未経験転職だと気になる美容クリニックのOJT・教育・研修制度について(カウンセラー編)

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未経験の業界に転職を検討する時に、もっとも気になることの一つとして、転職先の教育制度、OJTや先輩からの指導方法があります。早く仕事を覚えられるのかと心配になる人も多いと思います。

今回は美容クリニックカウンセラーに転職を検討している方、カウンセラーとして内定をもらった方へ、入職後のカウンセラー教育制度の内容、OJT、気をつけることなどを元美容クリニックカウンセラーが紹介します。

入職後に待っているカウンセラー教育とは

一人前のカウンセラーになるには?

美容クリニックカウンセラーとして一番の仕事は医師のカウンセリングを受けた患者様の手術予約や施術に関する悩みに適切なアドバイスを行うことです。これに答えることができるようになるためにはクリニックで行う全ての施術について理解をしていなければいけません。

入社後、クリニックの一般的な雑務業務は先輩から都度教わりながら覚えますが、施術内容に関しては勉強をする必要があります。私の勤めたクリニックではクリニックHPの施術詳細を全て覚えて、テストに合格する必要がありました。
テストに合格すると初めて患者様のクロージング(カウンセリング後の患者様対応)や電話対応ができるようになるのです。全ての施術テストに合格をしないと一人前といえず、部位ごとに合格すると昇給になり、全て合格後は年に1度の昇給になります。

施術に関する試験と合格するまでの道のり

クリニックにより異なると思いますが、今回は私の勤めたクリニックでの流れをお話しします。

HPに記載されている施術に関する全ての内容を記憶し覚える必要があります。それは施術方法、ダウンタイム、リスク、患者様からよく寄せられる質問まで記載されている内容を隅から隅まで覚えます。当時はコールセンター部で長く勤務されている先輩がいたので、その方がテストを作成、実施してくれていました。

先輩は施術の覚え方を教えてくれたので、それを参考に仕事の合間をみては勉強し、HPをプリントしたものを自宅に持ち帰り、覚える作業を繰り返していました。

本来、業務中に勉強をするということはあまり良いイメージがないと思いますが、カウンセラーは患者様対応ができてこその仕事です。テストに受かるまでは患者様への説明はできませんので、来院時の受付業務がメインとなります。先輩たちも1日でも早くクロージングに入れるようになるための勉強は許可してくれていました。

テストについては施術部位ごとに行われ、合格するとその部位のクロージングに入ることができます。例えば目元の施術について合格すると目元のクロージングに入ることができるようになるということです。

とにかく覚える内容が膨大にあるのでテストも月に1度行われます。1年まではかかりませんでしたが、全ての施術に携わるにはかなりの時間を要しました。

これについては大体どのスタッフも同じくらいの期間をかけて行っており、私も社会人の中で最も勉強をした期間になります。今でも埋没糸のかけ方や、施術のダウンタイムなどは忘れることができず、覚えています。

美容クリニックカウンセラーのOJT制度

クリニック内の仕事についてはOJT制度で決まった先輩の下、先輩の仕事をサポートしながら覚えるようになっていました。シフト制の勤務なので、先輩が休みの場合は別の先輩が代わりにトレーナーとしてつくようになっていました。最初は先輩と同じ勤務体制で、早番、遅番の仕事の流れを学び、先輩からある程度対応ができると認められると一人で早番、遅番業務をシフトに組み込まれるようになります。

施術のテストに加えて、クリニックでの業務と、覚えることがとても多くて毎日ついていくのに必死だったことを覚えています。なによりも日常業務で患者様に関することについては、誤ってしまうと、その後多くの方に迷惑をかけてしまいます。

例えば、手術で来院した患者様には、術前の確認をして、抜糸などの来院が必要な施術に関しては検診の予約を行います。

もしここで本来化粧をしてはいけないのにしていた、検診の予約が取れていない、支払の最終手続きが済んでいないなどのミスが起こると患者様はもちろん、看護師や医師に迷惑がかかり、再度手続きをすることになり、手術時間が遅れてしまうということもあります。小さなミスが大きなトラブルになりかねません。

ついにカウンセラーとして一人前に

前項で伝えた施術のテスト、OJT研修と長い期間を経て一人前のカウンセラーとして独り立ちをすることができます。クリニック側としても長い期間をかけてカウンセラーを育てます。途中で脱落する後輩も見てきました。

覚えることが膨大過ぎて、心が折れることもありましたが、研修、テスト合格を重ねると昇給するので、達成感を感じ、それがモチベーションの維持になっていました。

また希望者のみですが、施術の様子を見学することもできました。私の勤めていたクリニックでは難しい手術を多く行っていましたので、全身麻酔を使用する手術を見学をしたことがあります。

文章からイメージしていた内容が目の前で行われることにより理解度が深まり、患者様へ説明がしやすくなります。私はオペ見学が可能であれば積極的に参加することをおすすめします。

私のクリニックは美容外科がメインのため、時折新しいヒアルロン酸や手術手技がでればHPを確認する程度でしたが、美容皮膚科や美容機器を取り扱っているクリニックでは新しい機械を導入するたびにメーカーの方、医師が中心となり、勉強会が行われていました。

まとめ

どの業界も初めての場合は覚えることが多く苦労するのは当然です。

美容外科・美容皮膚科は美容「医療」を提供する場です。手術中の麻酔や出血での予期しないトラブル、術後の状態の変化など、様々なトラブルが起こる可能性があります。

それらに対してカウンセラーは事前に患者様へアナウンスして理解してもらう必要があります。施術内容から麻酔を必要とする手術の場合は前日、当日の食事制限などを理解して守ってもらうことで患者様が安全に手術をうけることができます。それをカウンセラーが理解していなければ大きな問題に繋がります。だからこそカウンセラーには手術の知識と経験を重ねた先輩のOJT研修が必要です。

一人前にするまでに長い時間を要しますが、覚えることが多いので致し方ない点もあると思います。小さなミスが大きなトラブルになりやすく、そういったことを防ぐためにも時間をかけて人を育てる必要があるのだと思います。

カウンセラー経験者であれば、美容医療の初歩的なこと、一般的なことについてはある程度理解していますが、手術手技や名称はクリニックにより異なることがあるので、そこは再度覚え直す必要があると思います。未経験者と比較し一人前になる時間は短く済むと思いますので、面接などでは研修に手がかからない点はアピールポイントになると思います。

クリニックによって研修の内容は異なると思いますが、施術を理解する必要があるのはどのクリニックも同じです。

入職後に覚えていけばよいことではありますが、内定をもらった際に事前にするべきことを確認すると良いかもしれません。特にクリニックから指示がなかったとしても、HPの施術を一度しっかり読んでみると入職後役に立つと思います。

今回の記事を参考に、患者様に信頼され、活躍できるカウンセラーになってもらえれば嬉しく思います。

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こみやま みき
大学卒業後アパレル業界にて販売接客に従事した後に某美容外科の受付カウンセラーとして転職をする。カウンセラーとして培ったスキルと経験を活かし美容外科カウンセラーの内情や施術に関するライターとして活動を行う。