アートメイクナースの働き方別、収入・費用(講習など)について

アートメイクナースをするにあたって、どのような経費がかかるか考えたことはありますか? 講習や備品など出ていく経費、また入ってくるお金(収入)、様々なお金事情を今回はお話ししたいと思います。

フリーランスで仕事をしているのか、クリニック勤務で仕事をしているのかによって変わってきますがその辺りも詳しくお話ししていきます。

アートメイクナースの必要経費その1 講習について

アートメイクナースとして活躍していくためには、どなたであっても一度は受けるべき講習の内容、費用についてお話しします。

私自身の経験において講習についてお話しできることが3つ、あります。

フリーランスアートメイクナースさんの個別講習(国内)

当時まだ珍しかったフリーランスで活躍されていてご経験の長いナースさんの個別講習について、2016年頃に問い合わせをしました。
細かな条件等は記憶にないのですが、お値段は約90万円でした。その方は、マイクロブレーディングやアイラインやリップはなさっていなかったと記憶しており、パウダーのアイブローのみの講習だったかと思います。

その当時はマイクロブレーディングがまだ主流ではなかった中で、その方のパウダーのアートメイクはとても自然で綺麗でした。
他の方に比べると良い症例が多かったので、ぜひ学びたいと思いましたが90万円という値段を聞いた時点で、当時まだ若かった私にはかなり高額で驚いてしまい、まずはそのための貯金をしなければならないと思った記憶があります。

当時パウダーの技術のみを取得するのに90万円かかった、ということですね。海外に渡航せずに日本で、かつ日本語で、そして日本クオリティーを学べるという意味で考えると、そのお値段が安く感じるのか高く感じるのか、というのは人それぞれかと思います。

私は貯金は地道にしていましたが、結局その方に習う前に大手アートメイククリニックへの就職が決まりました。学びながらお給料がもらえることになり、そちらの方がお得で尚且つ学びも深まると考えた為、クリニックへの就職を選びました。

実際に私が受けたパーソナル講習(韓国)

私は韓国の講師のところへ学びに行きました。内容は眉、アイライン、リップと豊富な内容でしたが、講習は私が経験者ということと、完全パーソナルということもあって2日間と短い期間でした。それでお値段は約30万円。そこに渡航費、宿泊費、その講習で使ってみて良かった備品の購入代等を含めると約50万円位になったかと思います。

初めての海外講習はどうだったかというと…

言葉の壁があるので細かなニュアンスは学ぶことができない

今思えばなんてバカなことを!と反省していますが、アジア圏なら大丈夫という自信があり通訳を使わずに講習を受けました。
結論、ある程度の単語と簡単な英語が出来たら、アートメイクの講習は受けられます。

講師もたどたどしいしいこちらの英語を頑張って汲み取ってくれようとする優しい方だったので、なんとかコミュニケーションは取れたし、大体の聞きたい内容は聞くことができました。
ただし、細かいニュアンスのもの、例えば針はどういった手の感覚で入れていますか?や、どのインクがどのように良いのですか?など、そういったやや難しい専門的な事柄は、英語が堪能な方かもしくは通訳が居ないと学びにくいと思います。

日本の繊細さと海外のアバウトな感じは、折り合いがつかない

日本人の細部にこだわる職人的性格と海外の細かいことは気にしないアバウトな性格だと、感覚に少しズレが生じてしまいます。例えば、眉のデザインでいうと、黄金比は測りません。左右の長さを対称に入れられるように、定規シールを使ってデザインを決めました。今までずっと黄金比を測ることが当たり前と思っていた私には衝撃的でした。

ただ一応長さは測って入れているので、日本でもしばらくそのやり方でやってみました。悪くはなかったですが、初めに学んだ方法が黄金比だったので、馴染んだやり方に現在は戻しています。

また、リップはデザインしませんでした。
そのまま入れ始めたのでこれもまた衝撃的でした。形は変えずに色が入ればOKという事でそうしているとのことでしたが、やはり日本では形を整えたいというオーダーが多いので、最終的にはデザインしてから入れるという方法に落ち着きました。

結論、学びたいことを学べたかと言うと、少し後悔が残りました。後悔が残ったと言うよりは聞きたかったことがうまく聞けなかったり伝わらなかったという感じかもしれません。もしくは、こちらが求めている細かいニュアンスを講師が全く気にしないので、教えてもらえなかったという感じでした。

講習の内容としては、人工皮膚への施術を丸一日かけます。私は経験があったので、すぐに人工皮膚から開始しました。パーソナルだったのでずっと講師が側で見ていてくれる環境はすごく良かったと思います。翌日はもうモニター施術になりました。

モニターは、講師側が用意してくれた方へ施術しましたが何故か施術の殆どを講師が行ったので、私が実際に施術したのは上唇のほんの一部だけでした。これに関してはちょっと納得いかないと思いつつもそれを講師に伝える事ができない性格だったので、そのまま殆どの時間を見学に費やしました。

なので30万円の価値を感じたかと言われたらそれに関しては少し微妙だった気がします。講師選びの際には、講習内容がどういったものになるのかきちんと詳細を確認するべきだと反省しました。一講習に対して何十万というお金をお支払いする訳ですから、納得のいく内容のところを選ぶ事をおすすめします。

インスタグラムで見つけた講師の講習(タイ)

3つ目はまだ講習を受けに行ってはいないのですが、コロナが収束したら再度別の海外アーティストの講習を受けたいと思い連絡をとった方の詳細です。

この方はタイの方なのですが、インスタグラムで見つけてとても綺麗な作品を載せていらっしゃった事と私の好きな流派の方だったので、是非講習を受けたいと思いDMにてコンタクトを取りました。

