脱毛クリニックでの部位別レーザー照射技術論&トラブル別患者対応を完全解説! 現役・脱毛ナース目指してる方、今日から使える内容です!

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今回は脱毛クリニックでの必要な知識や施術時の技術面のアドバイスと、患者対応において意識しておいてほしい精神論についてご紹介していきます。

近年人気の高まっている脱毛看護師ですが、病棟で働く看護師とは全く異なる業界のため一体どんなことをしているの?と疑問をお持ちの方も多くいらっしゃるかと思います。

今回はそんな脱毛看護師という仕事について深掘りしてみましたので、脱毛業界に少しでも興味を持たれている方は是非参考にしてみてください(今回は脱毛クリニックで働く看護師を脱毛看護師と表現して進めさせていただきます)。

脱毛クリニックが全国各地で急増中!脱毛看護師は高収入が狙える人気の職種

脱毛クリニックが数年前から全国各地で急増中であることをご存知の方も多いのではないのでしょうか。

少し前までは「脱毛=エステ脱毛」というイメージが強く根付いていました。医療脱毛の方がエステ脱毛に比べ脱毛効果が高いことは知られつつも、価格が高く、痛みも強いため選ぶ人はごく少数といった感じでした。

ですが近年は高い脱毛効果はそのままに痛みは最小限に抑えられた医療脱毛機器が増え、エステ脱毛と変わらない低価格で施術を受けられるようになりました。それにより一気に「脱毛=医療脱毛』というイメージが浸透していきました。

そして同時に医療脱毛業界での看護師の需要が高まりました。エステ脱毛は資格がなくても行えますが、医療脱毛は医師もしくは看護師にしか行うことができないからです。世間の医療脱毛のニーズに応えるためにどの脱毛クリニックも看護師の採用を高待遇の条件で積極的に行っています。

看護師は肉体的にも精神的にも負担が大きい職業であり、「採血、注射などの医療行為に苦手意識がある」「夜勤が辛い」「人の命を預かっているという緊張感が常にあり休まらない」というような思いを持たれている方は少なくありません。そして働いて行く中で「自分は看護師に向いていないのでは?」と悩んでしまう方もいらっしゃいます。ですが看護師として活躍できる場は病気を治す一般病院だけではありません。

今よりもきれいになりたいという方々をサポートする美容業界でも看護師は活躍できるのです。美容の中でも特に脱毛は夜勤なし、注射・採血などの医療行為が少ない、臨床経験が少なくてもOKという条件が揃っています。病棟でバリバリ働くのは厳しいけれど、看護師としての資格を生かしたい!
そう考える方は今人気の高まっている脱毛看護師を選択肢の一つに加えてみてもいいかもしれません。

脱毛看護師ってどんなことをしているの?

続けて脱毛看護師は一体どんなことをしているのかご紹介していきます。

脱毛看護師は患者さんが施術部屋に入室してから退室するまでの施術に関すること全般を任されています。まずは担当する患者さんを施術部屋にご案内し着替えを促します。その後医師による照射前の肌診察が行なわれるため、診察の補助につきます。そこで患者さんの肌の状態やこれまでの脱毛効果の有無などを踏まえて機械の設定を医師の診察をもとに決定していきます。
照射中は基本的には看護師のみで行いますが、クリニックによっては看護助手がいるところもあり、そうしたクリニックでは照射以外のシェービングや照射時にジェルを使用する場合の介助を助手がサポートしてくれます。

照射後の施術部屋の掃除や使用したタオルなどの洗濯も看護師の仕事となっていることも多いです。

そして脱毛で使用する機械は非常にデリケートなものが多く、使用方法やメンテナンス方法を誤ると故障につながり、最悪の場合は予約していた患者さんに施術を提供できないということにもなり得ます。そのため日々のメンテナンスや定期的な業者によるメンテナンスの調整も脱毛看護師の重要な役割です。

以上が脱毛看護師の一般的な業務内容になります。

脱毛クリニックで起こりうる肌トラブル

脱毛看護師を目指すにあたり業務内容を知ることは大切ですが、仕事を行っていく中でどのような肌トラブルが起こりうるのかも簡単に把握しておくとよいでしょう。
脱毛クリニックで起こりうる肌トラブルとしては主に2つあり、①硬毛化(こうもうか)・増毛化(ぞうもうか)、②やけど、となります。
それぞれ詳しくみていきましょう。

①硬毛化・増毛化

脱毛クリニックで起こりうるトラブルの一つ目は硬毛化・増毛化です。
脱毛は今生えてくる毛をなくす、量を少なくするために脱毛レーザーを当てて行う施術です。
ですが脱毛するためのレーザー照射がメラニン量が少ない、薄い毛が多いなど条件が合わない毛に対してはかえって刺激になってしまうことがあります。つまり、もともと薄かった毛が濃く、太くなってしまったり、毛が少なかった部分が以前より毛の量が増えてしまったりという現象が起こりうるのです。これを硬毛化・増毛化といいます。

