キャリア5年、30才、キャリア転機の美容ナースが転職時に考えたこと

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この度美容ナースとして5年間働いてきた筆者が転職を致しました。そして転職先は美容関係のクリニックではなく、胃腸科・肛門科の診療をメインに行っている「THE・保険診療」のクリニックです。勤めていた美容クリニックでは管理職として働いていたこともあり、周りからは「え!美容クリニックじゃないところに転職したの?なんで?」とかなり驚かれました。

筆者としては年齢的には30才という節目の年でもありました。転職活動を行うにあたり、どんなことを考えながら転職先を決めていったのか。どうして美容クリニックへの転職ではなく保険診療に戻ったのか。転職先はどのように見つけたのか。その過程を今回はお伝えしていきたいと思います。

筆者の経歴について

まずは経歴についてご紹介させていただきます。

東北出身で、地元の大学の看護学部を卒業し、看護師として上京しました。大学2、3年生の頃から美容看護師になることを意識し始め、新卒で美容クリニックに就職することを考えました。ですが美容クリニックではほとんどのところが新卒採用は行っておらず、臨床経験が数年必要という理由から新卒で都内の大学病院に就職をしました。

新卒の時点で上京した理由としては美容クリニックは地方よりも首都圏の方が圧倒的に数が多く、美容看護師として首都圏で今後働くために新卒のタイミングで上京してしまおうという考えからでした。

大学病院ではNICU(=新生児集中治療室)に配属され数年働きました。

その後美容皮膚科と美容外科どちらも学びたいという理由から幅広い治療を行っている大手の美容クリニックに転職し、念願だった美容看護師としてのキャリアが始まりました。大手の美容クリニックでは2年間勤務し、その後は美容皮膚科と美容外科を行っている小規模クリニックに転職をしました。そこでは3年間勤務をしましたが、ありがたいことに管理職も任せていただき、クリニック運営に関する貴重な経験も積むことができました。

また、小規模クリニックは副業がOKのところだったため、パート勤務で2箇所の脱毛クリニックを1年ずつ経験しました。数年前から脱毛クリニックが急増しており、美容看護師としての経験とスキルをさらに高めることが目的でした。

美容看護師としてのキャリアを積み上げて5年。大学生のころに想像していた以上に美容看護師は楽しい職業でした。お世話になっていた小規模クリニックでは管理職も任せていただき、大好きな美容医療に触れられ、自分の働く環境に特に不満はありませんでした。むしろ満足していたと思います。

ですが自分の性格上、同じ環境でずっと安定した毎日を過ごすよりも、新しい環境にどんどん飛び込んで自分の経験値を高めたいという気持ちもありました。今働いているクリニックでさらに1年働き続けるのと、違う環境で1年働くのと、1年後の自分はどちらの方が成長しているかと考えた時に後者の選択肢の方がその可能性は高いのではと考えるようにもなりました。

その時に30才になるタイミングで、思い切って転職を決意をしました。

これが私の今回転職を決意するまでの経歴です。

30才、これからの方向性でとことん悩む

即戦力として働くか、新しい分野を学ぶか

今回転職をしようと決意をしたときに私は2つの道で悩みました。

一つは再び美容業界内で転職し、今までの経験を生かして更に美容を突き詰めて働く道です。そしてもう一つは全く関わったことのない分野で学び、看護師としての幅を広げる道です。

美容看護師としての仕事はとても楽しく大好きでした。未経験で転職した当初は覚えることが多くとても苦労しましたが、それでも学生時代から憧れていた業界で働けているということに幸せを感じていましたし、業務に慣れてからは患者さんの美しさのサポートができることにやりがいを感じていました。

これだけ美容看護師の仕事が好きだったのであれば、そのまま美容業界内で転職するのが一般的なのかもしれません。美容皮膚科、美容外科、脱毛クリニックでの勤務経験があり、管理職を勤めた経験もある、という今までの美容看護師としてのキャリアは即戦力として高待遇で迎え入れてもらえる可能性も高いです。

