経験、未経験に関わらず、美容関連や販売職からの転職組は、一度は検討したことがあるであろうクリニックでの美容カウンセラー職。最近はテレビや雑誌、ネットでも特集されたりと美容医療が以前よりメジャーになり、カウンセラーは華のある職業というイメージを持つ方も多いと思います。実際志望者は増えています。
面接では、仕事の細かいことまでは、なかなか聞きにくく、また人事採用担当がいる場合、現場と別になるため、話が実情とは相違がある場合があります。
そこで、元大手美容外科に4年在職、カウンセラー部のチームリーダーを勤めたライターが、体験談をベースに、美容カウンセラーのすべてを話します。カウンセラー志望者必見の内容です!
根本的にコンプレックスを解消するにはと考えるようになり、美容医療という分野に興味を持つ
学生時代から美容に興味があり、将来は美容に携わる職業に就くことを目標としていました。新卒で美容部員として働き、美容に対する意識が変わったことをきっかけに、美容カウンセラーに転職することにしました。
転職の際は大手クリニック、個人クリニックとそれぞれ内定を頂きましたが、大手クリニックに入職することを決めました。
美容カウンセラーになるまでの私の経歴
美容専門学校を卒業後、大手外資系化粧品会社に入職し、美容部員になりました。当時の私には希望通りの就職先でしたが、美容部員としてさまざまな経験をするうちに美容に対する意識が徐々に変化していきました。
エイジングケアをメインとしたブランドだったためお客様の年齢層は高く、どうしてもスキンケアやメイクでは解決できない悩みを目の当たりにすることになり、根本的にコンプレックスを解消するにはと考えるようになり、美容医療という分野に興味を持ちました。
たるみに悩むお客様と多く接していたため美容医療の中でも美容皮膚科だけではなく外科治療も取り扱っているクリニックへの転職を志望しました。
個人クリニックではなく、大手美容外科に決めた理由
大手クリニックに決めた理由として二つあります。一つ目は専門性に長けた医師が多く在籍しており、美容皮膚科だけではなく外科施術の内容が豊富で、より患者様のニーズに応えることができるのではと思ったからです。
二つ目は完全に個人的な意見ですが、女性が多い職場環境での人間関係です。前職では少人数のセクションでの従事だったため、人間関係が密になり良いことも多い反面、トラブルもあったからです。
大手クリニックになると本院と分院では従事者の数は異なりますが、とても忙しい環境の中で多くの職種があり、それぞれ役割が異なるので干渉されることなく自分の仕事に集中できると思ったからです。
実際にクリニックに面接に伺った際、患者様も多くカウンセラー、看護師の方がテキパキと業務をされていたのが印象的でした。
カウンセラー職の仕事内容、一日の仕事の流れ、残業の有無
カウンセラーの業務内容は多岐にわたりますが、医師と患者様がカウンセリングをしたうえで必要な施術の内容や費用を提示し、安心して施術を受けて頂けるようサポートする役割を担っています。また、急患がはいった場合や外科治療が多い日、繁忙期は残業が多い傾向にありました。
美容カウンセラーの一日の流れ
私が勤めていたクリニックは、クリニック勤務、コールセンター勤務、午前中クリニックと午後コールセンターというように勤務パターンがいくつかあり、早番、中番、遅番と出勤時間も異なっていました。
まず、クリニックでの勤務の場合、全職員で全体朝礼から始まり、次はカウンセラーで本日来院する患者様の申し送りをします。予約内容によって患者様の案内が異なるため、予約票の確認はとても重要でした。
朝から手術が入っている場合、朝の手術が遅れるとその後の予約に遅れが生じてしまうので、なるべく早く必要な手続きを終えます。カウンセリングが入っている場合は担当カウンセラーを決めたりします。
カウンセリングに就く際は相談した内容のお見積りを作成し、医師のスケジュールを調整して手術の予約を承ったり、処置前後の注意事項やダウンタイムについて説明します。クリニックでは、次々と患者様がいらっしゃいますので、スムーズに案内できるかを考えて動く必要があります。
次にコールセンターの場合、翌日の来院される患者様の予約確認の連絡をしたり、新規予約、変更、キャンセルを電話やメールで受けます。電話を受けながらメールを返したり、予約の追加をするので、簡単なパソコン操作が必要になります。
初めて来院される方はクリニックの場所がわからないことがあるので道案内をしたり、術後の患者様から体調不良の連絡が入った場合は看護師や医師に連絡を取って対応するケースもあります。
電話やメールは表情が見えないので、術後の患者様や初めて美容医療にいらっしゃる方は不安に思うことが多いと思うので、電話ではゆっくり丁寧に声を高めにしてし話したり、なるべく早く返事をするように心掛けていました。
美容クリニックの残業や繁忙期について
取扱う施術内容により異なると思いますが、美容皮膚科専門の医院は比較的残業が少ない印象です。外科治療が多い医院は予約内容により残業が発生することがあります。
例えば、手術を進めるうちに追加の手術箇所が増えた場合や、遠方からいらっしゃった患者様が急遽手術を希望するというケースも多いです。
また、3、4、5、7、8、12、1月は繁忙期といわれており、まとまった休みがあるので皆さんダウンタイムが気になる施術に挑戦する方も多いです。特に学生さんはGW、春、夏、冬休みを利用したり、OLさんは年末年始に施術を希望される方が多いです。