産毛などもともと毛が薄い部位で起こるリスクが高く、うなじや背中、二の腕の外側などが該当します。そして一番厄介なのが、これだけレーザーのテクノロジー・研究が進んだ現代でも硬毛化・増毛化の原因が分かっていないということです。

そのため硬毛化・増毛化が起こった場合の対応法はクリニックにより様々です。一番確実に対処できる方法は針脱毛です。こちらはレーザーを照射するのではなく、毛の毛根部に沿わせて針を入れ、電気熱で毛を作り出す部分を破壊し、永久脱毛の効果を得る技術となります。これなら硬毛化・増毛化してしまった箇所にも問題なく対応できます。ですが高い技術が必要であり、脱毛クリニックでも針脱毛を行っているクリニックは極めて少ないです。

針脱毛を行っていない場合は使用する機械を変えたり、同じ機械でレーザーの波長の設定を変えたりして対応することが多いです。レーザーの波長を変えることで照射部分への刺激の加わり方が変わり、正常な脱毛効果が得られるようになることがあるからです。しかしながら確実な対処法ではないため、患者さんとコミュニケーションを取りながら、ベターな方法を見つけていくという流れにはなります。

対応が難しい部分ではありますが、クリニックごとに必ず対処方法は定められているのでまずはその対処方法をしっかりと把握し患者対応に臨むこと、そして不安な気持ちを抱えた患者さんに対し精神面のフォローも忘れずに行っていくことを覚えておきましょう。

②やけど

二つ目はやけどです。
医療脱毛レーザーのメカニズムを簡単に説明するとレーザーを毛の黒い色(メラニン色素)に反応させて毛根から焼き切るものになります。そのため日焼け肌や色黒肌の場合、肌にメラニン色素が多く存在し、毛だけではなく肌にもレーザーが反応してしまいます。するとレーザーを照射することで肌自体にも熱が加わりやけどのリスクが高まるのです。

レーザーの出力を低くすれば当然やけどのリスクを下げることはできますが、それでは十分な脱毛効果が得られず、患者さんの満足する結果を得ることが難しくなります。やけどはしないように、けれども脱毛効果は得られるように出力調整をしていく必要があるのです。
そして照射中は患者さん側も「できるだけ高い出力で当ててもらいたい」という気持ちから痛みを感じていても我慢して教えてくれないことも少なくありません。
赤みが強く出ていないか、長く続いていないか、水膨れは見られないかなど照射中もやけどの兆候の有無を観察しながら施術を行っていくことが重要となります。

レーザー脱毛の照射部位別技術論

ここからは照射部位別の技術に関する説明をしていきたいと思います。
今回は照射部位を①背中〜臀部、胸〜腹、②脚、③腕、④脇、⑤VIO、⑥顔に分けて説明を行っていきます。

①背中〜臀部、胸〜腹

この部分は照射のために関節を動かす必要がなく、凹凸も少ないので照射がしやすい部位です。そのため新人看護師はまずはこの部位を使って機械の使用方法を学ぶことが多いです。ちなみに練習は先輩看護師の体を借りて行うことがほとんどです。

一方で、感覚が敏感な方はこの部位の照射はくすぐったく感じてしまいじっとしていられないという場合もあります(すごい方だとベットから落ちそうになるほど激しく動きます笑)。
その際はいつもよりマーキングを細かく取り照射漏れ(=脱毛レーザーが当たっていない箇所が生じること)を軽減できるような工夫をしてみるといいでしょう。

②脚

脚も平面が多く当てやすい箇所になります。
しかし膝下や膝周りはしっかりとした毛が生えやすい箇所でもあり、その分痛みは感じやすくなります。
もともとの毛質がしっかりとしている方や毛量が多い方は強い痛みを感じやすいので、痛みの程度は我慢できる程度かこまめに確認しながら照射を進めていきましょう。

また、照射時に皮膚が弛んでいる状態だとレーザーがしっかりと反応しません。そのため膝は脚をただ伸ばしている状態だと皮膚が弛んでいて十分な脱毛効果を得られにくくなってしまうので、患者さんに膝を曲げてもらうか、自分自身でしっかりと皮膚を進展しながら照射していくようにしましょう。

③腕

腕は関節があり色々な方向に動かすことができるので照射漏れが起きやすい箇所です。マーキングで照射部分をどのように区切るか、どの順番で当てていくかをパターン化し、抜けが出ないようにしましょう。またマーキングの境目の部分は照射漏れが出やすい箇所にあたるので、重ね気味に密で当てていくとよいでしょう。

