ナース転職するならどっち? 個人経営美容クリニックと大手美容クリニックを元美容皮膚科ナースが徹底比較

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美容クリニックと一口に言っても、誰もが知っているような大手のクリニックから地域で個人経営をしているクリニックまで、さまざまな規模のクリニックがあります。

大手の美容クリニックは求人などでも情報が多いですが、個人経営のクリニックはどのようなものか、あまり想像がつきにくですよね。

この記事を書いている私は、個人経営の美容クリニックで勤務経験があります。そんな私が個人の美容クリニックについて、自身の経験とあらゆる情報をまとめた上で、個人経営の美容クリニックのメリットやデメリット、大手美容クリニックとの違いについて徹底解説しています。

転職の際に「大手美容クリニックか個人経営の美容クリニックか迷っている」と言う人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

個人経営の美容クリニックとは?

個人経営の美容クリニックとは、CMやメディアで取り上げられているような大手の美容クリニックではなく、医師個人で経営しているクリニックのことを示します。

個人経営の美容クリニックと大手美容クリニックの違い

同じ美容クリニックでも個人経営と大手の違いはあるのでしょうか? 個人経営の美容クリニックと大手美容クリニックでは、勤務地や給与、福利厚生、人間関係、休日、医師との関係性などさまざまな違いがあります。

勤務地

大手美容クリニックは本院があり、そこから各都道府県の主要都市に分院を展開していることが多いです。個人経営の美容クリニックは、都心部にあるとは限らず、地域密着の経営をしているところもあります。

個人経営の美容クリニックの場合でも、人が集まりやすい都心部の方が求人が多いことは確かです。しかし、地域密着型のクリニックも少なからず存在するので、都心部と離れたところに住んでいる人でも、家の近くで働ける可能性があるでしょう。

実際に私自身も、都心部まで出るのに1時間近くかかるところに住んでいるので、都心部から少し外れた個人経営の美容クリニックに勤務することにより、30分程度通勤時間を短縮することができました。

一方大手美容クリニックは、都心部以外に店舗を展開していることはほとんどありません。都心部の通院しやすい駅近に位置していることが多いです。そのため、都心部まで通勤する必要がありますが、駅近で周りに商業施設があるなど、勤務する側としても便利な場所であると言えるしょう。

また、大手美容クリニックでは多数の店舗を持つために、人手不足の店舗にヘルプに行かなければならないクリニックもあります。個人経営の美容クリニックの場合は、店舗は一つである場合が多いのでその必要はないでしょう。

色々な人と交流し人間関係や知識を広げたい人は、ヘルプがあるクリニックでも問題はないと思いますが、人見知りの人や家庭の事情がある人はヘルプが苦になる場合も。そのような人は、個人経営の美容クリニックを選ぶか、求人応募の際にヘルプ勤務のことを確認しておくのが良いでしょう。

給与

美容クリニックの給与は一般のクリニックより高い傾向があります。勤務するクリニックによって大きな差はありますが、個人経営の美容クリニックと大手美容クリニックを比較すると、大手美容クリニックの方が給与が高いところが多いです。特に大手の美容外科は、給与が高い傾向にあります。

その理由の一つとして、個人経営の美容クリニックでは設備や人数的に行うことが難しい、全身麻酔が必要な大がかりな美容外科手術を行っていることが挙げられます。その分、オペ看の経験が必須であることや、求められる知識や技術の幅も広い場合が多いでしょう。

また、大手美容クリニックはノルマがあり、その達成度によりインセンティブで給料や賞与がプラスされる場合もあります。

逆に言えば、その人やその店舗の売り上げ金額により、収入が変わることもあるということです。個人経営の美容クリニックでは、ノルマやインセンティブを設けているところは少なく、人によって給料が大きく変わるということはそれほどないと言えます。

ただ、大手の美容クリニックは多くの従業員を抱え病院規模で給料設定していますが、個人経営の美容クリニックの給料設定は経営者である院長が決めることが多いです。そのため、院長の考えにより、待遇の良いクリニックもあれば薄給のクリニックもあるでしょう。

