美容医療医師転職のプロが語る「今、美容クリニックへ転職する医師に求められていること」 

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近年、美容医療の需要増加に伴い、美容医療を目指す医師も増加傾向に。今回は、美容医療への医師転職をサポートする「Dr.Connect」を運営するキャリアアドバイザーSさんと吉澤さんに医師転職のプロとしての目線で業界の全体的な流れやクリニック側が求めている医師像、転職で人気があるクリニックなどを伺いました。

■アドバイザーSさん経歴

大手通信会社・医療コンサルティングの個人、法人営業を経て営業本部長に就任。延べ10,000人以上と対談し、転職後も医師のパートナーとして、開業、運営サポートを長期的に支援するのが強み。医療関係者から評価を得ているコミュニケーション能力を活かし、医師が真に求めている条件、課題の発見・解決を信条とする。

■アドバイザー吉澤さん経歴

サービス業・大手通信会社・営業職を経てフォーカスタマー株式会社へ入社。医師キャリアアドバイザーとして美容医療系専門チームに所属し、医師・看護師・薬剤師・コメディカル各職種の転職支援に従事する。現在構築した美容医療業界・大手美容クリニックなどと連携し関係性を100%活かしたリアルな情報を提供できるのが強み。

美容に来る医師は研修を終わったばかりの医師3年目に入る医師と美容含め臨床経験を積んでる医師が大体半分ぐらいという割合になってきているので、若い医師のニーズが増えてきていると思います

ーまず2019年の美容医療への医師の転職動向を教えてください。

吉澤さん(以下Y):2018年以前より、一層美容のニーズがポピュラーになってきた部分があります。知り合いの医師や、先輩医師から美容医療に関する情報が入ってきて、勤務体系、給与等の詳細までは入ってないにしても、ざっくりとした内容ではありますが、美容医療がどのようなものかを知っている医師が多くなってきた印象です。

ーどちらかというとポジティブな印象を持っての転職ですか?

Y:難しいところですが、ポジティブとまではいかないですね。まだ、大学病院などの大きな組織の医局内では美容のイメージはよくはないと思います。基本的に医局内は教授クラスを中心にまわっていきますが、そこから美容に関して来る話というのは、いい話はほとんどないです。

ー教授陣からそのように思われていると。

Y:そうですね、美容医療への理解はまだまだ少ないですね。

ー例えば形成外科や他科の人たちが、自分は美容外科より上のクラスというような捉え方があるということですか。

Y:そうですね。先輩医師から「美容ってすごくいいよ」というよりは、「美容はこんな場所でこんな感じで働けるよ」という話までで止まっているという状況です。

ーなんとなく美容に来たいという転職予備軍も含めて、美容に関心のある方は医局に多くはいらっしゃらないのですか。

Y:難しいですね。もともとはある程度美容科目を経験した医師、一定の臨床経験を積んだ医師たちが美容に来る割合が、7割ぐらいでしたが、今は研修を終わったばかりの3年目に入る医師と臨床経験を積んでる医師が大体半分ぐらいという割合になってきているので、若い医師のニーズが増えてきていると思います。

医師転職「Dr.Connect」コンサルタント吉澤さん

ーどのクリニックさんに行っても開業の方以外だと、確かに若い医師が多い印象はありますね。

Y:そうですね。

サービス業、自由診療というのは、お金が絡んでくる世界でもあるので、例えばスタッフさんへの配慮や、経営を考えてくれる頭がある医師が好まれてくる時代になってきていると思います

ーホームページ等で医師の経歴を見ると、おっしゃっていたように研修後すぐに美容クリニックに入職されている方が多いですよね。実際医師不足の問題はありますか?

Y:美容医療業界の医師不足は昔ほどではないと思います。例えば昔の美容クリニックだと「ドクターが取りあえずほしいから、どんなドクターでもいいので探してもらる?」というニーズだったのが、「できればこういう人柄で美容医療に前向きな医師を探してる」というようなニーズに変わってきています。

アドバイザーSさん(以下S):3、4段階ぐらいでステップが変わってきています。何でもできる医師が少ないので、まずひとつは医師であればいい、そのあと人柄、そして専攻科目が合う方ですね。大手クリニックですと、大手の考え方が理解できている、サービス業を理解できている方、中小企業の医療法人ですと、オーナーの考えをちゃんと汲み取れる方が必要とされています。

サービス業、自由診療というのは、お金が絡んでくる世界でもあるので、例えばスタッフさんへの配慮や、経営を考えてくれる頭がある医師が好まれてくる時代になってきていると思います。なので、研修医の時点で「サービス業としての自由診療ぐらいインターネットで学んできてください」という、そこまできつい言い方はしませんが、汲み取ってもらいたいというクリニック側の本音はあると思います。

