フリーランスアートメイクナースの一日

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今回は、フリーランスのアートメイクナースの一日についてお話しします。クリニックに毎日勤務している方は、具体的にフリーランスの働き方をイメージしにくいと思いますので、私が、どのような働き方をしているか1日の時系列でお伝えします。またフリーランスのメリット、デメリットにも言及できればと思います。

フリーランスとしての失敗談や成功談、考え方などをふまえた私の日常をシェアするような記事になるかと思います。

一日が始まる時間を統一する

まずは、フリーランスのアートメイクナースである私のとある一日のスケジュールです。

8:00 起床
9:00 家を出る
9:40 クリニック到着
9:55 着替えとテーブルセット完了
10:00 一人目の施術開始
12:00 二人目の施術開始
14:30 三人目の施術開始
17:00 全ての施術終了し、カルテ記入
17:30 着替えと片付け完了
18:30 帰宅
19:00   夕食
20:00   他アーティストさんのSNSで勉強
21:00   一日の振り返りと症例写真や記事の編集
1:00 就寝

大体この様な流れです。

8:00起床、1:00就寝は予約の有無に関わらず、毎日のルーティーンとしています。昔から夜型な私は、朝起きるのが大の苦手です。なのになぜ毎日8:00に起きるのか。それは、私には8:00に必ず起きなければならない『責任』があるからです。あまり良くない言い方かもしれませんが、会社員の時は私が居なくても他にも多くのスタッフが居てくれるので、最悪誰か別の仲間にフォローして頂くことも可能なわけです。
つまりそこには『他者と共有できる責任』が伴っています。

社員一人一人が責任を持って仕事しているのが会社という組織ですが、組織のメリットとして、誰かが誰かの代わりになれる、お互いに仕事を共有できる、という点が挙げられると思います。
そういったことがなかなかしにくいのがフリーランスです。代わりが居ない分、全ての責任を自分で負う必要が出てきます。実際に私も寝坊したり、予約時間を間違えていてクリニックからの連絡で予約時間に家を出発した等の失敗をしたことが何回か有ります。

そのような時は相当落ち込みますし、そんな無責任な人間はフリーランスをするそ資格なんて無い。仕事を辞めた方がいい。という気持ちになりました。正直、はじめのうちはその解決策が分からなくて、その度にどうしようもない自分にただただ落胆するばかりでした。

そんな時、とある成功者の方の本を読んだ時、何があっても同じ時間に起床する癖をつける。継続する力が、忍耐力にも繋がり、ビジネスにおいてもプラスに働く、というのを読みました。

今までバラバラだった起床時間を毎日一定にすることで、朝の時間にも余裕が生まれました。その上、起床時間が決まっていることで就寝時間も逆算出来るようになり、自動的に夜も早く寝る癖がつきました。
結果的に規則正しい生活リズムを獲得することができて、それ以来上記の様な失敗はしなくなりました。
決まった時間に起きるというルーティンが、朝だけでなくその後の一日のタイムスケジュールを全て司ることが分かった今は、必ず8:00起床で統一するようになりました。

食事に関して、夕食の項目しかないのがお分かり頂けるかと思います。
私は基本的に施術のある日は朝昼を抜きます。
理由はたった一つ。パフォーマンスが落ちるからです。
食後に眠気を催しやすいタイプだと感じることが何度かあった為、頭の回転が遅くなるのが嫌で段々と食事をとらなくなりました。

ただ、出張の際は朝がかなり早くて途中で空腹に見舞われることもあります。
また、都内にいる場合でも体調やホルモンバランスによって、空腹を感じやすい時もあります。
すると今度はそれにより気が散ってしまうことでパフォーマンスが落ちるので、その際は朝でも昼でもすすんで食事をするようにしています。

提携先によってはランチやお菓子など用意して下さるところもあり、施術と施術の隙間時間やキャンセルになってしまった時間などでパパッといただいたりすることもあります。全ては最も良いパフォーマンスができる環境を整えるためにと考えて、食事の有無は選択するように心がけています。

