採用担当に聞きにくい美容外科カウンセラー転職時のクリニック福利厚生の内容

福利厚生とは、社会保険料など法律で決められているものと、会社がそれぞれ独自に従業員に提供するものにわかれます。近年では、従業員のモチベーションアップや、採用時のアピールとして、福利厚生が取り上げられることも多くなってきています。

会社や業種ごとに異なる福利厚生は、医療機関である美容クリニックではどのようなものがあるのでしょうか? 美容外科カウンセラーに転職を検討している方へ、クリニックの募集要項には書いてあっても、転職活動中に採用担当の方に福利厚生の詳細まで聞けないという方が多いと思います。今回は美容外科の福利厚生を元美容外科カウンセラーが詳しく紹介します。

私が勤務していた美容外科とは

私が勤めたクリニックは都内に1院と地方都市に数院あるクリニックで、全国にCMが流れるような大手ではありませんでしたが、完全な個人クリニックでもありませんでした。

大手クリニックでは1人の医師が複数のクリニックをローテションでまわることが多いですが、私が勤めたクリニックでは担当医制で院内に常駐していました。医師の入れ替わりもありましたが、基本は4~5名がシフト制で勤務していました。その他にも臨時で大学病院の医師や地方の医師が専門の診療をすることもありました。

看護師については10名弱おり、同じくシフト勤務で手術室と診察室の分担で勤務をしており、大きな手術では当直勤務もしていました。手術がメインのクリニックでは多くの看護師が手術室にいることが多く、休憩時間以外で関わる時間は非常に短くなります。

そしてカウンセラーの人数は10名弱で、シフト制勤務の年中無休体制でした。年中無休ですので大晦日、お正月は少人数のカウンセラーで出勤して電話やメール対応、普段では手が回らないような雑務を行い、医師のカウンセリングや手術は休みとしていました。

シフト制の勤務に慣れない人からすると最初はかなり戸惑うこともあるかもしれません。

カウンセラーの仕事は主にカウンセリングに来院した患者様の受付、問診に始まり診察後のカウンセリングとして施術等の疑問点、手術日相談、支払方法、術前の注意事項や検査が必要な施術の場合は検査の準備までを案内し予約を行います。

その他にも手術を受ける方の術前準備や確認、手術室への案内、電話やメール対応、手術代の支払確認を業務中に行います。雑務としてカルテ整理や、薬品管理からクリニック内の清掃までも対応します。

美容外科の繁忙期は大型連休のGW、お盆休み、年末年始です。大型連休を利用して手術を行う患者様がとても多いです。大型連休前にカウンセリングに訪れる方が多く、カウンセラーはかなり忙しくなります。また連休中は手術室への案内等をカウンセラーが行うので、朝7時頃には出勤して患者様をお迎えする準備をすることがあります。

上記を踏まえるとカウンセラーは患者様対応だけではなく、クリニック内の様々なことを行います。給料については入社当初は施術に関するテストに合格すると昇給し、全て合格した後は1年に1度昇給するシステムでした。給料金額は大手企業の同年代営業職の金額に近いと思います。ボーナスについては売上によりますが、月収の1カ月ちょっとの金額でした。

以前の販売職を踏まえると給料はとても上がり、満足していました。美容外科のカウンセラー職は割と給料が良いと思いますが、営業的な側面があることや患者様とのやり取りの負荷を考えると妥当な金額かと思います。

美容クリニックに勤めるとどんな福利厚生がある?

