AGA・薄毛治療でのナースの仕事内容、患者さんへの対応など

nuese_hair

こんにちは。美容ナースeriです。

私はナースとして4年間臨床現場で働き、その後3年ほど大手美容外科クリニックに勤務後、現在も美容皮膚科ナースとして働いています。皆さんに美容の世界とは学ぶ事も多く努力も必要だけれど、こんなに楽しくてやりがいのある仕事なんだという事を広く知ってもらい、楽しく読んでもらえたらと思います!

今回は、みなさんが「なんとなく苦手…」「どのように関わっていけばいいのかわからない。踏み込みすぎても失礼?」といった声が多く聞かれる「AGA・薄毛治療」における看護師の役割をお話ししていきたいと思います。
治療方法から患者さんへの関わり方まで私の実践的な経験を交えて簡単にお話ししていきます。

ハードルが高いように思う方も多いと思いますが、あらかじめ知っていればそんなに難しいことではないので安心してくださいね。ここでは簡単な予習のような気持ちで楽にみていただけると幸いです!

美容クリニックで働く事に興味を持っているけれど、なんだか難しそうで自分には自信がない…と感じている方や、美容外科クリニックやAGA・薄毛治療専門のクリニックで働き始めたばかりの新人ナースさん達には実際の現場でも使える内容かと思いますので最後まで見ていただけると嬉しいです。

AGA・薄毛治療とは

AGAとは「男性型脱毛症」と言われる進行型の薄毛で、男性の4人に一人が発症すると言われています。

以前は加齢現象の一種として諦めるしかありませんでしたが、2005年に最初の治療薬が登場して、治療が可能になりました。

近年では男性ばかりではなく女性の患者さんも増えてきています。女性の方が発症すると落ち込みが強く、引きこもりがちになってしまう事からうつ病などの精神疾患に発展することも多く、早期の治療が必要となります。

遺伝的な要因も隠されていますが、不規則な生活習慣やストレスなどが原因の場合は改善することもできるため、どのような原因で薄毛の症状が現れているのかをカウンセリングの段階でしっかりと把握することが看護師として大切な役割になります。

AGA・薄毛治療主な治療法

クリニックや病院によっても治療方針は様々ですが、投薬治療が基本となります。内服治療をしっかり行った上でプラスαでレーザー治療や植毛などを併用していく流れになります。

そのため患者さんには内服の重要性と継続することの大切さをしっかり理解して頂くまで説明することが大切です。

主に投薬治療「飲み薬や塗り薬を使用する」と「頭皮細胞を活性化させる治療(レーザーや栄養素を地肌に導入する)」方法が広く行われています。

まずはじめに投薬治療について簡単にお話をしていきます。

使われる薬は、基本的に医師の処方箋が必要で、薬局やドラッグストアでは手に入れることができません。その分、市販の育毛剤やサプリに比べて強い作用を持つため、毛を生やす効果が高いのです。

治療に使われるのは主に「ミノキシジル」と「フィナステリド・デュタステリド」というお薬です。みなさん名前は一度聞いたことがあるのではないでしょうか?最近、電車のポスターやCMなどでよく宣伝していますね。

あくまで毛を生やす原動力となるのは「ミノキシジル」ですが、抜け毛を抑制する「フィナステリド・デュタステリド」を併用することで、より効率良く、効果的に薄毛の改善が期待出来ます。

そのため現状維持で良い、または将来のために薄毛を予防・阻止したいという患者さんは「フィナステリド・デュタステリド」のみの内服で十分です。

病院やクリニックによって、それぞれの薬を単独で処方するケースと、これらの薬に加えて独自調合した「オリジナル内服セット」を処方する場合があります。

私が実際に現場で働いていたときには、血行促進薬や頭皮の過剰な皮脂分泌を抑えるためにビタミン剤が含まれているケースもありました。必要に応じてサプリなどをおすすめすることもありました。

薄毛になっている原因が遺伝やもともとの肌質、不規則な生活習慣、ストレスによるものも多いため、カウンセリング時に患者さんの生活背景も見逃さずに聴取することが大切になってきます。ここであまりにも業務的に淡々と質問をしてしまうと傷付いてしまう患者さんもいますので優しく、寄り添った姿勢でカウンセリングして行きましょう。AGA・薄毛治療では患者さんが心を開いて話し始めるまでに時間がかかるケースが多いので時間に余裕を持って行動できるように調整しましょう。