また足の爪にも当てはまるのですが、ネイルをしている方を照射する場合、レーザーがネイルに当たってしまうとネイルが変色してしまったり、やけどしてしまったりすることがあります。そのためネイルにレーザーが当たらないように自分の手で保護しながら行うなどの配慮も必要になってきます。

④脇

脇は照射範囲が狭いので照射しやすい部分ではありますが、毛がしっかりしている部分なので照射漏れが分かりやすい箇所です。そのため他の部位よりも密に照射する意識の方がよいでしょう。

また、毛がしっかりしているので痛みがとても大きい箇所です。他の部位よりも照射スピードを落とすなどして患者さんの苦痛に配慮した照射を意識して行いましょう。

⑤VIO

VIOは一番羞恥心が大きい箇所であり、さらに一番痛みが強い箇所です。
脱毛時には患者さんにあらかじめ自分でシェービングをしてくるようお願いをしていますが、自分では見えにくい部分のため剃り残しが多く見られやすいです。そのため剃り残しの箇所は看護師がシェービングを行うことになります。

VIO以外の箇所に関しては電動シェーバーを利用してシェービングを行いますが、VIOに関しては感染リスクなどを理由に普通のカミソリを使用してシェービングを行うクリニックがほとんどです。カミソリの方がシェーバーに比べ皮膚を傷つけ出血する可能性が高いので傷つけないように丁寧に、そして羞恥心のある箇所なので手早く行うということが必要となります。

照射時は痛みが強いので照射スピードは他の箇所に比べゆっくりと行います。そして脇同様毛がしっかりしている箇所なので照射漏れが分かりやすいです。痛みにより患者さんが体を大きく動かすこともありますが、患者さんのペースに合わせて漏れないように照射を行う技術が必要となります。

⑥顔

顔は凹凸が多いため難易度が高い箇所です。さらに髪、眉、まつ毛など当たってはいけない部分もあるので最初はゆっくりと照射を行い、慣れてきたらスピードを上げていきましょう。

照射中はアイカバーをつけますが、患者さんのつけているマツエクが長く、カバーからはみ出ていてレーザーが当たりボロボロになってしまうというケースもあります。とにかく気をつけましょう。

また顔の中では鼻下が一番痛みを感じやすい箇所になります。鼻下の照射時は他の部分に比べて照射スピードを落として当てて行くとよいでしょう。

患者さんから好かれる脱毛看護師になるために意識するべきこと

技術力が高い脱毛看護師であることも大切ですが、ある一定のレベルになると技術の差はあまり大きなものではなくなります。それよりも接遇レベルの方で看護師としての差がつきやすいです。なのでここからは患者さんから好かれるために意識するべきことについて解説していきます。

結論としては脱毛される患者さんの立場・気持ちになって行動するということに尽きます。簡単で当たり前のことですが、これが難しいのです。

脱毛クリニックは時間管理がとても大変です。患者さんは完全予約制できているため前の患者さんの施術を長引かせるわけにはいきません。ですがクリニックが設定する脱毛の時間は一人でも多くの患者さんが予約を取れるように非常にタイトに組まれています。そうするととにかく時間内に施術を終わらせるために流れ作業で施術をする看護師が出てきます。

患者さんが痛みを感じていても照射スピードを落とさない、羞恥心がある部位をタオルで隠すなどの配慮をしない、そういう対応をしてしまう看護師もいるのが事実です。ですが、そんな施術を受けて患者さんはどう思うでしょうか?いい思いは決してしないと思います。

患者さんの気持ちはできるだけ配慮しながら、他の部分で効率的に進められる部分はないかと考えるのが脱毛看護師のやるべきことです。新人の時点では特に時間が足りなくなって雑になってしまう場面もあるかと思いますが、「患者さんの気持ちを最優先する」、このことをどんなときも必ず念頭に置いて施術に入っていると、自ずと患者さんから好かれる脱毛看護師になっているはずです。

脱毛看護師として看護師ライフを楽しもう

看護師は人の命を助ける、病気を治すというイメージの強い職業であり、そんな責任の大きな仕事だからこそ肉体的、精神的にストレスを抱えてしまう看護師が多いのが現実です。

ですが、看護師という資格を生かしながら、「人を美しくする」という選択肢もあるのです。脱毛看護師は通常の看護師としてのスキルとは全く異なるスキルを求められる業界のため初めは戸惑うこともあるかもしれませんが、やりがいを感じつつ、自分のプライベートも充実させることができる素敵な職業だと思います。

看護師としての今後のキャリアをどうしようかと考えられている方は脱毛看護師として看護師ライフを楽しむという選択肢を持ってみてはいかがでしょうか。

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つーさん
岩手県出身。アラサー。学生時代は地元で過ごし、新卒で都内の大学病院に勤め看護師生活をスタート。美容ナース歴は5年目。