美容ナースの実践的ニキビ治療と患者さんへの提案方法について

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こんにちは。美容ナースえりです。

私は4年間臨床現場で働き、その後3年ほど大手美容外科皮膚科クリニックに勤務経験後、現在も美容皮膚科ナースとしてクリニックで働いております。病院で働いていたときは毎日がとても忙しく、やりたいことに目を向けられる余裕がありませんでした。

あるとき、人生は一度きりだし大好きな美容の分野に進んでみようと決心しこれまで突き進んできました。初めはわからないことが多く自分にはできるのだろうか、向いていないのではないだろうかと不安になる事もとても多かったですが、みなさんに美容の世界とは新しく学ぶ事も多く大変なこともあるけれど、こんなに楽しくてやりがいのある仕事なんだという事を広く知って貰えたらなと思い、ライターとしての活動もしております!

今回は、みなさんも気になるニキビ治療についてお話しして行きたいと思います。単にニキビ治療について解説するのではなく、今後美容ナースを目指される方や新人ナースさん達に向けて、最近の美容クリニックにおけるニキビ治療の特徴から患者さんへの関わり方まで私の実践的な経験を交えてお話ししていきます。

初めてやることにハードルが高いように思う方も多いと思いますが、あらかじめ知っていればそんなに難しいことはないので安心してくださいね。ここでは簡単な予習復習のような気持ちで楽しく見ていただけると幸いです!

最近のニキビ治療の特徴

一言で「ニキビ」 と聞いても、みなさん治療の仕方やメカニズムはご存知でしょうか? 看護学生時代に皮膚科の領域はあっさりとしか学ばないためみなさんが転職し、美容の分野に進んでから新しく学ぶことが多いと思います。美容クリニックに来院する患者さんの悩みの中でニキビは圧倒的に多い疾患です。

近年新型コロナウイルスが流行し、マスクを常時装着するようになってからは特にニキビで悩んでいる方は増えましたマスクを装着することで、肌が蒸れてアクネ菌や雑菌が増殖したり、摩擦によって肌トラブルを招いていると考えられています。そのほかにも生活環境や精神的ストレスなども要因と言われています。ニキビの進行度や重症度によってももちろん変わりますが、治療方法は無数にあり、患者さん一人ひとりに合わせた施術の提案が必須になってきます。

主な施術と介入方法について

最近のニキビ治療の傾向としては、古い角質を薬剤を使って除去して毛穴に皮脂や汚れがたまらないようにターンオーバーを促す治療やニキビの原因菌であるアクネ菌を薬でやっつけるといった治療が主です。

これらの治療はとても基本的な対応で、保険診療で比較的安く治療ができることが多いため皮膚科にかかってお薬をもらうという方法もあります。

保険診療のクリニックでもピーリングやレーザーなど看護師が行っているところが多いため、もし経験がある方は美容クリニックに入職した時にかなりの即戦力になると思います。

美容クリニックに来る患者さんは、保険診療で受けられる治療では効果を感じられなかったり、またはニキビは改善したけれどもっとその先の治療(ニキビ跡やクレーターの治療など)を頑張りたいから多少お金はかかっても自由診療である美容クリニックを選ばれてきたという方がほとんどです。そのため最短コースで早く綺麗になりたい方が多いのは、理解できると思います。

ピーリング

美容クリニックでできる角質ケアでお勧めなお施術は「ピーリング」です。ケミカルピーリングやミラノピール、マッサージピールなど様々な治療があります。一番手頃で身近なものはサリチル酸のピーリング剤です。患者さんのお肌に直接塗布しくるくるマッサージしていきます。途中でピリピリ感じる事もあるため、辛い時には無理せずに申告してもらいすぐに拭き取ります。痛みを感じているのに無理に続けてしまうと赤みが増強したり、トラブル化しまう恐れがあるためです。一度のみの施術で完璧な効果を実感するのはむずかしいですが1ヶ月に一回など定期的に行っていくことで、お肌のターンオーバーが促せるのでニキビができづらいお肌の環境作りをしてくれます。