繁忙期は朝から夕方まで手術が入っているので、一日5件ほど大掛かりな手術を執刀する医師もいます。手術の合間にカウンセリングや術後の経過観察などの予約も入っていますので、医師のスケジュール管理もカウンセラーの大切な仕事です。
カウンセラーとして一番気をつけていたこと、患者さんとの接し方、苦労したこと
多くのクリニックで患者様と一番密に接するのはカウンセラーではないでしょうか。多くの年齢層の患者様がいらっしゃるので言葉遣いはもちろん、身だしなみは華美にならず清潔感が大事です。クリニックの中で患者様に一番近い存在として、期待や不安を抱えている患者様の不安を少しでも取り除けるように気を配ります。
一番気をつけていたことは、美容医療は保険診療と異なり治療費も高額です。施術内容によっては傷跡が残る施術もあるので、プラス面だけではなくマイナス面も確実に伝え理解してもらったうえで施術を受けてもらうことです。聞いていなかったということで後々トラブルに発展することもあります。
患者様との接し方について
初めていらっしゃる方、長年通って下さっている方、多くの美容クリニックに通っている方など患者様は様々です。いらっしゃった患者様には満足して帰ってもらいたいですよね。第一印象はとても重要になるので自己紹介や説明は丁寧に笑顔でハキハキと患者様に解りやすく伝えることが大切です。
私たちには当たり前のことでも、患者様は初めて耳にする言葉も多いと思うので専門用語を使うのではなく解りやすくイメージがしやすい言い回しや例え話をいつくかもっていると役立つと思います。
また、患者様から質問を受けることも多いので的確に答えられるように施術の知識だけではなく、自身の体験談や身近なスタッフの体験談などを話すと施術前後のイメージが伝わりやすいです。淡々とした接客だと患者様も聞きたいことがあるけれど聞きづらいという雰囲気になってしまうので注意が必要です。
コミュニケーションをとることによって患者様のライフスタイルも知ることでできます。例えば小さなお子様がいらっしゃる方が二の腕の脂肪吸引を検討している場合、術後は抱っこしづらいですが大丈夫ですか?と聞いたり、腕を高く上げるのが辛いと思うので必要なものは手元に届くようにしてくださいなど患者様によって必要な情報が違ってきますので、堅くなりすぎず、楽しくコミュニケーションをとりつつ有益な情報を伝えてあげることが大事です。
慣れ始めた頃にミスが発生
多くの患者様がいらっしゃるので、同姓同名や似た名前の患者様もいらっしゃいました。その場合はカルテの取り違えをしないように個人情報の取り扱いには注意が必要です。
失敗経験はいくつもありますが、印象に残っているのは、地方から都内のクリニックに向っている方が道に迷ってしまったと連絡を受け、電話での道案内が難しく伝わらないことがありました。結果予約時間を大幅に遅れて来院することになってしまい、患者様にもカウンセリングをする医師にも迷惑を掛けてしまいました。
今は、ホームページに写真付きで道案内が載っているクリニックがほとんどだと思いますが、前日に場所の確認を行えばよかったと反省しました。また、カウンセリングに入ったときに、専門用語を多用してしまい患者様に注意を受けたことがありす。
ちょうど業務に慣れた頃で、私の当たり前を患者様に押し付けてしまいました。意外と入職したての頃は慎重なので、慣れ始めた頃にミスが出てくるのかもしれません。
美容カウンセラーに向いている人とは(過去の職業・職種など)
人と接することが好きな人が向いていると思います。愛嬌のあるカウンセラーはカウンセリングルームでも笑いが絶えないです。どんなに美人でも自分本位だと向いてないと思います。個性的な患者様も多いので、ある程度冷静さも必要ですが大半は慣れてくると思います。
患者様の中には不安で攻撃的になる方もいらっしゃいますが、否定したり応戦しないようにしましょう。トラブルがあった場合は真摯に受け止めて冷静に対応することです。
前職の強みを活かし活躍できる場が美容カウンセラー
美容カウンセラーになるには、新卒採用と中途採用で入職する方法があると思います。中途採用者の大半はエステティシャン、美容部員、アパレル販売と営業経験者です。前職が美容関係だった場合、ある程度皮膚などの構造について知識があるため美容医療の内容がスムーズに入りやすい利点はあります。
しかし、保育士や幼稚園教論といった教育関係、プログラマー、一般事務といったように様々なジャンルの方で、営業未経験の方ももちろんいました。前職が教育関係だった同僚は、後輩の育成に長けていてOJTに適任でした。
それぞれが、前職の強みを活かし活躍できる場が美容カウンセラーだと思います。新卒、中途採用共に採用試験では、エントリーシートでの自己PR、面接、一般常識のテストがあり、いかに自分をアピールできるかが重要です。共通して言えるのは皆さん快活な印象で、とても向上心が高かったことです。
美容カウンセラーに向いている人とは
もちろん患者様の知りたい情報を提供する知識や経験も大切ですが、コンプレックスと向き合い悩んでいる人に寄り添い、時には後押しすることが美容カウンセラーの仕事だと思います。
施術には満足したけどカウンセラーが強引で営業色が強くて嫌だったなど、カウンセラーの対応によって、クリニックの印象を左右することもあります。新規の患者様にはリピーターになってもらうこと、リピーターの患者様には常に新しい情報を提供して、次に試してみたくなるような、わくわくするような施術を提案してクリニックのファンになってもらえるような努力ができる人が求められていると思います。