賞与についても、個人経営の美容クリニックは経営が安定しにくい面があるので「業績による」などと示している求人も見かけます。賞与に関しても、個人経営の美容クリニックより大手のクリニックの方が高い設定であることが多いです。

福利厚生

美容クリニックへの転職を考えている人は自分自身が美容に関することが好きで、「美容施術や化粧品を割引で買えることも楽しみ」と考えることも多いでしょう。実際に多くの美容クリニックでは、クリニックで行っている施術や販売している化粧品の従業員割引制度があります。

個人の美容クリニックと大手のクリニックのを比較してみると、大手のクリニックの方が施術メニューが豊富で扱っている化粧品の種類も多いので、従業員割引の対象が広い場合が多いです。割引率においては、個人、大手に関わらず勤務するクリニックによって設定が違います。

私の勤務していたクリニックでは、施術や化粧品は3割引、新しい施術は従業員同士で練習しながら施術できる、新商品の化粧品サンプルをもらえるなどの福利厚生がありました。

それでも十分満足していましたが、「施術や化粧品は全て7割引ぐらい」の大手クリニック勤務の友人や「スタッフは施術無料、家族や友達も施術が半額」という個人クリニックの友人もいて羨ましさを感じたりもしていました。

ただ、個人経営のクリニック・大手クリニックに関わらず言えることは、従業員割引があるのは患者さんへの宣伝効果も期待されてのこと。自分が綺麗になることや、その施術や化粧品のセールスポイントなどを把握することにより、多くの患者さんに説明ができ、知ってもらうことで、契約や購入をしてもらうことが目的です。

ただ単に「安くしてもらえてラッキー」で済むわけではなく、施術や化粧品を実際に使って患者さんに説明やセールスができるように努力することを忘れてはいけません。

医師との関係

医師との関係で個人経営のクリニックと大手クリニックの大きな違いは、医師との関係の深さと広さ。個人経営の美容クリニックでは、医師は院長1人で看護師も少人数であるパターンが多いです。医師と看護師と2人きりのシーンも多いので、阿吽の呼吸が求められます。

その代わり複数の医師に合わせた介助や流れのパターンを覚える必要はなく、覚えることはワンパターンですむとも言えるでしょう。

ただ、毎日同じ医師と長い時間関わりを持つので、医師がかなり癖のある人である場合や、相性が合わない場合は少し辛いかもしれません。逆に人間や医師として魅力のある先生や相性の良い医師の場合は、働きやすく自分自身が成長できる環境となるでしょう。個人経営の美容クリニックでは医師と看護師は深く関わることが多いため、より良い関係を築くことが重要となってきます。

一方、大手美容クリニックは医師が複数いることも少なくありません。そのため、それぞれの医師に合わせた流れやパターンを掴む必要があると言えるでしょう。

逆に言えば複数の医師からの方が多くのことを学べ、知識や技術が深まる機会が多いです。一人の医師と深い信頼関係を築きあげるというよりも、多数の医師やスタッフと臨機応変に対応できる能力やチームワークが必要であると言えます。

人間関係

個人経営の美容クリニックと大手美容クリニックでは、働いているスタッフの人数に差があり、したがって人間関係にも違いがあります。個人経営の美容クリニックでの人間関係は、良く言えばアットホーム、悪い言い方をすれば狭い環境で人間関係を築かなくてはいけません。

自分にピッタリとハマれば心の許せるメンバーで毎日働くことができ、居心地の良いものとなるでしょう。逆に限られた人数の中でギクシャクすると、辛いものがあるかもしれません。

また、美容クリニックに限らず個人経営のクリニックでは、院長の家族がスタッフとして働いていることもあります。私の勤務していたクリニックでも、院長夫人や院長の子供がスタッフとして働いていました。その場合、他のスタッフと接する時よりも多少気遣いは必要であると言えます。

一方、大手美容クリニックでは、医師や看護師だけでなく、受付やカンセラーなどスタッフが多くチームワークが必要です。患者さんも多く忙しいので、効率よく役割分担しながら連携して仕事を進めていかなければなりません。そのため、普段からさまざまな業種のスタッフとコミュニケーションをとっておく方がやりやすいでしょう。

