皆さんこんにちは。美容ナースえりです。
私は4年間臨床現場で働き、その後3年ほど大手美容外科クリニックに勤務後、現在も美容皮膚科の看護師として働いております。皆さんに美容の世界とは学ぶことも多く努力も必要だけれど、こんなに楽しくてやりがいのある仕事なんだということ広く知ってもらい、楽しく読んでいただけたら嬉しいです。
今後、美容ナースへの転身や転職を考えている方、新人ナースさん達にわかりやすく、私自身の経験談を交えてお話ししていこうと思います。
今回は美容クリニック専売商品の患者さんへの勧め方・商品を取り扱う看護師の役割についてお話ししていこうと思います。
美容クリニックに入職するとまずはじめに物品販売の壁にぶつかると思います。どれも似たようなパッケージ、成分、種類もたくさんあって「こんなにたくさんおぼえられない」、「患者さんは何が本当に欲しいのかわからない」「押し売りしているような気がして不安」「あまり商品を売りたくないな」などなど新人ナースさん達が困惑しやすい理由も合わせてお伝えしていきます。また、実践の場でも使えるテクニックなどもご紹介していきますので、是非最後までご覧くださいね!
看護師が行う物品販売ってなに?
まずはじめに物品販売の意義について簡単にお話ししていこうと思います。
今まで病院で働いてきたナースにとって、物品販売というとなんだか急に営業っぽく感じて「いやだな、なんとなく苦手…」と少なからず不安や違和感があるかなと思います。わたしもはじめはそうでした。患者さんに商品を押し売りしているような感覚がとっても苦手で患者さんに物品をおすすめすることから逃げていた時期もあります。しかし物品販売の必要性と、物品販売における看護師の役割を理解したからこそ患者さんに適切な商品を自信を持っておすすめすることが出来るようになりました。
重要なのは、患者さんをよく観察し、よく知ることです。クリニックで行う治療にプラスして自宅でもケアして貰えたらいかに効率よく治療が進められるかを考えながら患者さんに必要最低限なところからお話ししていきます。トップセールスマンのようにお話しが上手くできなくても大丈夫!患者さんに必要な情報を正しく提供することが医療者としての看護師の大きな役割です。
また、物品販売で得られた収益はクリニック全体の利益となるので私たちが働きやすい環境で働くためには必要不可欠なのです。
そのため、沢山売り上げに貢献してくれるナースにはインセンティブ(お手当)としてお給料に上乗せになって私たちに還元されることもあります。
病院で働いていたときよりもスタッフ一人一人の行動が重要になってきます。月のノルマを設けているクリニックもあるくらい、美容クリニックで物品販売は重要視されているのです。
知識の習得方法について
おもに物品販売は、美容クリニックに入職すると最初に勉強することになるかと思います。スキンケアアイテムから美容サプリ、コスメ、ヘアケア用品、まつげ育毛剤など幅広く取り扱っているクリニックが多いと思います。
それらのほとんどがクリニック専売商品・ドクターズコスメとうたわれており市販のものより高価ですが、その分成分や効果の出方にかなりこだわったものになっているので効果はとても高いです 。
知識についてはクリニックによりさまざまですが、確認テストがあるところが多いと思います。しっかり商品について理解しているか、患者さんに質問されても正しく説明できるかなど先輩ナースが細かく見てくれるので安心してくださいね。
はじめは出来なくても全然大丈夫です!少しずつ理解していき、知識を確実なものにしていきましょう。あとは、社員割引き制度などが福利厚生で用意されていますので、実際に自分で商品を購入して試してみてテクスチャーや使用感を患者さんにお話しするのも説得力があって効果的ですよ!
商品の知識だけではなく皮膚科の病態整理(にきびやしみについて)なども一緒に頭に入れておくと、医療的見解から説明ができるので、かなり説得力が高くなり、患者さんに納得して商品を購入してもらえるチャンスが増えます!
そういったコツも何度か商品を患者さんに勧めていくなかで理解していけると思うので最初から焦る必要は全くありません。もしどうしていいかわからないなど不安がある場合は上手くいっている先輩のマネをすることが早くできるようになる近道ですよ!どんな構成の説明をして、話し方の雰囲気はどうなのか。どのようにしてうまく患者さんの心を掴んでいるのか、何かヒントが隠されているはずです。恥ずかしがらずにわからない事はなんでも先輩に聞いて、1日でも早く自分のものにしてしまいましょう!