施術中にお肌のメカニズムにプラスして定期的に受けることの重要性をお伝えしていくことが看護師の役割でもあります。ピールという名前の通り、角質層を剥がす・剥く役割もある為、施術後は十分な保湿と鎮静が必要になってきます。どの施術でもそうですが、治療後はお肌が敏感になっている方が多い為、ゴシゴシ摩擦をしたり熱すぎるお湯で洗顔してしまうとお肌に刺激となり、かえって悪影響を及ぼす場合がある事も必ず伝えましょう。

ダーマペン

ターンオーバーを促しながら、栄養を入れ込んでくれる治療もあります。韓国から人気に火がついたダーマペンです。ダーマペンはあえてお肌に針で傷をつけて、自己治癒力を利用して肌の再生を促す施術です。穴をあけたところにお悩み別で提案した薬剤を浸透させていくことで一石二鳥以上の効果を発揮してくれます。ただ、ダーマペンは種類によっては針の深さが深く、出血もしますのでダウンタイムが長くかかります。お仕事の都合や、患者さんの予定なども含めてできるかどうか決めてもらう必要があります

カウンセリングの時点で患者さんへリスクやダウンタイムの説明は一通りしますが、情報が多すぎて理解するのに時間がかかる方も多いので、再度施術前に看護師からも要点をまとめてお話しさせていただきますダーマペン後は、お顔に傷ができている状態になる為数時間洗顔やスキンケアができないことや翌日以降の紫外線対策や保湿が大切だということをお話ししましょう。

施術してから「こんなに見た目がひどくなってしまうなんて思わなかった!やらなければよかった!」とならない様に、私は実際に自分で受けてみて痛みやヒリヒリ感はどうだったたかや、ダウンタイムの過ごし方なども併せて話しています。あとは、実際に受けられた患者さんの声をお伝えすると安心される方も多いですね。特に初めての患者さんには不安が大きい施術なので、患者さんの不安に優しく寄り添いながら対応して行きましょう。実際に自分でも受けてみると感じ方や見え方が全然違うので、お勉強として体験してみるのもGOODです!

アクネレーザー

近年、じわじわと人気を高めている治療がこの光レーザー治療です。クリニックによって名称は様々ですが「アクネライト」や「アクネビーム」と呼ばれるところが多いです。

皮膚に光エネルギーを照射する事で、炎症ニキビやニキビの赤みを改善してくれる治療です。にきびの原因菌であるアクネ菌に作用する短波長、皮脂腺やニキビ跡の赤みに反応する長波長2つの波長を持ち、ニキビに対して適切な治療ができるレーザーです。

この施術は痛みやダウンタイムがほとんどなく、軽傷から重症の幅広いニキビにも対応可能なところが人気です。殺菌効果のあるレーザーを当てるのでにきびの根本的な治療が負担なくできるのは嬉しいですよね。

とはいえ、レーザーを肌に当てる為リスクのお話は必須です。ダウンタイムはない場合がほとんどですが、まれに肌が活性化されて一時的にニキビが増えてしまったりする事もある為、ホームケアの重要性も必ずお伝えしましょう。

このように、近年はマスクをする事でニキビに悩む方が増えており、美容医療の中でもニキビ治療の需要が高まりつつあります。それを逆手にとり、マスクを常時している為ダウンタイムを気にせず積極的に治療に臨めるという患者さんも多いです。
患者さんのにきびの程度やどこまで綺麗にして行きたいのか、または予算や治療やダウンタイムに耐えられるかなどトータル的に判断していくことが大切になりますので患者さんの一言一言にしっかり耳を傾け、寄り添う姿勢で対応して行きましょう。

美容皮膚科では重要な患者さんへの説明

どんなに良い治療や施術も、リスクと間違えた認識でいることによるデメリットがあります。

そのため、患者さんと施術を担当した看護師は知識のすり合わせをしていくことが必要不可欠です。その具体的な説明と内容をここではご紹介します。

一に保湿、二に保湿!