都内勤務と地方出張勤務の場合

上記は都内での施術日の一例です。
ここからは、少しずつ脱線しながらもう少し詳しく日常をお話ししていきます。都内での施術時と、地方出張時では働き方を変えるようにしています。地方出張の場合、日程を先に決めてその日程内でお客様の予約をこなしていくため、空き時間は基本的に発生しません。

開始時刻の15〜20分前ごろにクリニックに到着して、施術の支度を始めます。
出張先ごとに施術の備品を置かせて頂くわけにもいかないので、すべての備品を持ち歩いています。
それらを全て広げてセッティングするまでにどうしても時間がかかってしまうため、ある程度早めに到着して準備する必要があります。
また、施術師のユニフォームに関しても持ち歩いているため着替えたり、身だしなみを整える時間もそこに含まれます。

時間に対する意識

基本的にクリニックに滞在している時間で休憩時間のような空き時間は発生しません。
私の場合はカウンセリングと施術を自らしています。
施術においてカウンセリングは大変重要であり、お客様の信頼を得ることやトラブルを未然に防ぐためにしっかり時間をとってお話ししています。
医師の診察も含めると、約30分ほどの時間を設けています。
あとは施術部位ごとに所要時間が異なりますが、そこからおおよそ2時間前後の施術時間です。
私はどちらかと言えば手が遅い方なので、もっと短い時間で施術されるアーティストさんも多くいらっしゃると思います。それを一日長い時で約10時間。短い時で約8時間ほど、お客様毎に同じことを繰り返していきます。施術が全て終わると、年齢のせいもあるかと思いますが毎日かなりの疲労感に苛まれます。

帰宅後に最も時間を費やしているのが、勉強と編集作業の時間。毎日約4時間。
これは私だけが特別頑張っているわけではなく、どのアーティストさんでも毎日かなりの時間を一日の反省や振り返り、その日の施術を症例写真として綺麗に編集する時間が必要だと考えているはずです。

内容としてはSNSの更新や記事の作成、他のアーティストさんのSNSを見てアートメイクの勉強時間にあてたり、もしくは投稿の画像編集の仕方や文章などもじっくり拝見して見せ方の勉強もしています。

たとえば、インスタグラムの一つの記事を作るのにおおよそ1時間くらいは最低でもかかっていると思います。
私の場合は提携先の集客用に、自分のものとは別途で編集した画像を送らなければならないので、かなり量があるため毎日コツコツ作っています。
つまり、夜に自宅で過ごす時間が唯一のプライベートな時間ですが、それすらも仕事と連動させてしまうようになりました。

このように、会社員だった頃の働き方と比べて大きく変化したのが、時間の使い方とその過ごし方に対する考え方です。良く言えば、時間の使い方を自由に決めることが出来る。悪く言えば、プライベートを含めた全てのタイムマネジメントを、徹底しなければならないということです。

フリーランスのプライベート時間とは

プライベートな時間はどんな風にに使っているのか、どのように考えて行動しているのかを以下に書いてみました。最初に一番大切なことを言いますが、プライベート=完全なる自由時間ではありません。逆に、プライベートな時こそお客様が増える為の努力をするタイミングです。

お客様への返信作業

例えば知人と食事をしている時でも、お客様からの連絡はいつでもやってきます。
しょっちゅうスマホを見ながら食事をするのは一緒にいる方に失礼極まりないので、その場合、確認だけして後で返信します。返信は殆どの場合、落ち着いた時間に出来るだけまとめて返します。都度返信していると、バタバタしておざなりな文面になってしまうのも嫌ですし、返信忘れが多発してしまう原因にもなります。
私は朝起きてから施術が始まるまでと、施術終了後〜帰宅後にしっかり時間をとって返信しています。