イベント系の福利厚生

一般企業の福利厚生は家賃補助、健康診断、交通費などがあると思います。私の勤めたクリニックでは家賃補助はありませんでしたが、健康診断や交通費は支給されていましたので、どこの企業にもついている一般的な福利厚生はありました。

その他にも年2回のボーナス支給や社員旅行では海外にスタッフを数組に分けて行っていました。その他にもスタッフ全員のインフルエンザ予防接種がクリニック内で受けることができて助かりました。

勤めたクリニックではスタッフ間のコミュニケーションを大切にしていて、医師、ナースなどクリニックのスタッフで忘年会、新年会、社員旅行など様々なイベントが行われていました。もちろん任意参加でしたが、豪華な食事など普段ではなかなか行くことができないお店に連れて行ってもらい、とても貴重な経験となりました。

また繁忙期で食事を取ることが難しいときは、豪華なお弁当の全員への支給もありました。

もちろんクリニックによると思いますが、私が勤めたクリニックは羽振りの良いクリニックだったと思います。社員全員参加のイベントがあることで普段なかなか話をしない医師や電話オペレーターなど別の場所で働いているスタッフとコミュニケーションを図れて、それがきっかけで仕事もしやすくなったりと、とても良い機会でした。

クリニックの規模により様々な規模のイベントがあり、その様な場が苦手な人もいるとは思いますが、一度参加してみると、交流ができ、その後の仕事がより楽しく、やりやすくなります。

美容外科、美容皮膚科のオイシイ福利厚生 

美容外科、皮膚科に勤めた時に期待する1番の福利厚生といえば「施術、医薬化粧品等の割引」ではないでしょうか? 

私が勤めていたクリニックでも施術等の従業員割引がされていました。入社前は通常よりも割安の金額で施術や、美容医薬品購入などができたら嬉しいな…という気持ちを抱いていましたが、入社直後は覚えることが多く日々の仕事に必死で、利用したいと思う余裕はありませんでした。そして何よりも顔や身体に注射やメスを入れるのは怖い!と思っていました。

しかし施術について学び、患者様と話をするうちに私の中での恐怖が少し変わっていきました。また先輩スタッフが受けた施術の話を聞くと、自分も受けてみようかと思うようになりました。自分が体験することで、患者様との会話で術後の話をより具体的に説明することができ、伝わりやすくなるのではないかと感じました。

カウンセラーは営業的な役割も担っていますので、施術の内容やダウンタイムなど患者様が不安に思うことなどを把握して安心して施術を受けてもらうように導く立場にもあります。その中で自分が施術を受けることでより患者様に具体的に伝えられ、患者様が抱える気持ちを少しでも理解できるのではないかと思うようになりました。

従業員割引で、実際に受けた施術と同僚が受けていた施術

私が実際受けた施術とその割引率

前項で書いたように気持ちの変化が生まれていましたが、メスを使った施術は怖くて私にはできませんでした。注入系の施術なら気軽に試せることや、一時的な変化を楽しむことができるので私にはとても合っていました。主にヒアルロン酸、ボトックスを定期的に注入していました。注入系の施術はダウンタイムが不要なので、術後休暇を取る必要もありません。術後の内出血が出たとしてもメイクでカバーできる程度ですので比較的簡単に受けることができます。

クリニックによって異なりますが、自分の休暇日に来院して受ける場合や出勤日の予約表を見て終業後や昼休み時間などの隙間で施術を事前にお願いする場合があります。

従業員のために医師や看護師の時間を取ってしまうので事前に患者様の予約状況をしっかり確認し、周りに迷惑のかからない時間を見つけることが大切です。私は早番の終業後に休憩室で待機して時間の空いている医師にて注入をお願いしていました。

金額については注入する薬剤の量や種類によって大きく異なりますが、薬剤は原価で注入をしてもらいました。通常の注入では薬剤代金に加えて手技料がかかるところが多いです。その金額も含みますと従業員割引で半額以下になります。ヒアルロン酸は1本購入すると保管することもできるので、保存期間内に足りないと思った時や別の部位に注入するなどしていましたので通常の金額よりもかなり割安に施術を受けられました。

同僚が受けていた施術と医師からのモニターオファー

スタッフの中には注入以外の外科施術を受ける人もいましたがダウンタイム休暇が必要になりますので埋没法などの比較的ダウンタイムが数日で済む施術を受けるスタッフが多かったと思います。