休日や勤務時間

休日については、大手美容クリニックでは、基本的に日祝も営業していることがほとんどですが、個人経営の美容クリニックでは、日・祝を休日としているところが多いです。

既婚者やママさん看護師で「家族との時間を合わせたい」と考えるのであれば、夜勤もなく日・祝が休みなのは嬉しいですね。

勤務時間についても、大手美容クリニックは仕事帰りのOLさんをターゲットとして、夜遅くまで営業していることも多いです。特に医療脱毛を専門としている大手のクリニックでは、21時頃まで営業しているところも少なくありません。その代わり、朝は10時から営業など開院時間を遅めとしているところも見かけます。

一方、個人経営の美容クリニックでは、一般のクリニックと似たような基準で勤務時間を設定していることが多いです。そのため、大手の美容クリニックと比較すると、診療が終わる時間は早い傾向にあります。

忙しさ

個人経営の美容クリニックより大手美容クリニックの方が忙しいと言えるでしょう。

大手の美容クリニックは、CMやWeb広告などの宣伝を大々的に行っており、知名度も高いです。また、立地も都心部の駅近など人が多く集まるところに位置しているため、多くの患者さんが来院します。

一方、個人経営のクリニックは、地域の患者さんや口コミなどで患者さんが来院されます。それほど多くの患者さんを対応することは不可能なので、リピーターの患者さんを大切にしている場合が多いでしょう。とはいっても、美容クリニックは人気が高く、個人経営の美容クリニックでも忙しいところは少なくありません。

ただ、個人の美容クリニックよりも大手美容クリニックの方が圧倒的に忙しいところが多いでしょう。

個人と大手のメリット・デメリットを表で比較

これまでの記事で個人経営のクリニックと大手美容クリニックの違いについて記載しましたが、「結局どちらが良いかわからない」という人もいるでしょう。

そんな人のために、個人経営のクリニックと大手美容クリニックのメリットデメリットを比較しやすいように表にまとめてみました。

それぞれメリット・デメリットがあるので、自分の性格や生活環境に合ったクリニックはどちらか考えてみましょう。

個人経営の美容クリニック 大手美容クリニック
メリット ・都心以外の場所でも勤務できる可能性がある。
・ノルマ設定がないところが多い
・アットホーム
・日・祝が休みの場合が多い
・勤務終了時間が大手より早い傾向にある
・ヘルプの心配がない
・アクセスの良い駅近や商業施設から近い場所に勤務できる場合が多い。
・給料が高い傾向がある
・給与とは別にインセンティブがもらえる可能性がある
・美容施術や化粧品などの割引対象が広い
・幅広い美容医療の知識や技術を学べる
・患者さんやスタッフなど多くの人と関われる
デメリット ・賞与は業績による場合もある
・家族経営のクリニックもある
・スタッフが少なく狭い環境
・施術の幅が狭いので学べる美容医療の知識や技術が少ない
・他店舗にヘルプに行かなければならない可能性がある
・ノルマ設定があるクリニックもある
・土日・祝や遅い時間の勤務
・忙しい

美容クリニックは待遇が良いところが多い

この記事では、個人経営の美容クリニックと大手クリニックの違いについて解説してきました。個人経営の美容クリニックと大手クリニックどちらにもメリット・デメリットがあるので一概にどちらが良いとは言えません。自分の条件に合ったクリニックを選択しましょう。

今回は個人経営の美容クリニックと大手クリニックを比較してみましたが、どちらの美容クリニックも一般科のクリニックと比較すると待遇が良いと言われています。美容クリニックは夜勤がないのに給料設定も高く、福利厚生も大きいです。

また、人間関係も同じ美容が好きという共通点がある人が集まり、一般科のように命に直結するピリピリ感がないので比較的良好なところが多い傾向にあります。

美容クリニックに転職して、自分も美しく生き生きと輝いて働きましょう。

writer_shiraishi
白石千乃
子育て中に看護師として美容皮膚科で勤務し、脱毛やAGA、アンチエイジング、レーザー治療などを経験。専門知識を活かして、美容・医療をメインにライター活動中。特に脱毛系記事が得意分野で、月に数十件執筆している。