アートメイク施術者が覚えておくべき、アートメイクと美容施術の相性・関係性について

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今回は、美容ナース歴10年以上の私がアートメイクナースへ転身してから感じた、美容医療の治療とアートメイクの相性、関係性についてお話ししたいと思います。

普段、患者さんとして治療を受けている側からは、まったく意識しないことだと思いますが、ナース側からすると大きな関係があります。

まず初めに、美容医療の施術はその内容によりアートメイクのデザインや定着を左右する可能性があり、アートメイクアーティストにより多少の違いはありますが、アートメイク施術との間隔(期間)をある程度空けるように患者さんにお願いしています。

これらをふまえ、以下各、施術について詳細をお読みいただければと思います。

ボトックスとアートメイクの関係

アートメイクで眉のメイクが難しいとお悩みの方に、最もよくお勧めする治療がボトックスです。

ボトックスは筋肉の収縮を弱める力を持ったお注射です。なぜ上記の方にボトックスをお勧めするのかと言うと、これらの方はほとんどが眉毛を上げる癖があったり、本人は気づいていないけれども目を開ける際に眉の筋肉を必ず使ってしまっている方が多いからです。

眼瞼下垂のある方は、医師によってはボトックス注射をお勧めしない場合もあります。万が一眼瞼下垂があっても、軽度であったりする場合には、通常のボトックスの仕方ではなくもう少し弱く効かせる方法であるマイクロボトックスを用いると、施術できる場合もあります。

なぜドクターによっては断ることがあるかと言うと、眼瞼下垂の方はまぶたを開ける力が弱く額の筋肉を代替としてまぶたを開けています。そこに通常通りのボトックスをしてしまうと、額の筋肉の動きが弱くなり目を開けることが困難になってしまいます。

人によって表現の仕方は違いますが、目が重たくなった、眠たそうな顔になった、目つきが悪くなり強く見られるようになった、など辛い期間が約3ヶ月前後続いてしまうことになります。通常ボトックスは3〜6ヶ月に一回注射をするのがオススメされています。

つまりいちどそういった症状になってしまうと次回までの数ヶ月間、その症状に悩まされることになり人によってはボトックスがトラウマになってしまうこともあります。こういったことが多発しているため、ドクターによってはあらかじめそのような思いをさせないために、注射自体を断ることがあります。

そういった場合はボトックスをすることなく、眼瞼下垂のオペを勧められることと思います。

おすすめのマイクロボトックス

しかし、オペをするとなるととても大変ですから、ほとんどの方がオペをすることなくまゆの左右差を改善できずにアートメイクを頼ってご来院されます。そういった方には、個人的に体験して一番良かったマイクロボトックスという方法をお勧めしています。

眉毛や額の筋肉を収縮させ、違和感なく眉の左右差や変な癖を軽減させることができます。これをすることで左右差を整えて、人によってはそれ以降変な癖が治ったりする方もいらっしゃるようです。

ボトックスとアートメイクどちらを先に施術するべき?

眉付近のボトックスは基本的に、アートメイク施術前をお勧めしています。そうすることで先に左右差を改善し、アートメイクのデザインをやりやすくするためです。

もちろんアートメイクの施術後でも構いませんが、ボトックスをする前提である程度それを見越したデザインをしたとして、ボトックスの効きが想定と違った場合にデザインが変わってしまう恐れがあります。

ボトックスの効果は数ヶ月で切れますが、アートメイクは数年たっても消えません。ですからまずは消えてしまうボトックスを先に施術し、残ってしまうアートメイクは後悔しないように後に施術することをお勧めします。

上記のように眉のアートメイクとボトックスはとても親和性があり両方することによって常にきれいな眉をキープすることができるようになります。ですが、アートメイクを先にしたことにより、その後ボトックスをせずに済んでしまう方も散見されます。どういうことかは、ここまでお読みいただければ大体予想がつくかと思います。