次に、投薬治療の他にレーザーを照射したり栄養素を機械で導入していく施術もあります。

私が働いていたクリニックではスマートメソを採用していました。レーザーで頭皮に細かい穴を開けて、イオン導入の機械で成長因子を頭皮に浸透させていくものでした。成長因子は細胞の生まれ変わりを促進してくれるので薄毛治療にはとっても相性の良い栄養素です。他にもジェットメソやクイックメソ、メソガンなどクリニックによって行っている治療は様々です。

頭皮に必要な成分を入れ込んでいくことで毛母細胞が活性化して発毛を促すという治療方法ですね。この栄養素が高価なものが多く、毎月の出費になると痛いと考える方が多いので、最短コースで治療を完了できるように内服もしっかり頑張ってもらうようにあらかじめ患者さんに説明しておきましょう。

AGA・薄毛治療におけるナースの役割と求められること

前の項目でも説明しましたが、薄毛になっている原因が遺伝やもともとの体質、不規則な日常習慣・ストレスなどの心的要因によるものも多いため、カウンセリング時に患者さんの生活背景を見逃さずに問診することが大切になってきます。

何年も前から薄毛に悩んでいてやっとの思いで受診してくる患者さんがほとんどですので、しっかりと寄り添った姿勢で傾聴しましょう。結構ナイーブな患者さんが多いので、自分が発する一言一言には注意してお話ししていくといいです。慣れるまでは大変ですかと思いますが、先輩ナースがしっかりサポートしてくれるので安心してくださいね!

また、どのクリニックでもAGA・薄毛治療は高値傾向であり、治療がいつまで続くのか明確でない事が不安な方が多い印象でした。最近はAGA・薄毛専門クリニックも数多く出てきていますが、まだ美容外科クリニックで治療が行われていることが多く、女性が多く華やかなイメージの場所に行く事に抵抗があり、治療に踏み止まってしまう方も実際には多いです。

そのため看護師の関わりが非常に大切になってきます。初めて治療を受ける患者さんは緊張していることが多く、受け答えに対して最初はそっけないように感じることもあるかもしれませんが、こちらが丁寧に寄り添う姿勢で対応していれば少しずつ緊張もほぐれていろいろな質問をしてきてくれる場面も多くあります。

患者さんが安心して治療を受けられるよう、患者さんの小さな心配事はいつでも解決できる知識の準備は必要になってきます。そのため、日頃からの勉強会や自主勉強も欠かせません。美容の分野では新しい治療法や薬剤が次から次へと出てくるため勉強は常に努力し続けなくてはなりません。

患者さんが安心して治療に望めるように、細やかな配慮と不安要素を取り除いてあげることが医療的な知識を持つ看護師の大きな役割だと思います。

AGA・薄毛治療での注意点

患者さんへの内服薬のお渡しはクリニックによって様々ですが、看護師が担当することが多いと思います。

内薬をし忘れたからといって重複して飲まない、子供やペットの手の届く場所に置かない、自己判断でやめたりしない。など注意点はいくつもあるので、患者さんの理解度を確認しながら説明しましょう。可愛い絵や図が入ったわかりやすい説明用紙を作ってお渡ししたところ、わかりやすくてよかったと喜んでいただけました。聞いているだけでは理解しきれない部分もあるため、視覚的に理解しやすい図や説明を渡してあげると自宅に帰ってからも安心して内服できると思います。

初めてAGA治療薬を飲む方が多いので、副作用もあわせてお話しし、不安なことがあればいつでもクリニックに連絡していただくように説明しておきます。副作用として、まれに腹部症状(吐き気や下痢、胃のむかつきなど)が出現する方もいますが、あらかじめ1週間ほどで治ることもお伝えしておけば不安も解消されると思います。

レーザーを用いる施術ではどんなに技術に気をつけていたとしても切れ毛が出てきてしまったり、頭皮に赤みが出現する場合があります。「治療したことで逆に髪の毛が減ってしまった!」や「頭皮が赤くなってヒリヒリしている。異常ではないか?」と過剰に不安になってしまう方もいるため、必ず施術の前に起こりうるリスクの説明は改めてしておきましょう。患者さんが治療の内容とリスクを了承し、納得した上で治療に臨めることが大切です。「心配事や質問があればいつでも気軽に聞いてくださいね」と笑顔で優しく声かけをするのも効果的です。

