職種別に解説! もう悩まない、美容クリニックでの人間関係の構築術

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今回は「美容クリニックでの人間関係の構築術」について解説していきたいと思います。

「会社を辞めたい理由は何か?」というアンケートを取ったときに決まって上位に来る項目は給与、待遇と並んで人間関係だそうです。たしかにどんなに好きな仕事だとしても、一緒に働く従業員との関係が良くなければ毎日気持ちよく仕事をするのは難しいですよね。

美容クリニックでは近年男性向けのクリニックが急増していることに伴い、男性看護師の雇用も増えてきています。ですが、割合としてはそれほど多くなく、まだまだ女性中心の業界です。看護師自体が圧倒的に女性の割合の方が多い職種ですので、看護学生の頃から女性社会特有の雰囲気にはある程度慣れているかとは思います。

しかし病棟とは異なる雰囲気の美容クリニックで働くとなると「クリニックのスタッフはどのような構成になっているのだろう?どうやってコミュニケーションを取っていけばいいのだろう?」と人間関係に関する悩みも新たに出てくるかと思います。

この記事を執筆している筆者は美容看護師歴5年になりますが、働き始めてから最初の2年程は周りのスタッフとの関わり方に悩みや不安を感じていたことを覚えています。そこからさらに働き続けたことで「こういう関わり方をするとクリニック内で働きやすいな」という人間関係の構築術が少しずつ分かるようになってきました。

今回は筆者の考える人間関係の構築術のポイントについてお伝えしていきますので、今後美容クリニックで働こうと考えている方や、まだ働き始めたばかりの方、さらには現時点ですでに職場の人間関係に関するお悩みをお持ちの方も是非参考にしていただければと思います。

職場で一緒に働く人を自分で選ぶことはできない

自分自身が社長、もしくはフリーランス(個人事業主)として働くのであれば一緒に働く人をある程度自分で選択することができるので、そこまで人間関係で悩むことはないかもしれません。

ですが美容クリニックでは組織の中の1スタッフとして勤務することになるため、「この人は苦手だから関わらないようにしよう」ということはできません。つまり一緒に働く人を自分で選ぶことはできないということです。自分の好き嫌い関係なく、同じクリニックで働くスタッフ全員と協力しながらクリニックを運営していく必要があるのです。

もしも周りのスタッフとうまくコミュニケーションを取ることができなければ、自分の仕事をスムーズに進めにくくなりますし、仕事自体が苦痛なものになってしまうでしょう。だからこそできる限り良好な人間関係を構築しながら仕事をしていくことが重要となってきます。

クリニックで円満に働くための5つのポイント

クリニックで円満に働くためのポイントとして①笑顔、②挨拶、③感謝する、④素直に謝罪する、⑤先に相手に与える意識を持つの5つのポイントがあります。一つずつ細かく見ていきましょう。

①笑顔

まず一つ目は「笑顔」です。
無表情のスタッフと働くのと、いつも笑顔を絶やさないスタッフと働くのとではどちらが一緒に働きたいかというと、当然笑顔で明るい表情のスタッフと働きたいですよね。笑顔が素敵な人と働くとこちらの気分も明るくなるものです。

自分がそう感じるのであれば、自分自身も周りから一緒にいて気分がよくなると感じてもらえる人になりましょう。
笑顔というのは難しいことを考える必要がなく、日頃の意識を変えれば簡単にできることです。
まずは素敵な笑顔で働くことが無意識でできるように染み付けていきましょう。

②挨拶

続けて2つ目は「挨拶」です。
「おはようございます」「お疲れ様です」「お先に失礼します」。
これらの言葉を笑顔で言われて嫌な気持ちになる人はまずいないでしょう。良好な人間関係を築く上で一つ目の笑顔と同様、挨拶は基本中の基本です。

そんなのは当然で自分は挨拶はすでにしている、できていると感じる方がいたら、自分が挨拶をしているときの声のトーンを思い出してみましょう。大切なのは相手にとって心地の良い挨拶をすることです。相手の顔も見ずに小さな声で適当に挨拶している人は意外と多いものです。きちんと挨拶できていなかったなと感じた場合には早速明日から意識して変えてみましょう。