アートメイクのデザインで左右差を改善することで、筋肉の癖が残っている状態でも左右バランスが整えられた場合にはボトックスをしなくても大丈夫ということになります。 

アートメイクはまゆの皮膚の部分に入れる事はできますが、まぶたの皮膚の部分に入れることはできません。左右が合わないというお悩みの方は、ほとんどの方が眉毛を上に上げてしまって左右差が出ています。上に上がった眉毛の下の部分は、もともとはまぶたの皮膚だったエリアです。そこにはアートメイクを入れる事は基本的にはしてはなりません。

この様にアートメイクで左右差を合わせるのにもやはり限界はあり、あまりにも無理やり合わせる事はできないというのが正直なところです。それでも、ボトックスは数ヶ月に一度しなければならないし、リスクもある。アートメイクでバランスを合わせられたらそれをせずに済むし、その方が良いと思うかもしれません。

しかし結論、私は併用をお勧めします。理由は私がこだわる総合美にあります。眉だけ綺麗でも、例えば眉の上の筋肉が膨らんでいたり凹んでいたり、その影響で額にシワがあったらやはり勿体無いですよね。

せっかく眉を綺麗にするならば、その周りのおでこやこめかみ、目元なんかも一緒に美しく整えられたら最高だな、と思います。

ヒアルロン酸、ボトックスで丸くて綺麗な額縁作り

ボトックスとアートメイクの続きとして、今度はヒアルロン酸についてお話ししたいと思います。

まゆ付近のシワや癖をボトックスで和らげたとしても、骨格や年齢に伴う骨の減少により凹凸が見られる方が多いです。上記のような場合以外でも、とにかく女性らしい額を作りたい方はヒアルロン酸でボリュームアップして丸みを出す方法がお勧めです。よくあるのが、眉の上だけが盛り上がっていて、そこから先の額の部分はぺたんこになっているパターンです。

額が平らなのは男性らしいお顔に見えやすい、もしくは老け顔に見えたりする場合もあります。こめかみから額にかけて、ヒアルロン酸で膨らませることで正面からも横からも、丸くて綺麗なフォルムが完成します。

ボトックスとの併用が効果的

きれいな眉毛と額は、お顔の額縁が整うことでとても魅力的に映ります。個人的には、ボトックスとヒアルロン酸の併用が最もきれいに仕上がるように思います。ヒアルロン酸だけだとボリュームは出るのですが、額がパンと張った感じや艶がある感じを演出したい場合には、ボトックスとの併用が効果的です。

また、ヒアルロン酸は丸くて綺麗な額縁作りだけでなく、実は眼瞼下垂の方にも少しだけおすすめです。

何故かというと、額にボリュームが出ることで、皮膚が上に引っ張られ目元の重みが若干改善されるからです。間接的にそのようになっているだけで決して直接的なアプローチではないですが、元々額を丸くしたいと思われていてなおかつ目元が重たかった方にはいいかもしれません。

少し重さが改善されたらラッキーくらいな気持ちで受けてみましょう。

ピーリングとアートメイクの相性は!?

ピーリング系の施術は多岐に渡りますが、総じてターンオーバーを促すことに変わりはありません。ここ数年で急激に普及した、皮膚剥離作用のあるホームスキンケアもこの類に入ります。特にアートメイクと関係なさそうに見えるピーリングは、実はアートメイクとはあまり仲良くできません。

年齢層と共に長くなるターンオーバーは、角質を厚くさせてくすみやシミ、しわの原因になります。また、古い角質が毛穴の中に詰まることでざらつきやニキビなどのトラブルを引き起こします。

これらを改善してくれるのがピーリングです。つまり、良いことばかり。美容皮膚科治療の中でも基本中の基本です。何故それがアートメイクと仲が良くないのかと言うと、ターンオーバーを促す作用に理由があります。

アートメイクは、刺青と違って永久的に残るものではなく代謝によって薄くなっていく技術です。

ターンオーバーというのはつまり肌代謝のことを指し、代謝が高いライフスタイルの方はアートメイクがより残りにくいということになります。

代謝というのは身体を動かしたりするものだけでなく、ピーリングなどの美容治療によっても亢進するものであるということを忘れずに、うまく取り入れていきましょう。

レーザーとアートメイク

レーザーも、実は代謝が上がる施術のひとつ。レーザーピーリングと呼ばれる類のものは勿論のこと、それ以外でも肌に衝撃を与え、その治癒過程で代謝が促されるセオリーは基本的にどのレーザーであっても同じです。