帰宅時間を意識する

返信するタイミング以外で知人との食事の際、かなり気にするのは解散時間。
私は元々あまり人と出掛けるタイプではありません。だからこそたまの知人との外出は時間を忘れるくらいに楽しんでいましたし、特に翌日がお休みだった場合には遅くまで一緒に過ごしていることも有りました。今は寝坊することが恐怖なので遅くまで人と居るとソワソワして落ち着かなくなりました。
できるだけ早い時間に開始し終わりも早めるというように調整して、心の安定を保っています。

電車の中でも毛並書き練習

私の場合、ふとした時に毛並みの描き方に急に迷ったりすることがあります。
そんな場合は出勤する前に毛並みを書いてから、朝一の予約に臨むこともあります。それ以外でもカフェでゆっくりしている時間に紙ナプキンに毛並みを書いたり、家でテレビを見ながら人工皮膚で練習したり、時には電車に乗りながら空中に毛並みを書いたり。とにかく、思い立ったら即練習しています。

アートメイクの良いところは、いつでもどこでも毛流れを書く練習が出来るという点です。
基本的に、仕事のことが完全に頭から離れる時間は寝ている時間以外には結構少ないと思います。
施術した後は、必ず帰り道その日の施術について写真を見ながら一人反省会をしたりもするので、施術終了=仕事終了では全くないです。

丸一日の休日というのは、私の様な働き方の場合にはひと月に数日しかありません。
まとまった時間が取れる時にしか出来ないことをやる日にしています。

長時間のマッサージ

常に猫背の様な姿勢での施術なので、首から背中までが居ても立っても居られないほど辛くなることも。勿論ストレッチなどしたりもしますが、やはりプロに頼む方が確実です。いつも2時間くらいのロングコースで、しっかり揉み解しをしてもらうようにしています。
我々アートメイクアーティストにとっては体のメンテナンスが施術に直結するため、とても大切な時間です。

身だしなみを整える

美容室も、まつ毛エクステも、大体2時間くらいはかかってしまいます。
こちらも、仕事終わりで行くと終了予定時刻が閉店時間に間に合わないことが多くてお休みの日に行くことも多いです。
これは本当かどうか分かりませんが、よく、できるビジネスマンは身だしなみを整えていると聞いたことがあります。

私はビジネスマンではありませんが、セルフプロデュースをするプロデューサーだと思っています。これからどんどん自分のファンを増やしていかなければならないので、見られて恥ずかしくない外見に。
そしてなるべく人が見た時に「素敵!この人に任せたい!」と思って頂けるような姿でお出迎えできたらなと日々意識しています。

別の土地や文化にふれる

私の趣味は、海外旅行です。休みはそんなに要らないので、しっかり働いて連休で海外へ飛び、ストレス発散するのが大好きです。
その際、ドラッグストアやデパートなどで海外のコスメやメイクツールを見てまわったり、アートメイクショップのコストの調査をしたり、日本での施術に活かせそうなものがないかアンテナを張りながらの散策も日課です。

街中を歩く女性たちの眉を見て、その国の流行を感じたり、その国ごとの骨格に合わせた眉デザインの傾向なども勉強したりできます。
現状それができなくなってしまった為、国内で近所への小旅行をするようになりました。
美容に興味のありそうな地域なのか、駅前はどのくらい栄えているのか、などを見たりします。
私は今のところ提携先を増やす為の営業をしたことがなく、全て先方からのオファーで成り立っています。
いつ何時お仕事の依頼がきても、どのエリアなら勝算があるのかも念頭においた上で挑戦できるように、情報収集もしながら旅を満喫し、リフレッシュしています。

まとめ

アートメイクのフリーランスナースの一日はこの様な感じです。最近はSNSで顔出ししているナースさんも増えて、華やかに見える世界になってきた気がしていますが、蓋を開けてみると、中は本当に地道な世界です。華やかに見えるほど、裏ではコツコツと地道な努力が必要なのは、どの世界でも同じかもしれません。これからフリーランスアートメイクアーティストを目指す方に少しでも参考になれば幸いです。

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Mei
看護師国試合格後アパレル会社へ就職。その後、臨床経験0のままで美容業界へ。美容ナース歴13年。現在はフリーのアートメイクナースや講師として活動中。