③感謝する

続けて3つ目は「感謝する」ということです。
要は他人に何かしてもらった時にはすかさず「ありがとうございます」と伝えようということです。こちらに関しても相手から感謝を伝えられて嫌な気持ちになる人はいないですよね。その場ですぐに伝えられなかったとしても必ず「あの時はありがとうございました。とても助かりました。」と伝えるようにしましょう。

注意点としては、何かをしてもらったときに自然と「ありがとうございます」という言葉が出てくる人もいれば、「すみません」という言葉が出てしまう人もいます。
「すみません」という言葉を発している人も相手への感謝の気持ちを持っている点では変わらないのですが、相手の受け止め方が変わってきます。「ありがとう」という言葉の方がポジティブでもらって嬉しい言葉です。
自分がもし「ありがとう」より「すみません」という言葉が先に出るタイプなのであれば意識して改善していった方が良好な人間関係が構築しやすくなるはずです。

④素直に謝罪する

4つ目は「素直に謝罪する」です。
何か自分がミスをしてしまった時は素直に謝罪しましょう。
そんなの当たり前だと感じるかもしれませんが、ミスしたことに自分で気づいていても周りから指摘されるまで黙っている人(=怒られたくない)や、「いや、でも、…」と自分がミスしたことに何か理由をつけようとする人は意外と多いものです。

誰でもミスはするものですし、ミスをすることで今後の改善策を考えるきっかけともなるため必ずしもミスすること自体は悪いことではありません。

ミスしたことを黙っていたり、他に責任を押し付けたりすることの方が自分の信頼を無くしてしまう悪い行為です。
自分に非があれば素直に受け止める。簡単なようで実は難しいことですが、これができると相手からの信頼を得られるようになります。

⑤先に相手に与える意識を持つ

最後は「先に相手に与える意識を持つ」です。
世の中には「give and take」という言葉が存在します。この言葉はお互いに与え合うこと、持ちつ持たれつの関係ということはみなさんもご存知かと思います。そしてこれは人間関係を築いていくのに大切な考え方です。

ですが、良好な人間関係を構築するためにはまずは自分からの「give」が先であることが良好な人間関係を築く秘訣となります。

相手の職種別!それぞれの立ち回り、角が立たない人間関係の構築術

それではここからは相手の職種別の人間関係の構築術について解説していきます。
美容クリニックでは看護師の他に医師、受付、カウンセラーの職種の方々が働いています。そして同じ看護師でも先輩と後輩・新人に対しての関わり方は変わってきます。
それぞれパターン別に見ていきましょう。

①医師

まずは医師との関わり方についてです。
医師は美容クリニック内で最も責任のあるポジションです。
看護師や受付などの職種は数名で仕事を分担しながら業務を進めていくことができますが、一つのクリニックに医師は1名〜数名しか在籍しておらず、少ない人数の中で来院されるたくさんの患者さんを担当していかなくてはなりません。
そのため医師の負担をできるだけ軽くすることが周りのスタッフに求められることになり、看護師は医師の処置が入った時には速やかに物品の準備や介助、処置後のフォローにあたる必要があります。

クリニックごとにある程度流れは決まっているかと思いますが、医師ごとに使用物品や処置の流れが少しずつ異なるかと思います。その違いを把握し、担当する医師の導線が最も短くなるような工夫ができるように観察していきましょう。

あとは勉強でつまずいた時には医師にアドバイスをもらいにいってみましょう。自分で調べた以上の内容を得られることも多々あり、自分の知識を積み上げることができますし、相手にも「学ぶ姿勢があるスタッフだ」と印象付けることができおすすめです。

②受付

続けて受付との関わり方についてです。
受付スタッフはクリニックの窓口として事務的な作業や電話対応などをしてくれています。看護師による施術対応が終わった後に受付スタッフが患者さんの見送りをするということも多くあります。

その際に余裕があれば「今終わった〇〇さんが商品を購入したいそうです」「次回予約について相談したいことがあるようです」「このような理由で今回は少し不満げな感じでした」などと自分が担当した患者さんの情報に関して引継ぎをできるようになるとよいでしょう。そうすると受付スタッフ側もどのような声かけをして患者さんの対応に入ればよいかある程度準備ができるからです。自分だけでなく、他のスタッフの業務もスムーズになるような気配りがとても大切です。