上記ピーリングと似たような作用を持つために、施術直前直後は避けていただく様にお願いしています。

万一レーザーをアートメイク部に当てた場合

ここまでは肌代謝のお話で、ここから先は万が一レーザーをアートメイク部に照射してしまった場合に考えられるリスクについてお話ししたいと思います。レーザーは色味に反応するものと、そうでないものに分けられます。

前者の色味に反応するものに関して、アートメイク経験の患者さんはかなり気をつける必要が有りますし、自己責任として必ず忘れずに申告することが重要です。

ヌーディなカラーに当てると黒く変色

まずはヌーディなカラー。ヌーディカラーは白い色素が多く含まれていますが、これにレーザーが当たってしまった場合はどうなるでしょうか。

抜けると思われる方が多いかと思いますが、なんと黒く変色します。だから、私はヌーディカラーのリップアートメイクを施術するのに躊躇することもあります。例えばこれはシミやホクロを肌色で隠したものも同様です。

一度黒く変色したアートメイクは、待っていても元に戻ることはなく、その後の選択肢は二つ。

一つ目はそのまま放置すること。二つ目は、レーザー除去を数回重ねてしっかり抜いていくこと、です。後者の場合、その部分だけ抜くということも可能かと思いますが万が一他の部分に除去レーザーが当たった場合にもまた、黒く変色します。

大変難しい二つの選択肢から、どちらかを選択しなければならないのです。

黒系カラーに当てるとやっかい

次に、ヌーディカラーでなく黒や茶色のカラーにレーザーを照射してしまった場合です。上記の感覚からすると、黒の色素が多く含まれたカラーはさらに黒くなるのかと思うかもしれませんがこちらは真逆で、抜けたり薄くなったりしてしまいます。

また、レーザーの種類によっては火傷の様になる可能性もあります。いずれにしても最悪の結果です。

アートメイク経験者は必ず自己申告を

アートメイクを受けてとても良い感じに定着し、しばらく期間が経つと自分自身でも元からそうだったように思えてしまい、ついうっかり忘れてしまったりします。

レーザーをあてる施術者から見ても、自然すぎてアートメイクだと気がつかなかったり、その知識がなくてアートメイクすら知らない方もいらっしゃるかもしれません。アートメイクの経験者として、自己責任で、レーザーを受けられる際には必ず毎回自己申告が求められます。

意外に相性がいいエステの眉サロン

これは案外知らない方も多い分野です。美容医療ではなくて美容施術として眉サロンをお勧めする場合があります。アートメイクをしたのに何故さらに眉サロン!?と思われる方が殆どではないでしょうか。

行ったほうがいい方は、毛が太くて硬い、アートメイクと自毛の生え方が異なる、部分的に毛が生えている。これらの方々です。

この方はアートメイクと自毛が喧嘩して、やや自然とは言い難い仕上がりになることが多いのです。馴染ませるためにカラーを暗い色にしたら、ただの真っ黒な眉アートメイクになってしまいます。そこで眉サロンへ行くと様々なテクニックを使って自毛の主張を減らし、アートメイクとの馴染みを良くさせてくれます。例えば、シェービング、毛抜き、カット、間引き、ワックス脱毛などです。

ご自分で出来るものもあるので、出来そうな方には私の方でも施術時にアドバイスさせて頂いています。ちなみにサロンに行かなくていい方はご自分でケアが出来るタイプの方ですね。これは、毛が細くて柔らかい、毛の生え方がアートメイクとほぼ一致している、全体的に毛が生えている。これらの方々です。

まとめ

今回はアートメイクと相性の良い施術、悪い施術についてご紹介させて頂きました。

美容というのは本当に楽しいものなのですが、なんでもやっていいわけではなく、施術同士の相性やメリットデメリットが有ります。そこをよく理解して、施術する側も受ける側も美容医療を楽しんで頂ければと思います。

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Mei
看護師国試合格後アパレル会社へ就職。その後、臨床経験0のままで美容業界へ。美容ナース歴13年。現在はフリーのアートメイクナースや講師として活動中。