眉に関してはマイクロブレーディングとパウダーの両方を学ぶことができて約20万円と言われました。リップも学びたいと伝えたのですが、リップはもう充分上手だと言われて講習を受けさせてもらえない様子でした。20万円の中にはスターターキットと修了証が含まれているとの事でした。
アートメイクナースになるために特に資格は必要ありませんので修了証も必須ではありません。終了証を持っていると箔がついたり、自分の中での自信につながるものと私は考えています。

日本では、クリニックもしくはナース独自で講習を行っている方々がいらっしゃいます。グーグル検索で【アートメイク クリニック 講習】のように調べると、いくつかサイトが出てくるかと思います。内容的には初めての方向けや経験者の方向けなどコースが分かれていることが多く、内容や価格が異なるようです。しかしどこも肝心な価格は記載されておらず、サイトを経由して価格を問い合わせる必要があります。アートメイクの講習は、かなり閉ざされた分野であるということが分かるかと思います。

アートメイクナースの必要経費その2 外注費について(フリーの場合)

フリーランスの外注費などについてお話しします。

フリーの場合は様々な契約の仕方があるかと思いますが大体の場合は、お借りする場所代と医師の診察代等を外注費としてクリニック側にお渡しする必要があります。
そのお渡しする外注費というのは人によってそれぞれのようですが、聞くところによると3割から7割。かなり幅はあるようですね。これはアーティストとクリニック側の考えや関係性、経験値や技術力、集客力などによって変わってくると思います。

アートメイクナースの必要経費その3 備品について

クリニックに会社員として勤務していれば、全て会社が負担して揃えてくれます。
フリーの場合は備品を全て自分で購入するための出費があります。
アートメイクの備品は基本的に海外から輸入しなければならないものが多く、実は偽物も多く出回っています。同じパッケージなのに中身は全く別のものが入っていることもあり、もしそれを掴まされてしまった場合には一切使えない偽物に本物と同額を支払った事になります。本当に無駄な出費ですが、そういったことも少なくありません。

有名なブランドのものを、きちんとそのサイトから仕入れるとやはり質は最高です。偽物が届くことも絶対に有りません。ただし、本当に質は良いのですがお値段は相応にお高い印象です。個人輸入になる為、関税も約10%ほどかかってきます。こちらも小さいようですが、積み重なると負担になります。

次は皆様が大変気になるであろうお給料などの、入ってくるお金のお話をしたいと思います。

アートメイクナースの収入その1 クリニック勤務の場合

私の場合はパートとして勤務しておりましたので、当時の時給は約2千円強でした。そこに、指名料がインセンティブとしてつく契約です。指名料は全額もらえるわけではなく、ランクに応じて金額が上がっていきます。一番安い時で数百円でした。
歴が長くなり上手になっていくと、指名料のバックが大きくなります。

アートメイクナース正社員の場合の年収はだいたい美容外科、美容皮膚科ナースと同じくらいからスタートのイメージでしょう。月給だと大体30〜35万円くらいのところが多いと思います。

殆どが指名のお客様になり毎日予約がいっぱいでとても忙しくなってくると、年収1千万円を超える大きな金額を稼ぐナースに成長していきます。
とても夢のある世界ですが、これだけを目当てに参入しようとするとあっさり落第していく新人の方も多いので注意が必要です。

アートメイクナースの収入その2 フリーランスの場合

フリーランスだと上記の経費の項目でお話ししたように、3〜7割の報酬で契約している方がいらっしゃるようです。これだけ幅があるのは本当にすごい世界だなと思います。
『会社員よりもフリーランスの方が沢山稼げるんでしょ?時間も自由だし、しがらみもないし、だったら今すぐにでもフリーになりたい!』と思う方が一定数いらっしゃるようで私にもよく、その方法を教えてほしいという問い合わせが来ます。

本当にそんなに簡単に稼げるでしょうか。私は実際、フリーになってから初めて集客の難しさを知りました。独立当初は全く予約が入らず、閑古鳥が鳴いていました。家でひたすら人工皮膚と向き合う毎日。収入はそれまでとは打って変わってかなり少なくなってしまい、友人のクリニックや求人サイトで見つけた病院へバイトに行ったりして生活する日々が長く続きました。

当時強く思ったことは、会社員で居た方がもっと楽して安定的に稼げていたな、という後悔です。
ですから、フリーランスは楽して稼げません。楽して稼ぎたいなら、恐らく会社員の方がベターです。とはいっても会社員も勿論楽ではありませんが、フリーランスの方がお金を稼ぐ大変さを強く感じることになると思います。

アートメイクナースの収入?その3 クリニックの経営難の場合

「入ってくるお金」が「入ってくるはずだったお金」に変わることを、あなたは考えたことがありますか?
契約書に名前を連ねた外注先の医師や経営者が、突然不当に契約解除を言い渡してきたり、急に閉院を告げてきたりすることもあるでしょう。もしくは、報酬の歩合を下げてほしいと交渉してくるかもしれません。

そんなことになった場合は、相手先が資金繰りに困っていたりして、こちらがそれに同意するまではお支払いをストップされる場合も考えられます。
自分が働いた分は、決まった期日にこちらへ振り込まれますが、それが必ず続くものだとは信じないことを強くお勧め致します。

今回は様々なお金のことについてお話しさせて頂きました。
最後は少し怖い内容になってしまいましたが、社員であってもフリーランスであっても、嫌なことは必ず伴います。
働き方は人それぞれ。自分にとってメリットの大きい方で、なるべくストレス少なく楽しく、お仕事が出来ると良いですね。

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Mei
看護師国試合格後アパレル会社へ就職。その後、臨床経験0のままで美容業界へ。美容ナース歴13年。現在はフリーのアートメイクナースや講師として活動中。