蘇原医師(しのぶ皮膚科院長)が語る、ナースに期待すること・採用のこと

美容クリニックという同じ職場で働く医師は、ナースについてどのようなことを思って日々診療しているのでしょうか。今回は東京都港区三田にある人気の美容皮膚科、しのぶ皮膚科の院長である蘇原しのぶ先生にお話を伺いました。

長く保険診療の皮膚科の診療もされていることから、ナースの役割についての自由診療との違いも先生ならではの見解を話していただきました。

とくに当院はナースの経験が豊富な方よりも、キャラクター(人格・性格)を重視しています

ーナースの仕事ぶりのどこに重点を置いていますか?

しのぶ皮膚科は美容皮膚科なので、接客につきます。親身に患者様の言うことを聞けるかどうかが重要です。とくに当院はナースの経験が豊富な方よりも、キャラクター(人格・性格)を重視しています。保険診療にはキャラクターはそこまで必要ないと思います。

保険診療はドクターのサポートが主で、基本は言われたことを正確にすることが求められます。値段が高い自由診療では、患者様の不安をとり除くことを主眼においた美容治療をしたいと思っています。

患者様に対してどのような思いを持って欲しいですか?

私の患者様への思いはナース、スタッフにしつこいほど言って共有しています。患者様への思いを実現するためにクリニックをやっています。メーカーでも商社でもいいですが、一般的な会社と一緒で、社会的な意義が必要と考えていて、私の場合はそれが「人を幸せにしたい」です。特にこだわっているヒアルロン酸注入において、たくさんの患者様に嬉しい言葉をいただいています。私は「ヒアルロン酸をすると人生が変わります」と自信を持って言っています。

朝礼でよく伝えているのは、まず身近な人を幸せにすることからはじまることです。例えばスタッフの家族はもちろん、出入りしている業者さんなど関係者が幸せになることが必要です。

一度しのぶ皮膚科に足を踏み入れた方は、出るときに幸せになっていただいているのが理想です。例えば運送会社の人が荷物を持ってきたとき、忙しくてもスタッフが笑顔でひとこと声をかけたりしています。

患者様には当院の治療がもし気にいらなければ返金しますと言っています。意味がない施術をしたくないですし、自分たちが提供している治療に熱い思いがあリます。それは勤務しているナースもまったく同様の思いをもっていて、「人を幸せにしたい」という私たちのポリシーです。なんのために治療をやっているのかを常に考えながら治療にあたっています。

自由診療のナースは年功序列ではないです。売り上げで追い越したら、お給料は上げています

新しく入ってきたナースの教育方法を教えてください。

リファラル(紹介)の採用も多いので、入る前にさきほどのこちらの思いなどをアナウンスしています。ひとつは楽しくやることが大事です。もうひとつはスタッフ同士なかよくやることが大事です。過去に後輩をいじめる人がいて、雰囲気が悪いときもありましたが、いなくなるとクリニック内がスッと良くなりました。

当院はナースさんに、入るときにどんな働き方がいいか事前にヒアリングをして、極力その方がのびのび働ける環境を用意、実現しています。例えば、旦那さま、彼氏を優先したい、家族との時間をとりたいなどです。優先したいタイミングでは、仕事を無理にやってもらったりはしません。一律に働き方を強制するのではなく、できる限りその方の働き方を尊重したいという思いがあります。

当院はヒアルロン酸注入がメインなので、ナースの働きが売り上げに直結しています。ナースは基本働き者と思っていますが、もし動きが悪かったり、先輩より遅く来ていたら早く職場に来るよう指導します。

またヒアルロン酸の予約が詰まっているときは、時間に余裕がないので、クリニック内は先生も走っているのだからみんなも早足でかけるように、などと言うこともあります。

自由診療のナースは年功序列ではないです。売り上げで追い越したら、お給料は上げています。

美容ナースを目指している方にひとこといただけますか?

美容ナースはシンプルに「美容が好きな人」が向いています。私が主にヒアルロン酸注入の施術をしていて、他の施術はナースにやってもらうことも多いです。スタッフが好きな施術、機器、クリーム、点滴などのメニューは患者様にも自信を持ってすすめています。ナース、スタッフ共に美容が好きなので、他の医師のインスタグラムやブログを読んで、それを教えてくれます。

医師は職人タイプが多いので、ナースには美容が本当に好きで、率先して情報収集しくれたほうが医師として嬉しいです。またクリニックの運営や経営など医師には考えることが多いです。

モニターさんが来るときは、診療時間後でも施術に興味があるからとクリニックに残っていることもあります。また貢献度でボーナスなどお給料にも反映されますので、働きがいもあると思います。

美容医療は心の治療が大事だと思います。若いのに何度もエイジングケアをしたり、自信がない方には、医師のひとことで、気持ちを救えることがあります。逆に美容医療では必要のない施術をすすめる医師もいるので、よくない方向にいく場合もあります。

よくどのようにクリニックなり医師を選んだらいいかと聞かれますが、保険診療と同じで、美容もかかりつけ医を持つことが大事だと思います。信頼する人から紹介してもらうのもよいと思います。

私もたまに出ますが、メディアなど露出が多い医師やクリニックが、腕がある、人気と思われていますが実際は本業とは関係ないです。

採用では基本的には人間的によいひとであるか、を見ています

ナース採用のときに、求職者のどこを見ているか、重視することはなんでしょうか。

当院は紹介や、もと患者様だった方をナースとして採用したこともあります。基本的には人間的によいひとであるか、を見ています。

前のクリニックで長く勤めているひとは評価が高いです。また最近では男性美容もひろまってきているので、美意識が高い男性看護師も歓迎しています。私は前は一般の皮膚科でも長く診療していて、多くのナースと仕事をしてきましたが、美容のナースには、みんななりたいと言います。人気があります。

今回ナースに関して、医師からの見解、クリニックのトップとしての思いを話しました。看護学生の方、他科からの転職希望の方にも、少しでも参考になれば幸いです。

監修:蘇原しのぶ 医師

経歴:東海大学医学部卒
   北里大学皮膚科
   獨協大学皮膚科
   新宿皮フ科副院長
   しのぶ皮膚科院長

公式サイト:https://sclinic.jp/

住所:東京都港区三田5-2-18 三田ハウス104

最寄駅:東京メトロ白金高輪駅徒歩5分、 麻布十番駅徒歩8分

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蘇原しのぶ医師
医師。東海大学医学部卒。保険診療での大学病院での皮膚科、クリニックでの皮膚科勤務を経て、東京三田にしのぶ皮膚科を開業。ヒアルロン酸注入に造詣が深く、数多くのリピーターを持つ。