美容ナースの年収について【一般→美容など転職パターン別に解説】

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今回は美容業界歴5年目となる筆者が「美容ナースの年収」について解説していきます。

まずは簡単に筆者の経歴について紹介させていただきます。

私は地方の大学を卒業後、東京都内の大学病院に新卒入職しました。その後数年の臨床経験を経て大手美容クリニックに転職し、美容皮膚科・美容外科の領域について勉強しました。現在は脱毛専門クリニックでパート勤務をしながら小規模クリニックの管理職としても働いています。

様々な職場で働くことでクリニックごとの特色を肌で感じ、今回テーマとして扱う年収・給与についての特徴も知ることができました。

転職先を決定するにあたって非常に重要な項目である年収に関して、現場スタッフだからこそ分かる観点で今回は解説をしていきます。

中途で一般病院から美容クリニックに転職した場合、年収は上がるの?下がるの?

中途で一般病院から美容クリニックに転職した場合ですが、多くの場合年収が上がるでしょう。

美容クリニックは自由診療である特性上、施術代が高い傾向にあります。そのため売上が伸びやすく、それが従業員の給与に反映されます。

その中でも看護師は売り上げを生み出すために重要な人材ですので、どのクリニックも看護師の人材確保には力を入れています。分かりやすく言えば、万が一、受付スタッフや看護助手のスタッフが欠員した場合は看護師が代わりに業務にあたることができますが、看護師が欠員した場合は代わりとなれる人がおらず、看護師がいない→施術ができない→そのまま売り上げが落ちてしまうという負のループに入ってしまうのです。

だからこそ美容未経験の人材であっても給与水準は高い傾向にあります。

そして美容業界に未経験で入ってくる看護師を年代別にみていくと20代の割合が多くなります。20代というと臨床経験もまだそこまで長くなく、一般病院での昇給額もさほど大きくない場合が多いです。

だからこそ美容業界に転職して初めての給料をみたときに「未経験なのにこんなにもらえてびっくりした」と言う人も少なくありません。

一方で一般病院だけどたくさんもらっている、という看護師さんもいるかもしれません。ただその場合は夜勤手当、休日手当によって給料が高くなっている場合がほとんどです。「夜勤がないと一気に給料が減る」というのは看護師の中ではよく聞く話ですよね。

以前は美容クリニックでも大掛かりな手術をして、患者さんは入院するのが主流でした。そのため夜勤対応をしていたところも多かったのですが、現在では手術も日帰りがメインのため夜勤があるクリニックはほとんどなく、日勤対応のみが一般的です。

夜勤をしないという前提で給料の比較をするならば、より高い確率で美容クリニックに転職した方が年収は上がると言えるでしょう。

美容クリニックから美容クリニックへ転職した場合の年収は?

美容クリニックから美容クリニックへ転職した場合の年収はどうなるのでしょうか。

これに関してはもちろんクリニックによる水準はありますが、一般的に大手の美容クリニックより小規模のクリニックの方が経験者が優遇されやすい傾向にあります。

大手の美容クリニックは1日に多くの患者さんが来院されます。そのためより多くの看護師を確保して患者対応をスムーズに行えるようにします。常に人員にはある程度の余裕があり、教育制度も整っている場合が多いので新しく入職してくるのが未経験のスタッフでも「これからしっかり教育して一人前になってもらってクリニックに貢献してもらおう」という考え方を持っています。

それに対し小規模のクリニックは大手ほど人員に余裕がないところがほとんどのため、できるだけ即戦力となる看護師、つまり経験者を採用したいという考えが強い傾向にあります。

この傾向については求人の給与欄を見ていただくとわかりやすいかと思います。大手の場合は「看護師:○○万円〜」と提示されていることが多いのですが、小規模の場合は「看護師:(経験者○○万円〜、未経験者△△万円〜)」と経験者と未経験者で給料に差をつけているクリニックが多く見受けられます。また「前職の給与考慮」と提示している場合もあります。

私自身も美容クリニックから美容クリニックへの転職活動時に様々なクリニックの面接に伺いましたが、「このくらいのスキルがあるのであれば是非入って欲しい」と求人に掲載されている以上の給与を提示されたことも何回かあります。

今後美容看護師として年収アップをしてきたいと考えている方は、自分のスキル・強みを生かせそうな小規模なクリニックに「自分が入職したらこんな風にクリニックに貢献できます」とアピールすることができれば転職時に確実に年収アップを重ねていくことができるでしょう。

美容から一般病棟に転職した場合の年収は?

美容から一般病棟に転職した場合の年収はどうなるのでしょうか。

まず、一般病棟での採用の際に美容の経験年数、スキルはほぼ考慮されないでしょう。

なぜなら美容クリニックで求められるスキルと一般病棟で求められるスキルは全く異なるものだからです。

そのため一般病院での採用の際に考慮されるのは「美容に入る前」の臨床経験や看護技術になります。

美容業界に転職する看護師の転職前の臨床経験は2〜4年くらいの場合が多く、美容業界全体の給与水準が高めであることを考慮すると、よほど夜勤手当てや休日手当てが多くない限りは美容から一般病棟に転職する場合年収が下がってしまう可能性が高いと言えるでしょう。

昇給・賞与の仕組みについて解説

美容クリニックの昇給や賞与の仕組みについて解説していきましょう。

一般病棟と同様に美容クリニックでも昇給制度や賞与を設けているクリニックがほとんどで、昇給は1年に1回、賞与は1年に2回というところが多いです。

ただし、賞与額については一般病棟の方が高い印象です。

これを聞いて「賞与額が少ないと年収が高くならないのでは?」と思う方もいるでしょう。

ですが、美容クリニックでは賞与とは別に達成金を月ごとに出しているところが多く、これにより年収が高くなりやすい傾向にあります。

美容クリニックは自由診療のため、保険診療である一般病棟よりも売上に対する意識が強く、月ごとに売上目標金額を設定しています。そしてその売上目標を達成するためにスタッフ一丸となってカウンセリングや施術にあたっており、売上を達成した際には達成金としてスタッフに還元をしてくれるのです。

