美容外科・美容皮膚科・脱毛クリニックナースに新卒で入るメリット、デメリットを徹底解説! 入るならおすすめは?

看護学校を卒業してからすぐに美容外科や美容皮膚科、脱毛クリニックなどの美容クリニックに入職したいと検討している人もいるでしょう。

ただ、看護師の中で新卒で美容クリニックに入職する人は少ないため、「新卒で美容クリニックに入職して大丈夫?」「病棟で経験を積んでから転職するべき?」など疑問も多いはず。

そんな人のために、この記事で美容クリニックに新卒で入るメリット・デメリットを解説しています。

新卒で美容クリニックに入職しようか迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも美容クリニックは新卒採用している?

「美容クリニックは中途採用がほとんどってほんと?」「新卒だと美容クリニックに入職するのは難しい?」などと心配になる噂を耳にした人もいるでしょう。

確かに、小規模な個人経営の美容クリニックでは新卒の看護師を採用しているところはほとんどありません。しかし、大手の美容クリニックでは新卒を積極的に採用しているところもあります。

小・中規模の美容クリニックで新卒を採用しているところが少ない理由は、医師や看護師の人数も少なく教育体制を整えるのが難しいためです。

大手の美容クリニックは全国に店舗を展開しており、合同研修やプリセプター制度など、教育体制を整えているクリニックもあります。

新卒で美容クリニックに入職したいのであれば、耳にしたことがあるような大手の美容クリニックから探してみるのがおすすめです。

大手のクリニックでも即戦力が欲しい場合、中途採用のみの採用を行っている場合もあるので求人票やクリニックの公式ホームページなどで「新卒歓迎」かどうかチェックしておきましょう。

美容クリニックに新卒で入るメリット

美容クリニックに新卒で入るメリットは以下の3つが挙げられます。

若い年齢なので長く働ける

新卒で入職すると年齢が若い分、長い期間美容クリニックで働くことができます。

一般的な病院と比較すると、美容クリニックで働く看護師の平均年齢は若いです。一般科のように定年まで働くということは、現実的になかなか難しいでしょう。

美容クリニックで勤務経験がない場合、転職時の年齢が高くなるほど不利になることも多いのは事実。仮に就職できたとしても、働ける期間は短くなってしまいます。

新卒で美容クリニックで就職すればまだまだ年齢が若いので、平均年齢が低い美容医療の世界でも長い期間働くことができるでしょう。

新卒から美容クリニックでたくさんの経験を積んでいれば、ある程度年齢を重ねても美容クリニック経験者として他のクリニックへも転職しやすくなります。

美容医療の世界で長い期間活躍したいのであれば、新卒で美容クリニックに入職し、若いうちに美容医療の知識や技術を身につけておくことがおすすめです。

必要な知識だけを得られる

美容クリニックで得られる知識や技術は、一般的な病院とは異なる部分が多く特殊なスキルです。美容クリニックに入職すれば、美容医療の特殊なスキルだけを取得することができます。

もし、美容クリニック以外に興味がなく「看護師として美容医療の分野で活躍していく」と決めているのであれば、最初から美容クリニックで美容医療の知識や技術を身につけるのも良いでしょう。

一般的な病院で働くつもりがないのであれば、新卒の真っ白でいろんなものを吸収しやすい時期を、美容医療の専門知識の取得に使う方が効率が良いです。

一般的な病院で得られるスキルは、美容クリニックでも活かせるものがたくさんありますが、美容クリニックでは使うことのないスキルもあります。

美容クリニック以外で働くつもりがないのであれば、必要のないスキルを時間をかけて取得するのは時間の無駄でしょう。

はっきり「美容医療の分野でやっていきたい」と決断しているのであれば、美容医療に必要な知識だけを狭く深く学ぶために新卒から美容クリニックで働くのが効率的だと言えます。

美容医療のスペシャリストを目指しやすい

新卒から美容クリニックに入職すれば、美容医療の分野だけに集中して知識や技術を得ることができます。そのため、美容医療のスペシャリストを目指している人には最適な環境だと言えるでしょう。