しかしながら、私自身の経歴がNICUと美容のみであり、一般的な看護スキルや知識、経験が少ないことにコンプレックスを感じていたことも事実です。美容しか知らないから美容しか選択肢がない、という状況よりも、他の分野も知っている上で美容が好きだから美容で働いていくという選択ができる自分でありたいなと思うようになりました。そこで今後も美容にまた戻ってくる可能性を考えての保険診療への転職を考え始めたのです。

美容業界の転職は35才が境目となることが多い

看護師の資格というのは一生ものです。一般的には年齢を重ねるごとに転職もしづらくなると言われますが、看護師は常に人不足ということもあり、全国どこでも比較的転職をしやすい職業と言えると思います。

ですが美容クリニックは少し事情が異なります。求人情報を見てみると、「長期キャリア形成のため35才以下の方を募集」などと書かれていることがあったり、書いてないとしても面接時に「うちのクリニックは20代前半〜半ばの子たちが中心だけど、一緒に働けそう?」と聞かれたりすることもあります。

クリニックの方針は様々なので一概には言えませんが、年齢が若い看護師の方が優遇されやすいという傾向はあるように思います。なぜなら美容クリニックにいらっしゃる患者さんは「若返りたい」という気持ちを持っている方が多く、肌の綺麗な看護師は患者さんにとって「私もこうなりたい」という理想像となりうるからです。

年齢が若い=肌が綺麗、年齢を重ねている=美しくないというのは正しいものではありませんが、やはり年齢を重ねるごとにシミやシワ、たるみなどが出てくることは確かです。そのため35才を境目として美容クリニックへはやや転職がしづらくなるという現状があります。

筆者は現在30才です。どの診療科でも、未経験からその分野の全体像を理解するまでにはおよそ2〜4年程度かかるものだと思います。今から新しい分野を学び始めても35才までには間に合います。むしろもう少ししてからだともう美容業界に戻って来れない可能性が出てくるかもしれない、挑戦するなら今のタイミングだと感じました。

必ず美容クリニックに戻ってくるとは今の時点ではわかりません。もしかしたら今後学んでいく分野に魅力を感じ、そちらの方を突き進めていく可能性だって十分にあり得ます。自分の中で美容でも、そうでなくても、自分で選べるという状況にしておきたいという気持ちからこのタイミングで一旦美容業界を離れるという決意をしたのです。

転職サイトは使うべき?自分に合った転職先を自分で探すか、専門家にフォローしてもらうか

転職に関する情報量が少ない、不安が大きい人は転職サイトを利用すべき

転職を決意した時に考えることが「転職サイトに登録するべきか」ということかと思います。ここの部分について深堀りしていこうと思います。

まず結論から申し上げると、転職に関する情報量が少ない方や、転職への不安が大きい方は転職サイトを利用することをおすすめします。(ここからは転職活動に関して求人の提供や面接機会の設定など全般的にフォローしてくれるものを「転職サイト」、求人情報のみを掲載しているものを「求人サイト」として話を進めて行きたいと思います。)

私は初めての美容業界への転職(大学病院→大手美容クリニック)の際には転職サイトを利用しました。数としては3社ほど依頼をかけた記憶があります。

美容業界への転職を検討するにあたって、転職に関する知識も、美容業界に関する知識も全く持ち合わせていなかった私は転職するにあたってどこから手をつければいいのか分かりませんでした。「転職活動ってどうやって進めるの?」「私は注射や採血といった基礎的な看護スキルもないけれどそれで採用してくれるクリニックってあるのかな?」「美容クリニックのそれぞれの違いがホームページをみてもいまいち分からない…」「美容外科も美容皮膚科もトータルで勉強できるところで働きたいけどそれってどこ?」。

私の脳内は疑問と不安でいっぱいでした。転職経験が少ない方や未経験業界への転職を検討されている方の中には私と同じような悩みをお持ちの方はいるのではないでしょうか?