③カウンセラー

続けてカウンセラーとの関わり方についてです。
カウンセラーという職種は保険診療では見られない美容クリニック独自のものです。患者さんへの施術の提案、契約を行い、クリニックの売上に大きく関係してくるポジションになります。

流れとしては患者さんがカウンセラーと医師の話に納得した上で契約し、看護師が施術を担当していくというのが一般的です。このときカウンセラーがカウンセリング時にどのような説明を患者さんに行っているかを理解しておくことが重要です。

カウンセラーが話した内容と看護師が話している内容に異なる部分が生じてしまうと、患者さんとしては不安な感情を抱き、不信感に繋がります。
そして同じようにカウンセラー側からも不信感を抱かれるようになってしまいかねません。

職場に入りたての段階で他職種の方々に話を聞きにいくのはややハードルが高いですが、「カウンセリングのときはどんな資料を使って説明しているんですか?」などと質問しながら少しずつ距離を縮めていくことで、カウンセラー側からも「この看護師なら信頼して患者さんを任せられる」と感じてもらえるようになるでしょう。

④先輩看護師

続けて先輩看護師との関わり方についてです。
先輩看護師は自分の時間を割いて新人・後輩スタッフの指導に当たってくれる頼もしい存在です。自分でやればすぐに終わる業務を時間をかけて新人・後輩スタッフに指導するというのは多かれ少なかれ負担を感じるものです。
なのでまずは先輩の負担を軽減させるためにも業務内容の理解に努め、知識・スキルの習得を最優先に頑張りましょう。

ある程度習得でき一人立ちできたなら次は先輩の業務を積極的に手伝いにいきます。先輩から「これをして欲しい」と言われる前に「何かお手伝いできることはありませんか?」と尋ね、先回りして行動できるようになると次第に責任のある仕事も振ってもらえるようになります。そうすると自分自身のレベルアップにもなり、周りからの信頼も築き上げられることでしょう。

⑤後輩・新人看護師

最後に後輩・新人看護師との関わり方についてです。
後輩・新人に対しては自分自身が「こんな先輩は嫌だな」と思うことはしないように気をつけましょう。怖そうなオーラを放っていたり、質問した時に冷たい態度を取ったりする先輩には話しかけづらいですよね。話しかけやすいオーラで何か質問したときに親身になって答えてくれる先輩は尊敬できますし、逆に先輩が困っていればすぐにサポートしたくなると思うことでしょう。

自分の役職が次第に上になってきて後輩スタッフに指示出しをする立場になったときにも積極的に後輩のサポートを受けられ、自分だけで仕事を抱えこまずに周りと協力しながら業務を遂行していきやすい環境を作ることができると思います。

良好な人間関係を構築し、仕事を最大限に楽しもう

今回は「美容クリニックでの人間関係の構築術」について解説してきました。
美容クリニックで働くことを希望される方は美容そのものに興味があるという方ばかりだと思います。そのためクリニックでの業務自体は楽しみながら行えるものが多いかと思います。

ですが、美容クリニックで働くということは個人戦ではなく団体戦であり、周りのスタッフと協力しながら業務を進めていく必要があります。そのときに周りのスタッフとの関係性がいまいちだとスムーズに仕事をしていくことは難しいですし、何より仕事をしていて楽しさを見出しにくくなってしまいます。

全ての人に好かれるというのは難しいことですし、中にはどうしても性格が合わないという人はいると思います。ですがまずは自分の方から歩み寄り、よりよい関係を築く努力をすることは可能だと思います。自分中心になりすぎず、広い視野を持ちながら周囲への気配りを意識し、良好な人間関係を築いていく。そして美容クリニックでの仕事自体も仕事できる環境も最大限に楽しんでいきましょう。

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つーさん
岩手県出身。アラサー。学生時代は地元で過ごし、新卒で都内の大学病院に勤め看護師生活をスタート。美容ナース歴は5年目。