私の知人にも新卒で美容クリニック入った人がいますが、美容医療に特化してスキルを身につけきたので今では美容医療のスペシャリストとして大活躍しています。

美容医療は専門的に学べばかなり奥が深く幅広い可能性があります。例えば、「アートメイク」や「医療脱毛」なども看護師資格がなければ法律的に施術を行えないもの。

そのようなスキルをさらに深く追求すれば、その分野のスペシャリストとして活躍することができるでしょう。

また、美容医療は年々需要が高まってきており、自由診療なので一般的な病院より給料水準も高いです。美容医療のスペシャリストになれば、高収入を得ることも可能だと言えます。

「美容ナースとしてやっていきたい」と明確な目標があるのであれば、新卒から美容クリニックに入職し、美容医療の知識を専門的に学ぶことでスペシャリストとして活躍しやすくなるでしょう。

美容クリニックに新卒で入るデメリット

上記では美容クリニックに新卒で入ることによるメリットを説明してきましたが、デメリットもしっかり認識しておきましょう。

美容クリニックに新卒で入るデメリットは下記の3つです。

教育体制が整っていない

美容クリニックは一般的な病棟と比較すると、病院の規模が小さくスタッフも少ないため教育体制が整っていない場合が多いです。

美容クリニックは年齢層が若いため、病棟のように臨床経験が豊富で教育者として適した人材は少ないとも言えます。

特に小規模の個人経営クリニックでは、即戦力として経験者を求めている場合がほとんど。研修期間やプリセプター制度を設けているクリニックは少ないです。

研修などを設けている美容クリニックもありますが、新卒で基礎看護技術を得られるような設備や人員、体制は、病棟などと比較すると劣る可能性が高いでしょう。

また、美容クリニックでは入院患者さんがいる訳ではないので、研修期間に取得できる知識や技術も限られてしまいます。

新卒で基礎看護技術など看護師として必要な知識や技術を取得しておかないと、なかなか教育してもらえる機会がありません。

新卒に対してしっかりとした教育を行ってくれる病院はありますが、既卒となると基礎看護からの研修を1から行ってくれる病院は少ないものです。

「新卒なのでしっかり教育してもらいたい」と考えるのであれば、新卒では大学病院や教育体制が整った病棟などでしっかり基礎看護技術を身につけておくのが良いでしょう。

幅広い知識・技術を得ることができない

美容クリニックで学べる知識や技術は、美容医療に特化していて狭く特殊なものです。病棟のように幅広い知識や技術を学ぶことは難しいと言えるでしょう。

病気の患者さんが来院しない美容クリニックでは、疾患に対する知識を得ることはできません。また、入院する患者さんがいないので、日常生活の援助や一日を通しての観察や看護業務なども学ぶことはできないでしょう。

そのため、「美容医療に興味はあるけど一般の病院でも働きたい」「看護師として幅広い知識や技術を取得したい」などという人は、新卒で美容クリニックに入職するのはおすすめできません。

吸収力の高い新卒の間に、一般の病院でさまざまな疾患を持つ患者さんと向き合い、たくさんの先輩から幅広い知識・技術を得ることをおすすめいたします。

一般の病院で働きにくくなる

新卒で美容クリニックに入職してから一般の病院へ転職すると、転職の際に看護師経験としてみなされないことや、基礎看護技術や知識の不足に悩まさられることも多いと言われています。

それは、一般の病院で必要なスキルと美容医療で必要なスキルが異なるためです。

一般の病院で必要な看護技術や疾患に対する知識、観察ポイント、患者さんへの対応などは、美容クリニックでは取得できないものがあります。

新卒で一般の病院の経験を数年積んだあと、美容クリニックへ転職することは可能です。注射や点滴、採血などの基礎看護技術は美容クリニックでも必要とされます。

特にオペ室で経験を積んでおけば、美容外科で重宝されることでしょう。

もしまだ進路がはっきり決定していないのであれば、まずは一般の病院で3年ほど経験を積んでから美容クリニックに転職する方が、無難とは言えます。

新卒なら美容外科・美容皮膚科・脱毛クリニックどれが良い?