患者さんへの商品の勧め方
とはいえ、一方的に商品を勧めても「押し売りされた」「買う気持ちがなくなった」というご指摘があるのも事実です。
自分自身は、患者さんのためを思ってお話ししたのにどうして?と感じて悲しくなってしまう事もあるかもしれません。
そういった時に大切にしてほしいのは患者さんがなにを必要としているのかしっかり観察して理解することです。
あれもこれもおすすめしたい気持ちはわかりますが、患者さんがなにを現時点で最優先にしたいのか。本当は全部買いたいけど今月はお財布に余裕がない方には最小限のアイテムを。
結婚式が間近に迫っていて最短コースでお悩みを解決させたい方にはスペシャルコースを。
治療を効率よく行いたい方には、成分の組み合わせの良いものを提案する。
などなど患者さん一人ひとりでそれぞれ違う物品販売の提案ができるかと思います。
とにかく患者さんをよく知ることが大切ですので、寄り添う姿勢で丁寧に対応しましょう。何事も焦りは禁物です。
購買意欲8段階
これからお話しするのは商品を購入する際に人間はどのような気持ちや考えで、「買う」と決断するのか心理学を参考にしながらお話ししていきたいと思います。この8段階に沿ってひとつずつクリアしていけば購入につながるというものです。
しかし、あくまでも患者さんの気持ちをよく理解し、最優先に考えるようにして下さいね。
1. 注目
美容クリニックでは街中のポスターや最近ではSNSを見て商品を知り、「欲しい」と思う患者さんも多いです。ネットが普及した現在、さまざまな広告の方法があります。
2. 興味
女性向けの商品はパステルカラーやキラキラでゴージャスな物、男性向けの商品にはブラックやネイビー などシックでシンプルな物が人気が高いです。これらの「色」にも人間の心理学がもちいられています。
3. 連想
患者さんは興味を覚えた目の前の商品を自分が使用したらどうかしらと想像し始めます。です。
4. 欲望
患者さんはその商品を欲しくなってきますが、この商品が自分に最適か、さらにはもっとよいものがあるのではないかと期待します。
5. 比較検討
患者さんは「もっといいものがないかな?」と、他店の陳列商品を思い浮かべ色や柄、値段などを頭の中でグルグルと比較していきます。ここで攻め過ぎてしまうと「押し売りされた」という気持ちが生まれてしまいます。患者さんの性格や購買意欲に合わせて説明する必要があります。
6. 信頼
患者さんは色々と考え、迷ってから購買に踏み切ることになります。
(a)販売員への信頼
例:スタッフの対応が丁寧だった。
知識が広く、この人のいう通りにすれば綺麗になれる気がする。
(b)店やメーカーに対する信頼
例:このブランドは間違いない!
ここのクリニックはSNSでも人気だから安心。
(c)商品に対する信頼
例:成分が無添加で肌に優しい。
7. 行動
販売に結びつける重要なチャンスであり、この時機を活かさなければ売りそこなってしまう。あくまでも患者さんの気持ちを最優先にしましょう。
8. 満足
患者さんの満足には、「いいものを買った!」とういう喜びと、対応してくれたスタッフが親切で明るく、誠意あふれる態度や、よりよいアドバイスをしてくれたことに対して満足度が上がります。この二つの満足感は相互補完しあって、顧客の喜びを増幅させ、その店の顧客ファン(リピーター)作りにつながります。
以上、患者さんがが「このクリニックに来てよかった」と快く立ち去る「満足」の段階となります。
人々は、このように順を追って心理的に商品を購入することを決断していくのです。
お話しし始めた段階で、患者さんが現在どの段階にいるのかを把握して、流れに沿って順序よく説明していくのが効果的ですね。何度も同じ説明をされたり、自分が欲しい情報以外を与えられたりすると「欲しい気持ち」はすぐに減退し、気が変わってしまうことも多いので注意が必要です。
一番に大切にしてほしいのは患者さんがなにを必要としているのかしっかりと理解して、患者さんに合ったベストなものをご提案することです。
医療者としての看護師の役割は患者さんに自分の知っている知識を適切に提供し、患者さんがより良い状態になることだと思います。
クリニックで人気の商品3選
第1位 VIO専用の美白クリーム
VIO専用商品と言うとなかなか市販で購入することができないため人気 も高いです。色味ケアをしっかりしておくと脱毛後も良い状態が保てます。脱毛をすると、クッションの役割をしていた毛がなくなり、摩擦や刺激がダイレクトにお肌に来てしまうため保湿を十分にして黒ずまないようにすることが大切です。
第2位 全身用保湿クリーム
脱毛をすると普段乾燥をしない人でもかなり乾燥しやすいため保湿が必須になってきます。保湿をしっかりして肌の状態を整えてあげることで、脱毛の効果を最大限に引き上げてくれます。特に男性の場合だともともと保湿の習慣がなく、肌が乾燥している方が多いため保湿指導が看護師の大きな役割にもなります。
第3位 クレンジング
スキンケアアイテムは全体的にどれも人気が高いです。クレンジングでしっかり落とすことで次につける化粧水や美容液の浸透も良くなるためとっても大事なのです。クレンジングで優しくしっかり落ちる物が人気です。患者さんの肌質やお悩みによって選ぶアイテムを変えることも必要です。
このように私が働いていたクリニックで人気だったアイテムもこんなにたくさんあります。クリニックによってたくさん買ってもらいたい商品はさまざまで、違いももちろんありますが患者さんに勧める上でしっかり商品について知ることは大切なことですよね。実際に自分で使用してみるのも患者さんの気持ちになれるのでおすすめですよ。
売るよりも情報提供
いかがでしたでしょうか。
今回は、クリニック専売商品の販売における看護師の役割と患者さんへの向き合い方についてのお話をさせていただきました。最初は、商品の特徴から成分、効果など専門的な知識を習得していくことが大変かも知れません。しかし、その一つ一つの知識がいつか患者さんの手助けになることを信じて、前向きに取り組みましょう。美容が好きでこの世界に興味を持っている貴方ならきっと大丈夫です!好きなことならぐんぐん吸収できると思います。
実際に現場で経験して学ぶこともかなり多いので日々勉強になるかと思います。
最近ではSNSが普及し、美意識が高く美容に関する専門的な知識をたくさん持っている方がとっても多いです。それでも知識が足りなかったり、ネット上の誤った情報を信じて疑わない方も多いので、医療者としての義務・責任として正しい情報をお伝えする必要があります。
患者さんがしっかりと商品を知って理解し、納得した上で購入していただく形がのちの満足度にもつながるのでとっても重要です。患者さんの満足度が上がるとクリニック全体の信頼も生まれ、患者さんが「またこのクリニックに来たい!」とリピーターになってくれることが多いのでそれだけ私たち看護師の役割も大きいです。
日々知識の習得と、経験を少しずつ積み重ねながら患者さんから信頼される美容ナースを目指して行きましょう。