医療脱毛レーザーの特徴と人気脱毛機器5種の特徴と施術時の注意点【脱毛ナース向け】

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今回は医療脱毛レーザーの特徴と人気の医療脱毛機器について解説していきます。これまで脱毛といえばエステ脱毛が主流でしたが、最近ではクリニックでの医療脱毛も安価で受けられるようになったことから「脱毛といえば医療脱毛」というイメージが広く浸透するようになってきました。

それに伴い首都圏を中心に医療脱毛専門のクリニックも多く見かけるようになりました。ですが一言に医療脱毛と言っても、クリニックにより使用している脱毛機器は異なり、そして機械ごとに特徴が大きく異なります。

脱毛クリニックで勤めていると患者さんから「この機械って○○クリニックで取り扱っている機械と何が違うんですか?」「脱毛するにはどのレーザーの機械を選ぶのが一番なんですか?」というような質問を受けることも少なくありません。この質問に答えることができなければ患者さんからの信頼がなくなってしまうことは言うまでもないでしょう。

脱毛看護師として最低限知っておいてほしい知識を紹介していきますので、脱毛看護師を目指している方、新人の脱毛看護師の方は是非参考にしてみてください。

脱毛レーザーは3種類のレーザーの特徴を抑えておけばOK

まずは医療脱毛レーザーに関して学習していきましょう。

現在日本のクリニックで主に使用されているのは「アレキサンドライトレーザー」、「ダイオードレーザー」、「YAG(ヤグ)レーザー」の3種類になります。

この3つの違いは何かと言うとレーザーの波長の長さが違います。波長が短い順にアレキサンドライトレーザー<ダイオードレーザー<YAGレーザーという順になります。この波長の長さの違いによって脱毛効果の得られ方に差が出てるのです。

それぞれのレーザーの特徴について見ていきましょう。

アレキサンドライトレーザーの特徴

まずはアレキサンドライトレーザーについてです。

アレキサンドライトレーザーは3種類の脱毛レーザーの中で最も波長が短いレーザーになります。

アレキサンドライトレーザーはメラニンに反応しやすいという性質を持っています。毛のメラニンに反応して毛根部を破壊することで毛を生えにくくする効果があります。そのため、脇や肘下、膝下などの濃い毛や太い毛の脱毛を得意とします。

それに対して、色の薄い産毛には効果が出にくいという点や、色黒肌の方の場合は肌のメラニンに反応してしまいヤケドのリスクが高く照射することができないという点がデメリットとして挙げられます。

また医療脱毛のリスクとして、産毛が多い部分、毛量が少ない部分が逆に毛が濃くなったり、毛量が増えてしまう硬毛化、増毛化という現象がありますが、アレキサンドライトレーザーが3種類の中で一番そのリスクが高いと個人的には感じています。

硬毛化・増毛化の原因ははっきりとわかっていませんが、メラニンが少ない箇所に対してはうまくレーザーが反応できず、かえって刺激になってしまい硬毛化・増毛化を引き起こしているのかもしれません。

このことからアレキサンドライトレーザーは毛質や肌質によって得意・不得意がはっきりとしているレーザーという印象です。

以上がアレキサンドライトレーザーの特徴です。

ダイオードレーザーの特徴

続けてダイオードレーザーの特徴です。

3種類の脱毛レーザーの中で波長の長さが中間であることから、幅広い毛質や肌の色に対して脱毛効果を得ることが可能なレーザーです。

ダイオードレーザーはさらに「熱破壊式」のダイオードレーザーと「蓄熱式」のダイオードレーザーの2種類に分けられます。この2つの異なる点は照射ターゲットです。

熱破壊式ダイオードレーザーは前述したアレキサンドライトレーザーと同様毛根が照射ターゲットとなります。レーザーがメラニンに反応し、毛根を破壊することで毛を生えにくくします。そのため色素が薄い産毛よりも濃く太い毛の方が脱毛効果を感じられやすく、色黒肌・日焼け肌の方はヤケドのリスクが高くなるため適しません。

それに対し蓄熱式ダイオードレーザーはバルジ領域という発毛因子を出す組織がターゲットとなります。低出力のレーザーをバルジ領域目掛けて連続照射することで毛を生えにくくします。低出力のレーザーで行う方法のため医療脱毛の中では最も痛みが少ない方法とされています。そしてメラニン色素に左右されないため産毛にも効果が得られやすく、色黒肌・日焼け肌の方にも対応できます。

以上がダイオードレーザーの特徴です。

YAGレーザーの特徴

最後にYAGレーザーの特徴です。

YAGレーザーは3種類のレーザーの中で最も波長が長いレーザーになります。このYAGレーザーも毛根に存在しているメラニンの黒色に反応して毛根周辺の組織を破壊していきます。