美容クリニックと一口に言っても美容外科・美容皮膚科・脱毛クリニックでは診療内容が異なります。

新卒での働きやすさや違い、美容外科・美容皮膚科・脱毛クリニックそれぞれチェックしてみましょう。

美容外科

大手の美容外科では、教育体制を整え、新卒の採用を歓迎しているクリニックも見かけます。そういった大手の美容外科では、研修期間やプリセプター制度を設けている場合も多く新卒でも成長していくことができるでしょう。

美容外科は手術の準備や介助、術前術後の処置や観察がメインとなるので、外科的な知識や技術を学ぶことができます。

美容外科では美容外科のみではなく、美容皮膚科や脱毛クリニックで行っているような、アンチエイジングのケアや脱毛など幅広いメニューを取り扱っているクリニックが多いです。

そのため、美容医療を幅広く学びやすいという点でも新卒で美容医療を学びたい人におすすめです。

美容皮膚科

小規模な個人経営クリニックも多い美容皮膚科では、新卒の採用を積極的に行っているクリニックはあまり見かけません。

美容皮膚科では、注射・点滴・医療機器を使う処置など看護師が中心となり処置を行うことが多いです。そのため、基礎看護技術が必須となり、ある程度患者さんへの対応に慣れた即戦力となる人材を求めている傾向があります。

新卒で入職できるとすれば、エイジングケアや肌を綺麗にするためのさまざまな処置を学べるので美肌ケアに興味がある人におすすめです。

美容皮膚科は患者さんと直接関わる機会も多いので、接客が得意な人や患者さんとしっかり向き合いたい人にも向いているでしょう。

脱毛クリニック

脱毛クリニックは脱毛を専門としており大手クリニックも多く存在しますが、新卒を積極的に迎えているクリニックは少ないです。

臨床経験は少なくても良いですが、看護師として経験がある人を望む傾向があります。

それは、医療脱毛の処置は患者さんとの距離が近く痛みや羞恥心を伴うので、皮膚状態や患者さんの状況を観察する力があり、患者さんへの対応ができる看護師を望むからだと考えられます。

仮に入職できたとすれば、脱毛を専門的に行うので医療脱毛のスペシャリストを目指せるでしょう。

ただ、脱毛に特化しているので美容医療の中でもかなり狭い分野に偏っています。新卒で入職すると脱毛以外の知識が得られないので、後から一般病院や美容外科・美容皮膚科に転職する時に苦戦する可能性が高いです。

そのため、美容医療を幅広く学びたいと考えている新卒の人にはおすすめできません。

進路をしっかり決めてから美容クリニックに入職しよう

この記事では、美容外科や美容皮膚科、脱毛クリニックに新卒で入るメリットやデメリットについて詳しく解説してきました。

看護師は「新卒なら教育体制の整った病院で経験を積むべき」という風潮はありがちです。

しかし、「美容医療の道を極めたい」と固く進路を決めているのであれば新卒で美容クリニックに入職するのも良いでしょう。

美容医療に特化して深く知識や技術を学ぶことができるので、美容医療のスペシャリストを目指すなら最適な環境だと言えます。美容医療以外に興味がないのであれば、病棟でしか必要のない経験を無駄に積む必要もないでしょう。

逆に「進路がしっかり決定していない」「美容クリニックで働きたいけどゆくゆくは一般病院でも働きたい」などと考えているのであれば、新卒では教育体制の整った一般病院に入職するのがおすすめ。

3年ほど経験を積めば美容クリニックに転職したとしても、経験がしっかりあるので一般病棟にも戻りやすくなります。

美容クリニックに新卒で入職するなら「美容医療の世界でやっていく」と決断してからの方が良いです。進路をしっかり決めてから入職しましょう。

writer_shiraishi
白石千乃
子育て中に看護師として美容皮膚科で勤務し、脱毛やAGA、アンチエイジング、レーザー治療などを経験。専門知識を活かして、美容・医療をメインにライター活動中。特に脱毛系記事が得意分野で、月に数十件執筆している。