美容ナースを辞めたいと思った時に考えること

美容ナースやめたい

今回は美容ナースを辞めたいと思った時に考えることについて解説していきたいと思います。

解説を初めていく前にまずは筆者について簡単に自己紹介させていただきます。

筆者は現在美容ナース歴5年目で小規模クリニックにて管理職を務めています。学生時代は東北で過ごし、大学卒業後に都内の大学病院に就職しました。大学病院時代はNICU(新生児集中治療室)で臨床経験を重ね、数年後に大手美容クリニックに転職をしました。

そこで美容皮膚科と美容外科、双方の知識・スキルを身に付け、「もっと患者さんと近い距離で接客がしたい」と思い、現在の小規模クリニックに転職をしました。また、現在勤めている小規模クリニックと並行しながら、脱毛専門クリニックにてパート勤務もしています。

現在は自分の職場環境にも大変満足しており、日々充実した美容ナースライフを送っている筆者ですが、過去には「もう辞めてしまいたい…」と悩んだこともありました。現在同じような悩みを抱えている美容ナースさんも少なくはないと思います。

辛くなった時に仕事を辞めてしまうことは決して悪いことではありません。ですが、突発的に辞めてしまい、その後の自分のキャリアプランに悩むナースもたくさん見てきました。それとは対照的に、辞める決断が出来ずにずっと悶々としながら働き続けているナースもいます。

転職、退職は自分の考え方次第で逃げにもなり得るし、成長する機会になり得るものです。今「美容ナースを辞めたい」と悩んでいる方は是非今回の記事を参考にしてもらえればと思います。

美容ナースが辞めたくなる瞬間3選

美容ナースが辞めたくなる瞬間とは一体どのような瞬間なのでしょうか。もちろんそれぞれ境遇が違うため理由も様々ですが、特に多く挙げられる3つの理由についてご紹介させていただきます。

保険診療とのギャップ

まず一つ目は保険診療とのギャップです。

こちらは保険診療の分野で長く勤務していた方や、夜勤をしたくない等の理由で「なんとなく」美容業界に転職した方に多く聞かれる理由かと思います。

保険診療と自由診療は全くもって性質が異なります。自由診療は保険診療よりも売上を重視する傾向にあるので、クリニックに来院された患者さんの居心地がよくなるように接遇にも大変気を遣います。

挨拶の仕方、施術の際の患者さんへの触れ方、お見送りの仕方等々、気を付ける場面は多々あります。保険診療の方が雑だという意味ではありませんが、保険診療で受診される患者さんよりも美容クリニックに来院される患者さんの方がデリケートなことが多いです。

例えば点滴をした際に「内出血ができてしまった」とご指摘をいただいたり、「経験豊富な看護師さんに担当してほしい」と希望を出されたり、ということもあります。

このようなことは一般病院で勤務しているときにはあまり経験しないことのため、違和感を感じるナースもいます。

また、美容業界は売上を重視するため営業的な仕事を担うことも少なからずあります。「今月の売上目標は○○円です」、「1日に○件契約を取らないといけない」という話を日々ミーティングで耳にしたり、施術時に「今回でコースが終了となりますが、追加をいかがですか?」と提案したりする必要が出てきます。もちろん一般病院ではそのような経験がないため、美容クリニックでの日々の業務に以前とのギャップを感じ、「自分は美容業界に向いていないのでは?」と感じて辞めたい気持ちが強くなってしまうのです。

業務に飽きた・やりがいを感じられない

二つ目は業務に飽きた、やりがいを感じられない、です。

看護師に限らず、どの業界・職種でも同じことの繰り返しをしていると飽きがきてしまいますよね。美容業界に関して言うならば、特に脱毛クリニックや、ある治療に特化したクリニックで働く美容ナースからこの理由が挙がりやすい傾向にあるかもしれません。

1日8時間勤務する中で同じ施術に入る機会が多いと、流れ作業になりやすかったり、考える機会が減ったりすることで少し物足りなさが出てくるのかと思います。

また、美容クリニックによっては完全分業制のため看護師は施術時にしか患者さんと接する機会がない場合もあります。一般病院で勤めている時には患者さんと一番関わることが多いのが看護師なので「人の役に立っている」と実感しやすいのですが、患者さんとの接する時間が減ることで「私は誰かの役に立てているのか?」とやりがいを見出しにくくなり、その結果、「自分は美容ナースは向いていないのかな…」と考えるきっかけとなることがあります。