転職サイトを利用すると自分の希望する条件、自分のスキルなどにあったクリニックを提案してくれます。何もわからず膨大な求人情報から自分に合ったものを見つけるよりも、ある程度選択肢を絞ってくれた方が自分もクリニックを吟味をしやすくなります。また面接の対策をしてくれたり、自分では直接クリニックに確認しづらい給与面や待遇面に関して代わりに聞いてくれたりとありがたいフォローがたくさんありました。

結果として転職サイトから紹介していただいた大手美容クリニックで採用をいただき、看護スキルの習得や美容外科・皮膚科両方の知識の習得ができる私の希望に合ったクリニックに転職ができ、とても満足でした。

このとき私は転職サイトを3社利用していましたが、1社ではなく複数社利用する理由としては運営会社によって持っている求人情報が異なっていたり、また担当してくれる方との相性などもあるため、複数社利用する方が選択肢が狭くなりすぎずいいかなと思うからです。ただしサイトごとにやりとりをする必要があるため、2〜4社程度の利用にとどめ、あまり数は増やしすぎない方がいいでしょう。

このような理由から転職に関する情報量が少ない、不安が大きい人は転職サイトを利用すべきと言えるかと思います。

転職経験が豊富、業界の知識があるのであれば自己応募でもOK

もしも、今まで転職を何回かしている場合や転職を希望する業界への知識があるのであれば転職サイトを利用せず、求人サイトから自ら情報を集め自己応募する流れでもいいでしょう。

私の場合は今まで美容皮膚科・美容外科を両方行うクリニック2箇所(こちらはともに正社員)、脱毛専門クリニック2箇所(こちらはともにパート)で働いてきた経験があります。筆者は美容看護師として5年のキャリアがありますが、、5年間ずっと同じ職場で働いてきた方と複数箇所で働いてきた自分とでは転職に関する知識は明らかに自分の方が上なのかなと思います。

求人情報に掲載されている文言や、そのクリニックのホームページを見ればある程度どんな感じのクリニックかが理解できるレベルにはなりましたし、以前は聞けなかった給与面や待遇面も臆せず担当者に質問できるようになりました。

入職してから「思っていたのと違かった…」と感じることもほとんどなく、「うんうん、こんな感じだよね(むしろ想定していたレベルより好待遇ということも)」ということばかりだったので、、自分のペースで自分の働きたい場所を探す方が自分には向いているなと判断し、今回も転職サイトは使用せず自己応募で対応しました。

しかしながら、今回は未経験業界への転職となったため、業界の知識は皆無でした。とにかく学びたいという意欲のみです。そのため即戦力にならないことが分かっていたため、「自分が業界未経験者を採用するなら、どんな人を採用したいか」ということを考えて、自分なりに相手が採用したくなるようなアピールポイントを考えて履歴書作成や面接にあたりました。ありがたいことに第一希望だったクリニックから内定をいただくことができ、また一つ転職活動への自信をつけることができました。

このようにある程度転職に関する経験や知識があるのであれば、自分自身で自分にあったクリニックを見つけることができるかと思います。

正解は誰にも分からないけれど、全ての経験が自分の糧になる

今回はキャリア5年、30才、美容ナースが転職時に考えたことについてお話しさせていただきました。

今回美容業界を離れるという選択をしましたが、それが果たして正しいのかは自分含め誰にも分かりません。新しい業界で働くことはつらいこともたくさんあると思います。もしかしたら数ヶ月には美容業界に戻っているかもしれません。ですが、やらずに後悔するよりもやって後悔する方が私はいいのかなと思います。

たとえ失敗したとしてもまだいくらでもやり直せるし、自分の経験値として残ることは確かなことだからです。

これからも新しい環境を楽しみながら、自分の看護師としてのキャリアを磨いていければと思います。

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つーさん
岩手県出身。アラサー。学生時代は地元で過ごし、新卒で都内の大学病院に勤め看護師生活をスタート。美容ナース歴は5年目。