医師、患者さんへのフォローなど

看護師が施術に入ることもあれば、医師が担当になる場合もありクリニックによってさまざまです。医師が施術を担当する場合にはその介助として看護師が介入する事になるかと思います。スムーズかつ的確に治療が進められるように、薬剤の準備や医師への機具の手渡し、患者様への細やかな配慮・声かけなども看護師ならではの大切な役割です。

患者さんによっては痛みに弱い方もいますので「力を抜くと痛みが和らぎますよ」などこまめな声かけを行い、不安を取り除いてあげてください。会話をしているとリラックスして痛みが和らぐので、施術中は自宅での注意点などもここで説明しておくといいですね。患者さんの好きな音楽や趣味の話をするのも経験上とても良かったです。

レーザーで頭皮に穴を開けている場合は感染防止の観点から、その日はシャンプーができなかったり、いつものケアができなくなるのでその辺りもしっかり理解できているか確認しながら補足して説明していきましょう。

患者さんとカウンセリングに入る医師・カウンセラーとうまく連携を図りながら治療を進めていけるように環境を作ることが私たち看護師の役割といえるでしょう。

ホームケアの必要性と日常生活の改善

クリニックでの施術だけでは治療の効果は少し足りないので、患者さんへ補足してホームケアの必要性をお話しすることをおすすめします。

どんなに良い治療や内服薬を服用していても、生活習慣が乱れていたり、シャンプー剤が自分の肌に合っていなかったりしたらせっかくの治療ももったいなくなってしまいます。それって患者さんにとってなんの利益もないですよね。

効率よく着実に治療が進められるように、日常生活で改善できるところは無理のない程度で少しずつ改善していく必要があります。

食事・運動・ストレスをためないということは基本的な改善ポイントですが、意外と見落としがちなのがシャンプーやリンスなどヘアケアアイテムの選択です。長年、薄毛で悩んでいる方はヘアケアに対しても意識が高い方が多く、こだわりの美容液や市販の高級スカルプシャンプーを使っていることが多いです。

一見頭皮に良さそうですが、商品の成分表を見てみるとそのほとんどが石油系オイルや界面活性剤、メントール成分(スースー感じるもの)が多く含まれています。その成分が絶対的に肌に悪いわけではありませんがスースーして泡立ちもかなりよく、「短時間でもしっかり洗えた気がする!」と仰る患者さんが多いです。

爽快感や泡立ちの良さで満足してしまっているので、成分が薄毛にどのような影響を与えているかというところまでは知らない方がほとんどでした。実際に頭皮を確認させてもらうと皮脂がかなり詰まった状態でベタベタ、または赤い湿疹がたくさんあり聞くと「かゆくて掻いてしまう」といった症状が出ている状態の方が多くてビックリました。クリニックにもよると思いますがAGA向けのシャンプーやヘアケアアイテムを取り扱っているところも多いので、ぜひ患者さんに自分にあったケアを選択してもらえるように、情報提供をしてあげてください。

寄り添う姿勢で多方面から患者さんを理解し、最短コースで悩みが解決できるようにサポートして行きましょう

いかがでしたでしょうか。

今回はAGA・薄毛治療について看護師の役割を大きなテーマとしてお話しさせていただきました。技術や知識については練習して少しずつ慣れていくことができるので安心してくださいね。患者さんの悩みや不安を汲み取り、寄り添った姿勢で向き合えば、患者さんは安心して治療が受けられると思いますので、説明したポイントを押さえて笑顔で頑張りましょう!

初めのうちはどのように接したら良いのかわからずに戸惑うこともあるかと思いますが、先輩たちもみんな同じ経験をしてきているので、もし困ったことがあれば一人で抱え込まずに先輩や同期などに相談してみましょう。その中で自分に合った方法が見つけられると思います。経験を少しずつ積み重ねながら、患者さんに信頼される美容ナースを目指して行きましょう。

IMG_0014
eri
美容看護師eriです。美容が大好きでこの世界に飛び込んで4年。毎日が新鮮でやりがいを感じています!皆さんに基本的な知識から耳寄りな情報まで幅広くお伝えしていきます!