どんな施術、治療でも保湿が重要です。保湿の程度もその方によっては変わってくるので、保湿するタイミングを朝、昼、晩でしてもらうことをお話しして行きます。それを聞くと、「そんなに!」と驚かれる方も多いですが、前述でもお話しした様にピーリングやレーザー治療を受けるとお肌は一時的に敏感になるため、お肌のバリア機能を保持するためにも保湿はかかせないのです。

朝、晩は洗顔後に保湿する習慣がある方がほとんどですが、お昼は出先やお仕事中の場合が多く保湿をする習慣がある方は本当に少ないです。そういった場合、ミスト化粧水やクリームをカバンに入れて持ち歩くことをおすすめしています。まずは習慣化することが必要なので、どうしたら忘れないかを患者さんと一緒に模索することも大切です。

摩擦・刺激を与えない

敏感になっているお肌に摩擦や刺激を与えてしまうと、炎症や色素沈着の原因となってしまうため注意が必要です。クレンジングや洗顔の時に無意識に擦ってしまう方が多いのでそちらも注意ですね。また、熱いお湯で洗ってしまうと必要な皮脂まで落とし過ぎてしまうこともあるため気をつけるポイントです。32度くらいのぬるま湯がいいとされています。

紫外線対策

夏だけしか日焼け止めを塗っていない方もいるため、紫外線対策の重要性については日焼けのメカニズムを含めてお話ししておくといいでしょう。どんなにいい治療をしていても紫外線対策ができていないともったいないので、日頃から日焼け止めを塗ったりサプリを飲んだりと患者さんが無理のない範囲で頑張れる様にアドバイスしましょう!

プラスαでビタミン剤の内服やクリニック専売商品のご紹介ができるとよりGOOD!

ニキビができるメカニズムに、過剰な皮脂分泌や栄養不足などが挙げられます。食事では取りきれない栄養素をビタミン剤で補ってあげることで治療の効果も高まります。薬の種類や成分はクリニックによって様々なので知識は持っておいた方が良いでしょう。

また、ホームケアの重要性もお伝えしてきましたが、当クリニックにおいてある商品と紐づけて説明すると患者さんも必要性が理解しやすく、購入につなげられることが多いです。患者さんが少しでも早く綺麗になるために適切な情報を提供することも私たち看護師の役割でもあります。身につけた知識は自信を持ってお伝えできるように、日頃から意識できるといいですね。

起こりうるトラブルと対処法

先ほどもお話ししましたが、ニキビにも重症度があり施術できるものとできないものに別れます。白ニキビやコメド(にきびの赤ちゃん)の場合ですとピーリングをしてターンオーバーを促してあげることで改善して行きますが、潰れたニキビや炎症性ニキビだとお肌が弱っている状態のため治療が逆効果になってしまう場合もあるのです。
そのため医師の診察でしっかりとお肌を見てもらうのはもちろん、情報共有していくことは大切なのです。もう少しニキビが落ち着いたタイミングで来てもらうとか、炎症性ニキビが1箇所のみならそこだけ避けて薬剤を塗布するなどできる対処法は患者さんの数だけあります。最初は判断に困る事もありますので、医師や経験を重ねてきた先輩ナースに迷わず相談しましょう。そうする事で患者さんのみならず自分を守る事もできるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ニキビ治療といっても患者さんの症状や悩みによっても適応となる施術が変わってくるのでそれに応じて提案していくことが大切です。リスクや注意点も根拠をもとにわかりやすく説明すれば患者さんも納得し、満足感が得られると思います。

美容医療の世界は日々進化し、新しい治療がどんどん出てくるのでついていくことが大変な時もありますが患者さんに信頼されるナースになるためにも日々努力を積み重ねて行きましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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eri
美容看護師eriです。美容が大好きでこの世界に飛び込んで4年。毎日が新鮮でやりがいを感じています!皆さんに基本的な知識から耳寄りな情報まで幅広くお伝えしていきます!