達成金の水準はクリニックにより様々ですが、数万円程度のところから、多いところでは10万円以上達成金として出してくれるクリニックもあります。

また、主任など管理職の立場に昇格すると別途管理職手当てもついてくるため、頑張りが給料・年収に反映されやすいのが美容クリニックの特徴です。

求人情報に掲載されている給与額についてはこの達成金を考慮していない場合が多いので、求人情報の年収イメージより実際にもらえる年収の方が高くなる傾向にあるといえるでしょう。

美容外科・美容皮膚科・脱毛クリニックの年収イメージをそれぞれ解説

美容クリニックは大きく分けて美容外科、美容皮膚科、脱毛クリニックの3つに分類されますが、それぞれ年収イメージの違いはあるのでしょうか。ここからは美容外科、美容皮膚科、脱毛クリニックのそれぞれの年収イメージについて解説していきます。

美容外科の年収イメージ

まず美容外科の年収イメージをみていきましょう。

美容外科の場合は未経験の場合でも月給が35万円以上で募集されることが多いです。

月給が35万円、賞与2ヶ月分として計算すると未経験者でも年収は500万円程度となり、ここに達成金などが加算されるとさらに年収は高くなります。

美容外科経験者もしくは美容は未経験でも手術室勤務経験者であればここからさらに優遇される場合もあります。

美容外科は手術がメインとなるため1件あたりの金額が大きく、月の売上金額が美容皮膚科や脱毛クリニックに比べても高くなりやすいです。また、手術の介助や手術一連における患者さんの全身状態の管理など、美容業界の中では最も看護スキルを必要とする分野のため、その分看護師の給料にも反映されているのでしょう。

美容皮膚科の年収イメージ

続けて美容皮膚科の年収イメージをみていきましょう。

月給が32万円、賞与2ヶ月分として計算すると年収は450万円程度となります。

美容皮膚科の経験者の場合はここからさらに優遇される場合もあります。

美容皮膚科は注射やレーザー治療がメインになります。基本的にはレーザー治療は看護師が施術に入ることが多いのですが、クリニックの方針によっては患者さんの満足度アップのために医師があえて施術に入るというところもあります。その場合は医師の施術介助を中心とした業務内容になるためやや給料水準が低くなる傾向にあります。

それに対し、最近人気のアートメイクについては看護師が施術に入り、看護師がどんどん売上を作っていくポジションにいるため、売上に対する看護師の役割というのは大きく、この分野に関しては給与水準が高いといえます。

自身の美容看護師としてのスキルアップを図るという意味に加え、より高い年収を得るためにもどの程度看護師が施術に入るのかを転職前に確認できるのであれば確認しておいた方がよいでしょう。

脱毛クリニックの年収イメージ

続けて脱毛クリニックの年収イメージをみていきましょう。

脱毛クリニックは35〜45万円程度で募集されていることが多いです。

月給が35万円、賞与が2ヶ月分として計算すると年収は500万円程度となり、月給が45万円、賞与が2ヶ月分として計算すると年収は600万円を超えます。

脱毛クリニックは看護師が施術に入り、そして看護師が売り上げを作ります。つまり看護師の確保をできるかがクリニックの売上に大きく関係してくるため、どのクリニックも看護師の給料を高くすることで人材確保に努めます。そうすると必然的に給与水準が高くなるため美容未経験者が一番高い年収を得ることができるのはこの脱毛クリニックといえるでしょう。

ただし、月給40万円以上を提示しているクリニックの場合は1日の拘束時間が通常より長い場合があります。転職活動時には給与面だけではなく、労働条件もしっかり確認するようにしましょう。

公式サイト・求人サイトだけではわからないことが多い

実際のところ年収イメージは公式サイト・求人サイトだけではわからないことがかなり多いです。

サイトには就業時間や基本となる月給、年収イメージなどが掲載されていますが、それだけでは情報としては不十分です。

試用期間はどのくらいか、達成金はどのくらいもらえるのか、残業はあるのかなど知っておいた方が良い情報はたくさんあります。

ですが、これらの質問を直接面接のときに聞くのは少し抵抗がありますし、自分の力のみで情報収集することはほぼ不可能でしょう。

このようなときに力となってくれるのが転職エージェントです。転職エージェントの方々はその名の通り転職支援のプロです。求人情報を見ただけではわからないような給与面、労働環境面についての情報を私たちに教えてくれるため、私たちの希望にあったクリニックを一緒に探してくれます。これにより「実際に転職してみたら思っていたクリニックの印象と全然違った…」というような最悪の事態を避けることができるでしょう。

自分が重視している条件は何かを明確にする

美容クリニックへの転職を考えるにあたって自分が重視している条件は何かをあらかじめ明確にしておきましょう。

美容看護師として今後スキルアップをしていくのであれば、仕事内容は自ずと大事な判断材料になります。ですが仕事内容だけが重要ではない方もいるはずです。

自分が転職するにあたって重視しているのは、自分のスキルアップなのか、患者さんとたくさん関わることなのか、残業をせずプライベート時間を確保することなのか、年収アップなのか。そのあたりを自分の中で明確にしておくことで自分の希望にあったクリニック選びができると思います。転職を通して楽しい美容看護師ライフを送っていきましょう。

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つーさん
岩手県出身。アラサー。学生時代は地元で過ごし、新卒で都内の大学病院に勤め看護師生活をスタート。美容ナース歴は5年目。