肌の深いところまで波長が届くため、アレキサンドライトレーザーやダイオードレーザーで対応ができない毛根が深い位置にある頑固なムダ毛にも対応できるのが特徴です。

また、波長が長いことで肌自体に含まれるメラニンへの反応が弱くなります。YAGレーザーが到達するのは肌のメラニン色素が存在している位置よりもさらに深い位置だからです。つまり他の2種類の脱毛では対応がしづらかったメラニンを多く含む色黒肌の方にも対応可能ということになります。

しかしながら、日本ではアレキサンドライトレーザーとダイオードレーザーでの脱毛が主流となっており、一般的な肌質や毛質の方に対してはあまり使用されないマイナーな種類のレーザーとなっています。
そのため全身脱毛でメインで使われるというよりは、他のレーザーで対応できなかった色素沈着のある肌の部分に対して使用したり、他のレーザーで数回当てても毛がなくならない場合に部分的に使用したりと、他2つのレーザーで対応できないときに使用されることが多いレーザーとなります。

具体的には他2つのレーザーで硬毛化・増毛化が起きてしまい波長を変えて対応するという場合や、肌の色は標準だけれども女性ホルモンの影響でVIOの色素沈着が強く出ておりやけどのリスクが高いと判断された場合に部分的に使用することがあります。

メインにはならないレーザーですが、導入していれば対応できる患者さんの幅がぐっと広がる、そんな印象のレーザーです。

以上がYAGレーザーの特徴になります。

実際に脱毛クリニックで使用されているのはどんな機械?

それでは実際に脱毛クリニックで使用されている脱毛機器はどんなものがあるのでしょうか。

クリニックによってはクリニック独自の脱毛機器を使用しているところもありますが、多くのクリニックは「ジェントルレーズプロ」、「ジェントルマックスプロ」、「ライトシェアデュエット」、「メディオスターネクストプロ」、「ソプラノアイスプラチナム」の5種類のうちいずれかを導入しています。

ここからはこの5種類の脱毛レーザー機器の特徴についてそれぞれ見ていきましょう。

ジェントルレーズプロ・ジェントルマックスプロの特徴

まずはジェントルレーズプロとジェントルマックスプロについてです。

ジェントルレーズプロはアレキサンドライトレーザー、ジェントルマックスプロはアレキサンドライトとYAGレーザーの医療脱毛機器になります。
ジェントルマックスプロについては2種類のレーザーが一度に出るのではなく、どちらかのレーザーに切り替えて使用するものです。

「ジェントルレーズ」「ジェントルマックス」という名前のものもありますが、ジェントルレーズ・ジェントルマックスが旧型で、プロが付く方が新型です。プロの方が照射スピードが早くなり、さらに対応できる肌質や毛質の幅が広がったため、現在はジェントルレーズプロ・ジェントルマックスプロの方を導入しているクリニックが多い印象です。

ジェントルシリーズは照射時にジェルを使用する必要がありません。照射する側にとってはジェルを載せたり取ったりする手間がないのは照射時間の短縮になりますし、照射される側はジェルを体に載せられる「ひやっ」とした感覚を感じる必要がありません。

そして照射口は円形になっています。このあと紹介するライトシェアデュエット、メディオスターネクストプロ、ソプラノアイスプラチナムはいずれも照射面が長方形です。照射口が円形の場合、長方形と比べてオーバーラップ(=照射面と照射面の重なり具合)を多めに取らないと照射漏れ(=脱毛レーザーがしっかりと当たっていない部分が出ること)が生じやすくなります。

ジェントルシリーズの場合は照射後1、2週間で毛が抜けてくるのですが、照射漏れをしてしまうと当たっていないところだけ毛が抜けず綺麗に残ってしまうのです。特に毛質のしっかりしている脇やVIOは照射漏れがあると非常に目立つので、照射する際には1ショット1ショットのオーバーラップを他の箇所よりも多めに、密に照射するとよいでしょう。

以上がジェントルレーズプロ・ジェントルマックスプロの特徴です。

ライトシェアデュエットの特徴

続けてライトシェアデュエットについてです。
ライトシェアデュエットは熱破壊式ダイオードレーザーの脱毛機器です。

1つの機械にHSとETという2種類のハンドピースが搭載されいるのが特徴です。HSハンドピースは照射面が大きく吸引機能がついており、照射時はレーザーが出るのと同時に吸引により軽く皮膚を引っ張られる感覚があります。このHSのハンドピースでほぼ全身を照射していきます。

そしてETハンドピースは照射面が小さく小回りがきく仕様になっています。これによりHSのハンドピースで当てきることができないVIOや指などの細かい部分まで照射することが可能です。

ライトシェアデュエットも照射時にジェルを塗る必要がないため照射するスタッフ側も照射される患者側も負担が少なくて済みます。

照射時の注意点としてはまず一つ目に照射漏れです。先程のジェントルシリーズの照射口は円形ですが、こちらのライトシェアデュエットの照射口は四角(長方形)です。形としては円よりも照射漏れが起きにくいですが、どうしても照射漏れをしてしまうことがあり得ます。毛質がしっかりとしている箇所は特に目立ちやすいので、意識的に密に当てていきましょう。