人間関係

最後は人間関係です。

こちらに関しては美容ナースに特化したものではなく、どの職場でも起こり得る理由かと思います。

どんなに仕事が楽しくてやりがいを感じていても、毎日顔を合わせるスタッフとの関係が良好でないと仕事はつらいものになってしまいます。

筆者自身も同じ職場の先輩やドクターから理不尽なことで繰り返し注意をされてしまうと、一緒に働いていて辛くなってしまうことがありました。

注意されたことに関しては真摯に受け止め改善するように努めることはもちろん大切です。しかし自分があまりにも精神的な負担を感じ、追い詰められてしまっては好きな仕事も楽しめなくなってしまいます。自分の態度や考え方を改めた上で、それでも悩むようであれば職場を変えてみてもいいかもしれません。

美容ナースが辞めたくなる瞬間・番外編

美容ナースが辞めたくなる瞬間の番外編は「美容業界に未経験で入職したとき」です。

美容クリニックで働いてみるとすぐに実感するのですが、一般病院で培ったスキルが通用しないことばかりです。そのため一般病院での経験が長かった方もまた一から学び始めることになるため、精神的にも肉体的にも負担は大きいです。

看護学校を卒業してから新卒で入職してすぐは誰しもが「つらい。辞めてしまいたい。前の生活に戻りたい。」と感じたと思いますが、美容クリニックに初めて就職するとそのときと似た環境に身を置くことになります。

ただ、この場合の辛い期間は一時的なものです。新しい知識・スキルを身に付けている最中はとてもつらいですが、身に付けてしまえば自分の財産です。

この時期を頑張って乗り越えると、美容ナースとして楽しく働ける未来が待っているので頑張りましょう。

辞めたくなった時に考えるべきことは2つある

辞めたくなった時に考えて欲しいことが2つあります。

まずは自分が理想とする働き方を明確にしましょう。

先にも述べたように、人が仕事を辞めたいと感じる理由は様々です。ただ漠然と「今の職場が嫌だからとりあえず早く辞めてしまいたい」と感じている方もいると思います。ただこのまま辞めてしまうと勢いで辞めてしまった後悔する退職・転職になりかねません。

この先自分が美容ナースとしてもしくは看護師としてどのような働き方がしたいのかを明確にしていくと自分にあったクリニック選びがしやすくなります。積極的にスキルアップしていきたいのか、患者さんとの距離感を近くしたいのか、休みが多めでプライベート重視で職場を探すのか等々、自分が大切にしたいことを分析しておきましょう。

次に、今抱えている悩みは職場を辞めなければ解決しないものなのかを判断しましょう。

同じ職場にいながらでも自分の考え方、行動の仕方で変えられることも多く存在します。

例えば「誰かにやらされている」ような仕事の仕方をしていて飽きてしまったという理由で転職した場合、転職した先でもまた同じような仕事の仕方をしてしまい、「転職してみたけど、なんだかやりがいが感じられないな」と結果として転職前と同じことを考える可能性があります。

まずは自分の考え方を変えてみて「この施術のスタッフ全員の生産性を上げるにはどこを変えてみればいいだろう」「患者さんが過ごしやすい環境はどんな部屋作りだろう」と考えて行動をしてみる。

それだけでも自分の成長に繋げていくことができますし、同じ職場での仕事が今までとは別の視点でみれるようになってきます。そこで充実感を感じられるのであれば敢えて転職する必要はないでしょう。

一方で「今は規模が大きくて一人一人の意見が反映されるのに時間がかかるから、自分の意見もしっかり反映されながらクリニック作りができるところで働きたい」と考えたときはその理想を叶えてくれる転職先選びをスタートさせればよいでしょう。

転職後のキャリアプランを考える

現在勤めているクリニックを辞めた方が最善だと判断した後のキャリアプランの考え方も重要なポイントとなります。いくつかパターンに分けて解説していきます。

1、美容業界内で同じ分野のクリニックに転職(例:脱毛クリニック→脱毛クリニック、美容外科→美容外科)

