美容科目以外の科目(皮膚科や形成外科)も掲げるクリニックにおけるナースの働き方

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美容クリニックの需要が増える中で、皮膚科や形成外科など他の診療科と美容(美容外科・美容皮膚科)の両方を掲げるクリニックも良く見かけるようになりました。

美容クリニックへのナース転職を検討する中で「美容クリニックで働きたいけど、他の診療科も行っているクリニックってどうなの?」と感じている人もいるでしょう。

この記事では、他の診療科と美容の両方の診療を行っているクリニックの働き方について、特徴や仕事内容、メリット・デメリットなどを徹底解説しています。

美容と他の診療科を掲げるクリニックの特徴

皮膚科や形成外科と美容(美容外科・美容皮膚科)の両方を掲げているクリニックは保険診療と自由診療の両方を行っているのが特徴です。

つまり、病気の人が傷病の改善のために来院する患者さんと、綺麗になることを目的として来院する患者さんが混在しています。

美容と他の診療科の両方を診療しているクリニックは、主に皮膚科や形成外科が多いです。

その理由は大きく分類すると美容皮膚科は皮膚科領域に、美容外科は形成外科領域に分類されるためだと考えられます。

保険診療は、いつでも誰でも等しく基礎医療サービスが受けられることを目的としており、7〜8割は加入している健康保険が負担してくれるものです。

自由診療は、保険診療のように「この病気ならこの治療法」という制限がなく、ひとりひとりに合った医療サービスを受けられますが全額自己負担になります。

ただ、日本では混合医療は禁止されているため、保険医療と自由診療を混合して会計を行うことはできません。

美容と他の診療科を掲げるクリニックで働く際にはそのことをしっかり理解しておく必要があるでしょう。

美容と他の診療科を掲げるクリニックの仕事内容

美容と他の診療科を掲げるクリニックでは、病気の患者さんの看護と美容施術の両方を行わなければなりません。

私自身も皮膚科と美容皮膚科、形成外科を掲げるクリニックで勤務していたので皮膚科で来院される皮膚疾患の患者さんの対応や処置、美容皮膚科のレーザーやピーリングなどの施術、形成外科の手術準備や介助と盛り沢山な種類の業務を行っていました。

そのため、皮膚科や形成外科の疾患や看護の理解とプラスして美容施術の勉強をする必要があります。

ただ、美容を専門としているクリニックよりも、美容施術のメニューの幅は少ないとことが多いところが多いです。どの診療科をメインで行っているかでもそれぞれの業務の幅は変わって来るでしょう。

美容と他の診療科を掲げるクリニックのメリット

美容と他の診療科を掲げるクリニックで働くメリットを3点挙げます。

看護師としての腕が鈍りにくい

美容クリニックで働くデメリットとして、看護技術が鈍ってしまうという悩みが挙げられますが、他の診療科も掲げているクリニックではその心配はなくなります。

基礎看護技術や診療科ごとの処置なども日常的に行うため、美容医療を勉強しながら一般科の看護師としての基礎看護技術も保つことが可能です。

幅広い年齢層の患者さんと関わることができる

診療科目が多い分、幅広い年齢層の患者さんと関わることができます。美容クリニックでは比較的若い患者さんが多いですが、皮膚科や形成外科は幅広い年齢層の患者さんと関わる診療科です。

私が勤務していたクリニックでも0歳の赤ちゃんから100歳以上の高齢者まで幅広い年齢層の患者さんが来院されていました。

美容と他の診療科を学ぶことで相乗効果が得られる

皮膚科と美容皮膚科、形成外科と美容外科はどちらも幅広い意味では同じ領域にあたります。

そのため、美容皮膚科だけを学ぶよりも皮膚科の疾患を学ぶことでより深い理解が得られます。形成外科と美容外科に関しても同じことが言えるでしょう。

保険診療・自由診療どちらも行うのでその診療科目領域の幅広い知識を得られることが期待できます。

美容と他の診療科を掲げるクリニックのデメリット

美容クリニックと他の診療科を掲げるクリニックで働くデメリットもチェックしておきましょう。

覚えることが多い

美容クリニックと他の診療科を扱っているため、当然覚えることも多くなります。幅広く勉強できるという意味では良いですが、慣れるまでは幅広い知識や技術が必要となるため少し大変かもしれません。

ただ、クリニックであるため病棟と比較するとできる処置は限られてきます。そのためある程度の基礎看護技術を取得している人であればそれ程心配する必要はないと言えるでしょう。

美容専門のクリニックと比較すると美容の処置が少ない

美容と他の診療科を掲げるクリニックでは、美容皮膚科や美容外科を専門としている美容クリニックと比較すると美容施術の幅や施術の機会は少ないと言えるでしょう。

特に皮膚科や形成外科の一部として美容施術を行っているクリニックは、病気の人の治療がメインとなるため美容クリニックの患者さんの割合は少なくなります。

「美容クリニックナースとして専門知識を身につけたい」「美容のスペシャリストになりたい」と考えている人は、美容の施術を専門としているクリニックで働く方が良いでしょう。

美容と他の診療科を掲げるクリニックも視野に

この記事では、美容と他の診療科を掲げるクリニックについて解説してきました。美容を専門で行うクリニックだけでなく両方の診療を行うクリニックも多く存在します。

覚えることは多くなりますが、一般科と美容の両方に携われることができるので「美容クリニックに興味があるけど看護師としての技術を落としたくない」という人にもおすすめのクリニックです。

美容クリニックの求人を探している人は美容専門クリニックに応募が集中しやすく、案外穴場の求人である可能性もあります。

美容クリニックへのナース転職を検討している人は、一度他の診療科と美容の両方を診療しているクリニックも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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白石千乃
子育て中に看護師として美容皮膚科で勤務し、脱毛やAGA、アンチエイジング、レーザー治療などを経験。専門知識を活かして、美容・医療をメインにライター活動中。特に脱毛系記事が得意分野で、月に数十件執筆している。