注意点のニつ目としては照射前のシェービングをしっかりするということです。

ライトシェアデュエットは剃り残しがあるまま照射してしまうと照射によって焦げた毛により照射面にも焦げが生じ、ハンドピースの劣化につながってしまいます。
機械を丁寧に使用し、日々のメンテナンスもしっかりとすることも脱毛看護師の仕事の一つです。照射する際にはシェービングも抜けなく行うようにしましょう。

以上がライトシェアデュエットの特徴です。

メディオスターネクストプロの特徴

続けてメディオスターネクストプロについてです。
メディオスターネクストプロは蓄熱式ダイオードレーザーの脱毛機器で、毛根ではなく発毛因子を出すバルジ領域をターゲットとして脱毛効果を得ます。

蓄熱式という文字通り熱を蓄えるタイプの機械のため、1発ごとのパワーは弱いのですが、1秒間に何度もレーザーが照射されることでじわじわとバルジ領域を破壊していきます。バルジ領域をターゲットとしているため、メラニンには左右されづらく、色黒の方であったり、産毛が多い箇所にも対応可能です。また、1発ごとのパワーが弱いため肌への刺激が少なく肌が弱い方にもおすすめとなります。

メディオスターネクストプロはジェルを使用して照射を行います。ジェルを塗ったり取ったりする手間がありますが、ジェルを使用することで照射面をスライドさせながら照射することができるので照射漏れが発生しにくいというメリットがあります。
ですが患者さんからするとジェルを塗るのはひやっとしてストレスを感じる部分でもあるので、声かけを行い少しでも不快感が軽減するようにしていきましょう。

またスライドさせて照射する場合は骨張っている箇所にハンドピースが強く当たってしまう可能性があるので、脱毛の痛みとは関係のないところで患者さんを傷つけてしまわないように注意しましょう。

メディオスターネクストプロは今回紹介する脱毛機器の中では一番ハンドピースに重みがあり、無理な姿勢で照射を続けると腰痛などの原因となっていまいます。これは照射時のベットの高さである程度カバーできる部分なので、色々なベットの高さを試しながら一番自分が照射が楽だと思える高さを見つけていけるとよいでしょう。

以上がメディオスターネクストプロの特徴です。

ソプラノアイスプラチナムの特徴

最後にソプラノアイスプラチナムについてです。
ソプラノアイスプラチナムも蓄熱式の脱毛機器という分類にはなるのですが、実はアレキサンドライト・ダイオード・YAGの3種類のレーザーがブレンドされており、3つの波長を同時に照射することができます。
同じ部位の毛であっても生えている深さは同じではないため、一度に色々な深さにレーザーを照射することができるというメリットがあります。

照射はジェルを使用してスライドさせながら当てていくため照射漏れも発生しづらいです。

蓄熱式の場合、照射中は痛みというよりも熱さを感じます。そしてずっと一定で熱さを感じるというよりも、肌の内部に徐々に熱が蓄えられることで後半にいきなり熱さを感じるというケースが多いです。そのことを予め患者さんに伝え、熱さがつらいときには少し休みながら照射をするとよいでしょう。

ソプラノアイスプラチナムは照射中、画面に合計どのくらいの熱量を照射したかが数値で表示される仕様になっています。その数値を見ながら患者さんがどの程度で熱さを感じやすくなるかの一つの指標にしてみるといいでしょう。

最近ではソプラノアイスプラチナムの次世代版であるソプラノチタニウムを導入するクリニックも徐々に増えてきており、こちらはアイスプラチナムの約半分の時間で施術が完了すると言われています。今までの約2倍の患者さんの施術を行うことができるという面から、今後はチタニウムを導入するクリニックが増えてくるでしょう。

以上がソプラノアイスプラチナムの特徴です。

脱毛機器の特徴を理解し、患者さんから信頼される脱毛看護師になろう

今回は医療脱毛レーザーの特徴と人気の医療脱毛機器について解説しました。脱毛看護師になりたての時期は日々の業務に追われてしまい、ついつい知識の習得が後回しになってしまいがちです。
ですが、ただ機械の扱い方を覚えただけでは患者さんから信頼される脱毛看護師にはなれません。

脱毛に関する正しい知識と患者さんの苦痛や不安を軽減するサポートができてこそ信頼を勝ち取れるのだと思います。

また、脱毛レーザーは次々と性能が良いものが登場してくるので、最新の情報を自分から取りにいく意識も必要です。

たかが脱毛ではなく、されど脱毛です。
知識をしっかりと磨きながら、患者さんから信頼される脱毛看護師を目指していきましょう。

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つーさん
岩手県出身。アラサー。学生時代は地元で過ごし、新卒で都内の大学病院に勤め看護師生活をスタート。美容ナース歴は5年目。