアの重要性はどんな施術でもお話しできると素晴らしいと思います!
上記のようなリスクがあってもお肌を綺麗にするために頑張りたいという患者様がほとんどですので、患者様の不安に寄り添いながら対応できるといいですね!
まとめ
今回はダーマペンの知識と介入方法について説明してきましたがいかがでしたでしょうか?
知れば知るほど奥の深い治療ですよね。それゆえに最近ではSNSでは沢山の情報で溢れています。患者様も様々な不安を抱えている事が多いので、優しく寄り添った対応を心がけましょう。