そして稀に医師から学会論文に掲載するためのモニターの打診もありました。

これに関しては医師が求めているモニターに合致する場合のみにはなりますが、スタッフも改善を希望している場合には施術が行わることもありました。他院ではブログや院内モニターとしてスタッフが施術を受ける場合もあります。

施術は50%割引で受けることができました。施術等の福利厚生については試用期間を終えてから利用することができるようになります。決められているではありませんでしたが、暗黙の了解として周りに施術を受ける時間帯等をしっかりと相談して許可を得ることが必要です。

就業規則ではありませんが、これは院内の人間関係において最も重要だと思います。自分のタイミングだけで施術を受けてしまうと、後に人間関係に溝をつくることがあります。私はこの施術を受けるタイミングを周りに相談することが従業員割引で施術を受ける中で一番大切ことだと思います。

他のクリニックでの福利厚生

大手クリニックでは70%割引で施術を受けることができるクリニックが多いと聞きます。あと美容皮膚科を併設している場合は取り扱っている化粧品が割引になります。大手クリニックでは化粧品の取り扱いが豊富なので、今流行のグロスや高級なドクターズコスメが格安で試せることはとても魅力的です。

あとは看護師や施術者が入職すると練習として脱毛や美容医療機器の施術を受けられるクリニックもあります。これは仕事として、教えられながらの施術なので、純粋に福利厚生とは言えないかもしれませんが、無料で施術を受けることができるので、役得といえます。

福利厚生で美容意識の向上

私は美容に興味があったので施術割引はとても嬉しかったですが、中にはその福利厚生を利用しないという方もいました。

ですが、多くの患者様や施術前後の様子をみていると、多くのスタッフが自分もしてみたい気持ちになります。患者様に伝えるときの施術のメリット、デメリットを身を持って把握できることが当初は施術に前向きでなかった私の気持ちを変えさせました。

いざ施術をお願いする際に通常よりも薬品の液を濃く作ってもらい、少量で効果を実感できるようにしてもらったり、余った薬品を他の部位に追加で入れてもらうなどスタッフ同士だからお願いできることがあります。

周りには気づかれない程度の変化ではありましたが、悩んでいたところが改善するのはとても嬉しくなりました。この気持ちが施術を終えてダウンタイムを終えた患者様の気持ちなのかと理解することができました。

まとめ

美容外科、美容皮膚科に勤めるにあたって気になる福利厚生について話をしました。面接ではこのような福利厚生に関しては突っ込んで聞きにくいと思います。あくまでも私の勤めたクリニックの話になりますので、完全な個人クリニックでは割引率や内容は変わると思います。もちろん福利厚生だけが目当てで転職する方はあまりいないと思いますが、せっかく勤めるなら活用したいと思うのは当然です! 

施術内容によってはダウンタイムがかかるので休みを取る必要があります。また勤務が始まれば、施術の腫れ、内出血をカバーする必要があります。内出血が引かなくても出勤はしないといけません。そのような時、患者様の前に立てないとなった際には他のスタッフに迷惑をかける時もあります。

長めのダウンタイムがかかりそうな施術であれば夏季休暇を利用するなどして施術を受けることをお勧めします。また大型連休は美容外科では繁忙期となり、とても忙しくなります。そのような時は必ず避ける様にしましょう。医師や看護師の時間は本来患者様に使われるべき時間になりますので、忙しい時期に施術を依頼することは絶対に避けるべきです。

福利厚生は従業員が使用することができる権利にはなりますが、他のスタッフの迷惑になるようなことは絶対に避けましょう。福利厚生の利用で人間関係に溝を生み、次に施術を希望しても協力を得ることができなくなる場合もあります。しっかりと仕事に励んだ上で福利厚生を上手に利用して、より美しくなって充実した毎日を過ごしましょう!

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こみやま みき
大学卒業後アパレル業界にて販売接客に従事した後に某美容外科の受付カウンセラーとして転職をする。カウンセラーとして培ったスキルと経験を活かし美容外科カウンセラーの内情や施術に関するライターとして活動を行う。