まずは美容業界内で同じ分野のクリニックに転職する場合です。

この場合は今までの経験・スキルをダイレクトに生かせることができるのでクリニック側にも即戦力として歓迎されやすいです。

仕事内容は嫌いではなかったけれど、人間関係が原因で転職を考えているという方はこのパターンで転職先を検討されるといいでしょう。

転職先で少しでも自分のスキルを伸ばしていきたいと考えるならば、今まで扱ったことのない機械や施術を導入しているクリニックを探しましょう。新しいスキルを身に付けることで自分自身の美容ナースとしての価値は上がりますし、知識のベースはあるため、大きな負担を感じることなく新しい知識を吸収していくことができるでしょう。

2、美容業界内で異なる分野のクリニックに転職(例:脱毛クリニック→美容皮膚科、美容皮膚科→美容外科)

続けて美容業界内で異なる分野のクリニックに転職する場合です。

自分のスキルを積極的に伸ばしていきたいと考えるのであれば、異なる分野のクリニックへの転職をお勧めします。

脱毛クリニック、美容皮膚科、美容外科それぞれで扱う施術、患者さんとの関わり方が全く異なります。転職直後は勉強することが多く、辛い時期となりますが、今まで持っていなかった新しい知識を身に付けることができることは美容ナースとしてのスキルアップに大きな影響を与えてくれます。

そして実際に働いてみることで「こっちの方が向いているかも」と自分に向いている領域に新しく気付けることもあります。

3、クリニックの規模を変えて転職(例:大手クリニック→小規模クリニック、小規模クリニック→大手クリニック)

続けてクリニックの規模を変えて転職する場合です。

クリニックの規模によってそれぞれメリットが異なるため、自分が今勤めているクリニックとは異なる規模のクリニックに転職することで新しい経験を重ねることが可能となります。

大規模のクリニックであれば来院される患者数が多いので、その分多くの症例を扱うことができます。

例えば美容外科であれば1日に行う手術の件数は小規模クリニックに比べ遥かに多いですし、複数のドクターの介助に入ることができるので同じ手術でもドクターごとに手技が異なるということも学ぶことができます。幅広い知識を身に付けたいと考えている方は大規模クリニックへの転職を検討してみるといいでしょう。

しかし大規模になればなるほど職種ごとの業務分担が細分化されるため患者さん一人一人と関わる時間は少なくなります。

今現在よりも患者さんとの関わる時間を多くし、信頼関係を構築しながら仕事をしたいという方は小規模クリニックに転職してみることを視野に入れてみるといいでしょう。

4、一般病院、保険診療のクリニックに転職

最後に一般病院、保険診療のクリニックに転職する場合です。

一般病院から美容業界に転職してみて患者さんとの関わり方などの違いを感じ、保険診療の分野に戻るナースは少なくありません。

実際にそれぞれの領域で働いたからこそ自分にとって適当な勤務先が分かるようになったという点では、美容業界で働いた経験が生きているのだと思います。

皮膚科や眼科、産婦人科などのクリニックでは保険診療をメインにしつつ美容関係の自由診療を行っているところもあるため、美容クリニックでの経験を生かしながら保険診療でのクリニックで働くという選択肢もあります。

保険診療のみでやっていきたいのか、看護師として自分はどのように患者さんと関わっていきたいのかを明確にして、その関わり方が実現できる転職先選びをしていくといいでしょう。

自分の理想のキャリアプランを探して行こう

ここまで美容ナースを辞めたいと思った時に考えることについて解説してきました。

今の職場を辞める、転職をすることは決して悪いことではなく、むしろ自分が成長してくためには必要な決断だと思います。

その際に自分に対し「どんな美容ナースになりたいのか、看護師として患者さんとどのように関わっていきたいのか」ということを問いかけ、明確にし、自分の理想を叶えられる転職先選びを行うことが重要です。

転職は自分の人生のステップアップの場です。周りからのサポートがあったとしても、やるかやらないかは結局自分次第です。

「仕事をやめたいな…」。そう感じた時には自分が成長できるチャンスかもしれません。自分を見つめ直し、自分自身で理想の道を切り開いていきましょう。

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つーさん
岩手県出身。アラサー。学生時代は地元で過ごし、新卒で都内の大学病院に勤め看護師生活をスタート。美容ナース歴は5年目。