ー感覚として持って欲しいということですね。

S:人気があるクリニックだと100人規模の応募があるので、やはりそれは知っているでしょう?というところはありますね。

Y:これは僕のあくまで予想ですが、充足になっているからこそ、そういうニーズに変わってきているというのも1つあると思います。昔は美容医療に来る先生方は医局になじめないとか、医局の勤務体制がきついというので転科されている先生が多かったですが、今の若い先生たちはどんどん職を選べる時代になっています。

何となく美容は楽だから、収入が上がるから、勤務時間は短くて休みが多いから、そういうイメージを持つ先生も多くなってはいるので、気軽な気持ちで美容に来る先生たちが増えてきているからこそ、そういった審査基準を設けているというのも1つあるのではないかと思います。

ー美容は転職する医師にとってはやはり人気があるということでしょうか。

Y:非常にありますね。美容医療は基本、美容外科、美容皮膚科と分かれていますが、美容皮膚科の中にもいくつか種類がありまして、注入、フィラーを専門とするクリニックや脱毛を専門にするクリニック、あとは男性の発毛関係のAGAクリニックとあります。

脱毛クリニックは基本的には給与も高いですし、勤務時間も大学の医局に比べたら短いので人気は高いですね。

S:バランスがよくなってきています。というのは美容医療が認知され始めて、オープンになって1つの診療科目として美容皮膚科、美容外科が認められはじめている中で、先生方の中にも新しい再生医療や勉強が好きな方もいれば、命を救うことを義務としている方、あと親が医者だからしぶしぶやっているという方などさまざまいらっしゃいます。

命を救うことを使命としている医者以外の方、例えば研究が好き、新しい分野に挑戦したい医師が自由診療に向いているのかなと思います。病院に縛られて、できることが限定され、それにわだかまりを感じていて、「自由診療だったらもっと違うことができるのに」という理由で来てくれる方と、バランスが今結構いいので、今後逆転するとお医者さんが溢れてしまう可能性があるので、ちょうど今年、来年ぐらいがそのラインなのかなというところはありますね。

Y:それは感じますね。

我々は先生方が1年目に働いていただく環境をしっかりと見据えて送り出すので、その先生の直属の上司になる方、直の指導者になる方の質を見ます

医師転職「Dr.Connect」コンサルタント吉澤さんと鈴木さん

ーやはりクリニックによって、人気のあるクリニック、そうでないクリニックはありますか?

S:そうですね。やはりオーナーの気質が大きかったりはします。

ー中堅でも大手でも本当にそうなんですね。

S:我々は先生方が1年目に働いていただく環境をしっかりと見据えて送り出すので、その先生の直属の上司になる方、直の指導者になる方の質を見ます。

ー指導医ですね?

S:そうですね。あとは仕事上一番近い事務長さんやナースの師長さんなど、その辺はしっかりと調査します。

ー初めての美容クリニックに送り出すときには、より良い環境の職場で活躍して欲しいですよね。

Y:そうですね。人気があるのは研修制度が充実しているところですね。初めての科目で未知の領域ですので、研修をしっかりやってるところがいいですね。

S:大手クリニックは研修制度がしっかりしているのもそうですし、大手で経験した先生が独立されて研修制度を分かっている方だったら小規模クリニックもいいと思います。小規模クリニックがいけないとは我々も考えてはいないので、その先生がどこにいったかというところで、今年はここのクリニックがいいけど、来年はこっちのクリニックがいいということはよく起こります。

ー最近だと例えば大手クリニックから5年以内で他のクリニックに移られたり、新しいく伸びているようなクリニックに移られたりする印象を受けますが、理由がありますか。

Y:そうですね。大手クリニックは、クリニック全体を維持するための運営の仕方があり、あまりアグレッシブなものに取り組んでいないクリニックもあります。そうすると、新しい別の領域をやりたいという先生の気持ちがあると、ほかのクリニックに移ったりということはあると思います。

S:毎年毎年、離職するクリニックはなにか理由があるところだと思いますが、3年、5年スパンである程度の数の医師が移籍することは、決して悪いイメージではないと思います。そこで3年続けられてスキルを積んだうえで、開業したり、医師は30代、40代で開業する方が多いので、そこは自然な流れなのかなと思います。

そういう向上心のある先生方を送り出してくれる美容クリニックも決して悪いところではないという印象を持ちます。美容医療をきちんといいかたちで伝えてくれれば、組織に残ってもらうのか、開業か、その上のステージでステップアップという見方もできます。

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Dr.Connect
フォーカスタマー株式会社が運営する美容外科・美容皮膚科の医師求人・転職エージェントの「ドクターコネクト」。業界での実績は15年以上になり、独自のコネクションを武器に、多くの医師を美容クリニックへの転職成功に導く。